みちのわくわくページ

西部劇

<1990年代の西部劇>
ダンス・ウィズ・ウルブズ ブラッディ・ガン 遙かなる大地へ 許されざる者 ラスト・オブ・モヒカン トゥームストーン バッド・ガールズ マーヴェリック ワイアット・アープ クイック&デッド バッド・アウトロー

ダンス・ウィズ・ウルブズ Dance with Wolves
1990年 アメリカ 181分
監督:ケヴィン・コスナー
出演:ジョン・ダンバー[狼と踊る男](ケヴィン・コスナー)、拳を握って立つ女(メアリー・マクドネル)、蹴る鳥(グレアム・グリーン)、風になびく髪 (ロドニー・A・グラント)、ポニー族の戦士(ウェス・ステューディ)、10頭の熊(フロイド・レッド・クロウ・ウェスターマン)、ファンブロー少将 (モーリー・チェイキン)
辺境の砦に派遣された騎兵隊員ジョン・ダンバー。愛馬と野生の狼とともに孤独な日々を過ごしていた彼は、やがて近隣に住むインディアンとの交流を深めるよ うになる。
タイトルは、夜、戸外で狼と踊るダンバーの様子を見て、インディアンが彼に与えた名前。
俳優ケヴィン・コスナーが自らメガホンを取り、インディアン迫害を批判する立場から西部を描いた。(2004.6)


ブラッディ・ガン QUIGLEY DOWN UNDER
1990年 アメリカ/オーストラリア 120分 劇場未公開
監督:サイモン・ウィンサー
出演:マシュー・クィグリー(トム・セレック)、マーストン(アラン・リックマン)、コーラ(ローラ・サン・ジャコモ)、ピット少佐(クリス・ヘイウッド)
舞台は、アメリカ西部でなく、オーストラリア。
アメリカ人のマシューは、狙撃の名手として牧場主のマーストンに呼ばれてオーストラリアにやってくる。港で会ったコーラという女性がマシューをロイと呼び、恋人と自称して付いてくる。
牧童たちとともに牧場へ向かう二人。オーストラリアの土地は広大で、一行は、何泊か野宿して、やっと雇い主であるマーストンの牧場たどり着く。
が、マーストンの言う標的が先住民のアボリジニであると知らされると、マシューはマーストンと対立、コーラとともに牧童たちの暴行を受け、砂漠に捨て置かれる。
瀕死の2人は、通りがかりのアボリジニらに助けられ、彼らと穏やかな日々を過ごす。が、やがてマーストンの放った追手が襲撃してくる。
マシューは、単身、マーストンを倒すため、適地に乗り込む。
なんといっても、見所は、マシューの長距離射撃。単発のシャープス・ライフルを、素早い弾込めで、続けざまに撃つ。
また、拳銃は好きではないと言いながら、最後のマーストンとの対決では、コルトSAAの抜き撃ちを見せ、決め台詞を吐く。
「慣れていないと言ったが、苦手だとは言っていない」
(原文:Matthew Quigley: I said I never had much use for one. Never said I didn't know how to use it. Imdbより)(2013.9)

おまけ:マシューによる自分の銃の説明(Imdbより)
Elliott Marston: Ah-ha. The legendary Sharps.
Matthew Quigley: You know your weapons. It's a lever-action, breach-loader. Usual barrel length's thirty inches. This one has an extra four. It's converted to use a special forty-five caliber, hundred-and-ten-grain metal cartridge, with a five-hundred-forty-grain paper patch bullet. It's fitted with double-set triggers, and a Vernier sight, marked up to twelve-hundred yards. This one shoots a mite further.



