みちのわくわくページ

西部劇

<〜1930年代の西部劇>
轟く天地、 丘の一本松、 テキサス決死隊、 平原児、 テキサス人、 駅馬車、 大平原、 地獄への道

轟く天地 The Thundering herd  (再公開時は、Buffalo Stampede)
1933年 アメリカ  62分
監督:ヘンリー・ハサウェイ
原作:ゼーン・グレイ
出演: トム(ランドルフ・スコット)、スプレク(ハリー・ケリー)、ジュード(レイモンド・ハットン)、ミリ―(ジュディス・アレン)、ジェット(ノア・ビアリー)、スマイりー(モンテ・ブルー)、ジェットの妻(ブランシュ・フレデリッチ)
渋谷シネマヴェーラの西部劇特集「ウエスターンズ!」で見る。
バッファロー・ハンターたちと、彼らを襲う無法者一味やインディアンとの戦いを描く。
トムは、仲間のスプレクやジュードとともにバッファローを狩り、剥いだ皮を売る仕事をしていた。
インディアンが、バッファローの狩猟隊を襲う事件が相次いで起こるが、どうやら白人がインディアンを装っているらしい、ジェットが率いる一味が犯人ではないかという噂が立っていた。トムと恋仲にあるミリ―は、ジェットの義理の娘だった。
冒頭、馬車の走行シーンにまずびっくりする。普通の走行なのに、やけに迫力がある。トムは、走行中に御者台から馬に乗り移って車輪と馬具の接合部分のズレを直したり、途中盗賊に襲われて立ち往生しているジュードに手を貸すために馬車から飛び降りたりし、また馬車に気付いて追ってきたミリーは馬から馬車に飛び移ってみせる(トムは飛び下りた後なので、馬車には助手しか乗っていない)。別に切迫している場面でもないのに、乗り移りアクションが次々披露され、しかもその間、蹄の音がずんずん響いて、まさに台地が轟いている感じなのだった。
バファローの大移動シーンも迫力があった。
インディアンが襲撃してくるシーンでは、気の良さ気なハンター仲間のスマイリーがトムたちの救援に駆け付ける。
ジュニアじゃない、ハリー・ケリーは渋い。相棒のジュードを演じるハットンもいい感じ。二人でトムとミリーの仲を案じてああでもないこうでもないと言い合うところがよかった。
悪役のノア・ビアリーもお父さんの方。
しかし、自分達は食用に必要な分しか狩らないのに、皮を得るためにバッファローを大量に狩る白人たちに対し、インディアンが怒りを覚えるのはもっともだと思った。そこここにバッファローの骨が落ちていたが、あんなにすぐに白骨化はしないだろう。(「ワイアット・アープ」(1994)で、皮を剥がれたバッファローの死体が生肉の塊となって転がり、腐臭を放っていた。あっちが本当なんだろうと思った。)(2013.5)


丘の一本松 THE TRAIL OF THE LONESOME PINE
1936年 アメリカ  102分
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:ジューン・トレヴァ―(シルヴィア・シドニー)、デイヴ・トレヴァ―(ヘンリー・フォンダ)、ジャック:ヘイル(フレッド・マクマレー)、ジャド・トレヴァ―(フレッド・ストーン)、メリッサ・トレヴァー(ボーラ・ボンディ)、バディ・トレヴァー(スパンキー・マクファーランド)、シーバー(ナイジェル・ブルース)、バック・フェーリン(ロバート・バラット)、ウェイド・フェーリン(ヘンリー・ブランドン)、テイター(ファジー・ナイト)
野外で撮影された最初のテクニカラー映画として知られるらしい。
長年にわたって対立する二つの家の争いを描く。
ケンタッキーの山奥で暮らすトリヴァー家とフェーリン家は、何代にも渡っていがみあい、時には流血の戦いも起こしてきた。
ある日、鉄道技師のジャックがやってくる。鉄道建設のため、ジャックはトリヴァー家とフェーリン家と土地に関する契約を交わそうとする。
山奥の限られた地域で憎み合い、戦いを続ける男たち。トリヴァー家の娘ジューンは、そうした争いを嫌い、都会的で知的なジャックに心惹かれるようになる。
やがて、汽車が好きで鉄道技師になる夢を持っていたジューンの幼い弟バディが、フェーリン側が仕掛けた爆破に巻き込まれる。それまで周囲を和ませていたかわいいい少年の死は、何とも胸が痛む展開だ。
ハットフィールド&マッコイ」のような話だが、馬鹿息子の所業に怒って筋を通すバック・フェーリンは、「大いなる西部」のルファス・ヘネシー(バール・アイヴィス)を思わせる役どころだ。
若きヘンリー・フォンダが、憎しみを捨て和解の道を選択しながら非業の死を遂げる西部の若者デイヴを好演している。
終始歌っているおじさんティターの存在がうれしい。(2013.5)

テキサス決死隊 The Texas Rangers
アメリカ 1936年 95分
監督:キング・ヴィダー
出演:ジム・ホーキンス(フレッド・マクマレー)、ワフー・ジョーンズ(ジャック・オーキー)、サム・マクジー(ロイド・ノーラン)、ベイリー隊長(エド ワード・エリス)、アマンダ・ベイリー(ジーン・パーカー)、デヴィッド(ベニー・バートレット)
ジム、ワフー、サムは、チームを組んで駅馬車を襲う強盗仲間だった。ある夜、追っ手に囲まれた彼等は ばらばらに逃げ、サムだけがはぐれてしまう。ジムとワフーは、2人だけで駅馬車を襲おうとするが、銃の名手のテキサス・レンジャーが警備についていたため 襲撃を断念する。町に着いた二人は、テキサス・レンジャーに入隊する。生活費を稼ぎながら、強盗に必要な情報を得るためだったが、やがて隊員たちの立派な 戦いぶりを目にしたり、インディアンに襲われて孤児になった少年デビッドを保護したりするうちに、隊員としての正義感に目覚めていく。一方、かつての仲間 サムは、「水玉強盗団」のボスとなり、世間を騒がせていた。二人は、サムを捕まえるよう命令を受けるが・・・。
抱き合いながら転がって喜びをわかちあうような陽気な仲間どうしだった3人が、ふとしかことから違う道を進み、追う者と追われる者となって再会し、対立し ていく様子が、てきぱきとテンポ良く描かれる。ジムとワフーの気持ちの変化もよくわかる。常に歌を口ずさんでいる(「駅馬車」の主題歌も歌っていた!)陽 気な相棒役のワフーのおかげで、軽快で明るいムードが漂う。ジムにとっても、映画にとっても、彼の存在は大きい。
二人と対照的に、無法者として凄みを増していくサム役のノーランもいい。 
友との対決というテーマにはめちゃめちゃ弱い。かなり楽しめた。(2008.6)


平原児  THE PLAINSMAN
1936年 アメリカ 113分
監督:セシル・B・デミル
出演:ワイルド・ビル・ヒコック(ゲイリー・クーパー)、カラミティ・ジェーン(ジーン・アーサー)、バッファロー・ビル・コディ(ジェームズ・エリソン)、ルイザ・コディ(ヘレン・バージェス)、ジョン・ラティマー(チャールズ・ビックフォード)、ジャック・マッコール(ポーター・ホール)、イエロー・ハンド(ポール・ハーヴェイ)、カスター将軍(ジョン・ミルジャン)、リンカーン(フランク・マクグリン・シニア)、シャイアン族のインディアン(アンソニー・クイン)、港の少年(ジョージ・アーネスト)、アンダーソン(フランシス・フォード)

DVDで見る。
西部に実在した伝説的ヒーロー、ワイルド・ビル・ヒコック、バッファロー・ビル・コディ、カラミティ・ジェーンが登場する、セシル・B・デミルの有名西部劇。実際のヒコックは長髪に髭のイメージだが、クーパーのビルはすっきりしていてさわやか。無口で無骨ででもなんかスマートなすてきな西部男を演じている。港での登場シーン、少年と話すところはなんともいかしてるのだった。彼の恋人、ジーン・アーサーのじゃじゃ馬カラミティぶりには最後まで違和感があった。男装して男っぽくしゃべっても、ドレスが似合うし、がらっぱちな感じがしない。3人の中では、コディ役のエリソンが一番しっくりきたように思う。その妻ルイザ役のバージェスも自然な感じだった。
イエロー・ハンドらインディアンたちに、自分たちは食糧にする分しかバファローを狩らないのに白人は毛皮を取るために乱獲するから大迷惑だという言い分を言わせているのに、白人たちはそれを無視してただインディアンを悪者扱いしている。
カスター将軍が出てきて「ビッグホーン」と口にしたら行くなと思うし(第七騎兵隊がシャイアン族らによって全滅したのはモンタナ州のリトルビッグホーン)、冒頭リンカーンを妻のメアリがフォード劇場に行きましょうと呼びにきたときも行くなと思った(リンカーンが暗殺されたのはフォード劇場)。西部史を知っていると面白い部分もあった。
ヒコックが、しょうもない奴に後ろから撃たれてあまりにもあっさり死んでしまうのでびっくりした(史実通りらしいが)。それまでジェーンにキスをされるたびに照れ隠しに手で口を拭っていたヒコックにキスをして、「拭かないのね」というジェーンのセリフが悲しい。(2017.12)