遙かなる大地へ Far and Away
1992年アメリカ 140分
監督:ロン・ハワード
出演:ジョゼフ・ドネリー(トム・クルーズ)、シャノン・クリスティ(ニコール・キッドマン)、ステファン(トーマス・ギブソン)、ダニエル・クリスティ (ロバート・プロスキー)、ノラ・クリスティ(バーバラ・バブコック)
19世紀末。西アイルランドから新天地を求めてアメリカにやってきた若い男女の物語。
アイルランドとアメリカ東部でのシーンが長く、西部劇というにはちょっと無理があるかも知れない。が、西部の土地に向かって開拓民が一勢いに馬を走らせる ランドラッシュのシーンが素晴らしく、心が浮き立ったので、西部劇ということにしました。(2004.6)


許されざる者 Unforgiven
1992年 アメリカ 131分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)、ネッド・・ローガン(モーガン・フリーマン)、スコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)、リトル・ビル・ダゲット(保安官。ジーン・ハックマン)、イングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)、W・W・ボーチャンプ(三文作家。ソウル・ルビネック)、ストロベリー・アリス(フランシス・フィッシャー)、デライラ・フィッツジェラルド(顔を切られた娼婦。アンナ・トムソン)
第65回アカデミー作品賞、監督賞などを受賞した西部劇。
暗い話で、大らかな西部劇を愛する日本のオールドファンの方々には不評だった(知合い数名に聞いた結果です)。
が、西部劇を劇場で観て楽しむことのできた世代の人々とは違い、その衰退期にテレビで西部劇に出会い、初めて封切りで観た西部劇がジョン・ウェインが癌を 告知される「ラスト・シューティスト」であったという私にとって、この作品はかなり感慨深い ものがあった。
たしかに、あまりわくわくしないし、爽快感もさほどは得られない。が、なによりも、西部劇に対する真摯な姿勢に強く心を打たれる。1990年代に西部劇を 撮る、ということについて考えて考えて考え抜いた果てに、このような作品ができたのではないだろうかと思えるのだ。
イーストウッド=西部劇という印象は強いが、彼自身が監督した作品には、西部劇としては変化球ともいうべき手法によるものが目立つ。
主人公が幽霊だったり (「荒野のストレンジャー」「ペールライダー」)、現代の西部ショー一座の座長だったり(「ブロンコビリー」)、病気持ちのカントリー歌手だったり(「センチメンタル・アドベン チャー」)。「アウトロー」 は確かに直球なのだが、やや甘めの球であり、芯をあえて外しているような気がしてならなかった。
その彼がこの作品ではやっと真っ向勝負に挑んだと思う。渾身の力をこめて投げた低めぎりぎりのストレートに対し、アメリカの人々は「ストライク」の判定を下した、のじゃないかと私は考える。(2003.2)

関連作品:「許されざる者」(2013年、日本)

ラスト・オブ・モヒカン The Last of the Mohicans
1992年 アメリカ 112分
監督:マイケル・マン
原作:「最後のモヒカン族」ジェームズ・フェニモア・クーパー
出演:ホークアイ(ダニエル・デイ=ルイス)、コーラ(マデリーン・ストー)、アリス(ジョディ・メイ)、チンガチグック(ラッセル・ミーンズ)、アンサ ス(エリック・シュウェイグ)、ダンカン・ヘイワード(スティーヴン・ウェディントン)
原作は、世界児童文学全集にも収監されているアメリカ児童文学の古典で、過去何度も映画化されている。「最 後のモヒカン族」(1920年アメリカ、サイレ ント白黒作品)、「最後のモヒカン族」(1932年アメリカ、白黒作品、ハリー・ケリー主演)、「夕陽のモヒカン族」(1964年西ドイツ・イタリア・ス ペイン合作)など。
が、今読むと饒舌な感じがするのは否めない。
本作は、長い物語をさながら名場面集でまとめた絵巻物のよう。
ダニエル・デイ・ルイスが森林を走る姿が美しい。(2004.6)