テキサス人 THE TEXANS
1938年 アメリカ 92分 パラマウント
監督:ジェームズ・P・ホーガン
出演:アイビー・プレストン(ジョーン・ベネット)、カーク・ジョーダン(ロバート・カミングス)、プレストン老夫人(メイ・ロブソン)、チャカワラ(ウォルター・ブレナン)、カル(レイモンド・ハットン)、ダドおじさん(フランシス・フォード)、アラン・サンフォード(ロバート・カミングス)、ミドルブラック(ロバート・バラット)、デヴィッド・ニコルス中尉(ハーヴェイ・スティーブンス)

シネマノヴェチェントのDVD上映で見る。たまたま知人に誘われて見に行ったのだが、思わぬ拾い物だった。92分の中に映画のよさがたくさん詰まっている、見ごたえのある西部劇だった。
南北戦争終結直後の南部。戦争に敗れた南部の町の人々は、政府からひどい扱いを受けていた。故郷の町に復員した元南軍兵のカークらも、職にあぶれ、南軍の制服の着用や南軍の歌を歌うことも禁止されていた。カークは、若い娘アイビーが馬車で運ぼうとしていた荷物が検閲にひっかかって止められそうになっているところを助けてやる。アイビーは、農具と偽って、恋人のアランのために銃を運んでいたのだった。元南軍兵士のアランはメキシコ政府と組んで北部に戦いを挑み、南部を盛り返そうとしていたのだったが、カークは終戦となった今は、国が一体となるべきだと考えていた。
アイビーは、祖母と牧童頭のチャカワラらとともに、国境の近くにあるプレストン牧場をきりもりしていたが、北部からやってきた悪徳政治家のミドルブラックは、牛にも重税をかけてきた。祖母がミドルブラックを酔いつぶしている間に、カークとアイビーらは、牛を追ってリオ・グランデ川を渡り、国境を越える。鉄道の駅ができるというアビリーンまで牛を運べば高く売れるというカークの提案に対し、北部の連中に牛を売りたくないと反対していたアイビーだったが、牧童たちの給料や今後の牧場のことを考え、カークの案に乗る決心をする。かくして、1万頭の牛を追ってリオ・グランデ川沿いに北上し、アビリーンを目指す旅が始まる。ミドルブラックに従う騎兵隊に追われ、ブリザード(吹雪)に遭い、砂嵐に遭い、インディアンの襲撃に遭い、一行は次から次へと困難に見舞われる。インディアンらの襲撃により荒野に火が放たれる中を馬車や馬が失踪するシーンは、大スぺクタルである。
牧童頭のチャカワラ、義足となって戦争から帰還した“ダドおじさん”(フランシス・フォードが好演)、カークの相棒のマウンテンマン、カルなど、武骨な男たちが大変いい味を出している。アイビーの祖母も元気なおばあちゃんで楽しい。
インディアンの襲撃により命を落としたダドおじさんの埋葬のシーン。牧場の人々が、十字架に南軍兵の帽子をかけて追悼しているところへ、騎兵隊が駆けつける。帽子を取られ、逮捕されるのかと肩を落とす面々の前に現れた騎兵隊の将校は、あくどいミドルブラックにいやいやながら従っていたが、インディアンとの戦いで彼が死んだので、もう従う必要はないということで、ダドおじさんの追悼のために弔銃を放ち、ラッパを吹くのだった。このシーン、ラッパを吹く隊員以外は、騎兵隊も牧場の人々もすべてロングショットでとらえていたのが、なんともストイックでよかった。 (2017.12)

駅馬車  Stagecoach
1939年アメリカ 白黒 93分
監督:ジョン・フォード
原作:アーネスト・ヘイコックス “Stage to Lordsburg”
出演:リンゴー・キッド(ジョン・ウェイン)、ダラス(クレア・トレヴァ)、ブーン(トマス・ミッチェル)、ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)、 ルーシー・マロリイ(ルイズ・プラット)、ピーコック(ドナルド・ミーク)、ゲートウッド(バートン・チャーチル)、カーリー(ジョージ・バンクリフ ト)、バック(アンディ・ディバイン)、ハンク・プラマー(トム・タイラー)、ルーク・プラマー(ジョセフ・ロックスン)、アイク・プラマー(ヴェス ター・ペッグ)
面白くてわくわくどきどきしながらも、しみじみとした情感を味わえる西部劇の名作のひとつ。
アリゾナ州の町トントからニューメキシコ州のローズバーグへ向かう駅馬車には、9人の男女が乗り合わせていた。町を追い出された娼婦ダラス、臨月にある将 校夫人ルーシー、落ちぶれた南部貴族の賭博師ハットフィールド、飲んだくれの医師ブーン、気弱なセールスマンの 小男ピーコック、傲岸な銀行家ゲートウッド、護衛を務める気骨のある保安官カーリー、気のいい御者バック、そして途中乗車するお尋ね者リンゴー・キッドと いった面々である。
道中を共にすることになった彼らの間では、けむたがったり好意をもったり、様々な人間模様が展開されていく。
やがて、インディアンの襲撃という危機が彼らを襲う。リンゴーが馬車の先頭の馬に乗り移る有名なアクション(スタントマンは、ヤキマ・カナット)を始め、 疾走する馬車と騎乗のインディアンとの銃撃戦にはらはらどきどきさせられる。騎兵隊のラッパの音が効果的だ。
さらにラストには、ヒーロー対3人の悪漢の対決が控えている。銃声の後、柱にすがって「リンゴー!」と叫ぶダラスのアップが印象に残る。(2004.6)

「ジョン・フォード生誕120年上映」という企画で、「静かなる男」と本作が劇場公開された。シネマート新宿で久しぶりに見た。全編通して映画館で見るのは初めて。大画面で駅馬車が疾走するシーンの迫力はすごかった。
出発点のトントと二つの中継所、終点のローズバーグと駅馬車は4箇所に停車するのだが、それぞれの場所でいろいろあって、いろいろよかった。
駅馬車の面々は、みな個性的でいいのだが、今見ると、飲んだくれ医者のブーン(トマス・ミッチェル)と、保安官のカーリー(ジョージ・バンクリフト)がよかった。小男の酒のセールスマン、ピーコック(ドナルド・ミーク)も味を出して、絶妙なバランスを保っていると思った。
特にカーリーは、護衛としての力量もあるが、なによりスタッフとしてかなり有能、非常時にてきぱきと場を仕切って判断を下す。ああいう人が一人現場にいると、実に心強い。リンゴーを、保安官としての立場からだけでなく、旧友の息子として気に掛ける心遣いには今回もぐっときた。
リンゴー・キッド(ジョン・ウェイン)はお尋ね者だが、人好きのする若者で、今見ると一番あまりものを考えていないように見える。浅はかというのでなく、無邪気でストレートだ。彼に比べると、ダラス(クレア・トレヴァ)は思慮深い苦労人という感じ。駅馬車のシーンもよかったが、ローズバーグに着いてからもおもしろく見た。リンゴーが父と兄の仇であるプラマー三兄弟に決闘を挑む。ダラスもブーンもカーリーも、おちゃらけ役だった御者のバック(アンディ・ディバイン)でさえも真面目になり、誰もがリンゴーの身を案じてこれを止めようとするし、三対一で断然有利なプラマー兄弟も心なしか不安そうである。当のリンゴーだけがほとんど迷いがない。決闘の前に、ダラスを送るといって、二人は連れ立って街を歩く。今回思ったのは、これは、女連れの道行きではないかということだ。が、男はほぼ勝つ気でいるので、悲壮な思いを胸に抱いているのは女の方である。と考えると興味深かった。(2014.10)



大平原 Union Pacific
1939年アメリカ 白黒 135分
監督:セシル・B・デミル
出演:モリー(バーバラ・スタンウィック)、ジェフ・バトラー(ジョエル・マクリー)、ディック(ロバート・プレストン)、キャムボウ(ブライアン・ドン レヴィ)
大陸横断鉄道の建設に、男女の三角関係が絡む。
インディアン襲撃による列車の横転や、機関車の落下などスペクタルもふんだんだが、やはり楽しむべきは何処までも続く西部の大平原という気がする。 (2004.6)


地獄への道 Jesse James
1939年アメリカ 106分
監督:ヘンリー・キング
出演:ジェシー・ジェームズ(タイロン・パワー)、フランク・ジェームズ(ヘンリー・フォンダ)、ウィル・ライト連邦保安官(ランドルフ・スコット)、ボ ブ・フォード(ジョン・キャラダイン)
西部史に名高い無法者ジェシー・ジェームズの半生を描く。
鉄道建設によって土地を奪われ母親を亡くしたフランクとジェームズの兄弟は、復讐のため列車強盗に手を染める。(2004.6)

関連作品:「地獄への逆襲」「 無法の王者ジェシイ・ジェームズ」「 ロングライダーズ」「 アメリカン・アウトロー

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