トゥームストーン Tombstone
1993年 アメリカ 130分
監督:ジョルジ・バン・コスマトス
出演:ワイアット・アープ(カート・ラッセル)、ドク・ホリディ(ヴァル・キルマー)、バージル・アープ(サム・エリオット)、モーガン・アープ(ビル・ パクストン)、カーリー・ビル(パワーズ・ブース)、ジョニー・リンゴ(マイケル・ビーン)、ビーハン(ジョン・テニー)、アイク・クラントン(スティー ヴン・ラング)、ビリー・クラントン(トーマス・ヘイドン・チャーチ)、ジョセフィーヌ(ダナ・ディレイニー)、ケイト(ジョアンナ・パクラ)、マティ・ アープ(ダナ・ウィーラー・ニコルソン)、ビリー・ブレッケンリッジ(ジェイソン・プリーストリー)、
ヘンリー・フッカー(チャールトン・ヘストン)、フレッド・ホワイト保安官(ハリー・ケリーJR)
ナレーション:ロバート・ミッチャム
”OK牧場の決闘”をめぐるワイアット・アープ兄弟とクラントン一家の対立を描く。
カート・ラッセルのアープは、善良な保安官かつ家庭人である前半は今ひとつ合ってないような気がしたのだが、復讐に燃えて暴走する辺りは本領発揮という感 じで盛りあがる。
ドク・ホリディは、「荒野の決闘」のヴィクター・マチュアや、「OK牧場の決闘」のカーク・ダグラス、「墓石と決闘」のジェーソン・ロバーズなどの印象があるので、ヴァル・キルマーでは若すぎるように思えたし、結核持ちとはいえ年中脂汗を浮かべて咳き込んでいるためかなり暑苦しいのだが、これが、それはそれでなかなかよかったと思う。(2003.2)

関連作品はほかに「ワイアット・アープ」(このページ下方)

バッド・ガールズ Bad Girls
1994年 アメリカ 100分
監督:ジョナサン・カプラン
出演:コーディ(マデリーン・ストー)、アニータ(メアリー・スチュアート・マスターソン)、アイリーン(アンディ・マクダウェル)、リリー(ドリュー・ バリモア)、キッド(ジェームズ・ルッソ)、ジョシュ(ダーモット・マローニー)、タッカー(ジェームズ・レグロス)
1890年代の西部。サロンの経営者コディは店の娼婦に嫌がらせをした大佐を撃って逮捕され、絞首刑寸前に仲間の娼婦たちによって救い出される。
オレゴンの土地を目指して旅に出た彼女たちに、大佐の未亡人に雇われた探偵、かつてのコーディの恋人である強盗団首領キッド、彼を仇として追う男ジョ シュ、保安官助手などの男たちが絡んでくる。最後はコーディとキッドの対決に。
女たちが長いスカートの裾を翻しながら銃を撃ちまくる。女優4人がそれぞれ個性を発揮し、アクションを楽しませてくれる。ドリュー・バリモアがはつらつと して元気がいい。(2004.6)


マーヴェリック Maverick
1994年 アメリカ 127分
監督:リチャード・ドナー
出演:マーヴェリック(メル・ギブソン)、アナベラ(ジョディ・フォスター)、クーパー保安官(ジェームズ・ガーナー)、ジョセフ(グレアム・グリー ン)、コモドア・デュヴァル(ジェームズ・コバーン)、クラーク(ダブ・テイラー)、銀行強盗(ダニー・グローヴァー)、船上ポーカー大会の出場者(ロ バート・フラー)
賭博師のマーヴェリックは、船上で開催されるポーカー大会出場をめざして旅をしていた。途中で女賭博師アナベルや連邦保安官クーパーと知り合い、彼らとと もに会場となる船に乗り込む。
往年のテレビシリーズ「マーベリック」を映画化。テレビの主演だったジェームズ・ガーナーが保安官役でとぼけた味を出している。
マーベリックとアナベルのかけひきは、ルパン三世と峰不二子を思わせる。軽快で楽しいコメディに仕上がっている。(2004.6)

歌の歌詞を間違って覚えていることで人物の正体がばれるというネタは、このあと、日本のTV番組「サイコメトラー映児」や映画「名探偵コナン 迷宮の十字路」などでも見られた。前者では「大きな古時計」、 後者では京都の路にまつわる数え歌(架空?)が使われていたが、本作におけるアメリカ人にとっての賛美歌ほどの説得力がなかったことは否めない。

ワイアット・アープ Wyatt Earp
1994年 アメリカ 191分
監督:ローレンス・カスダン
出演:ワイアット・アープ(ケヴィン・コスナー)、
ニコラス・アープ(ジーン・ハックマン)、ヴァージル・アープ(マイケル・マドセン)、ジェームズ・アープ(デヴィッド・アンドリュース)、モーガン・ アープ(リンデン・アシュビー)、ウォーレン・アープ(ジェームズ・カヴィーゼル)、ウリラ(アナベス・ギッシュ)、マティ(メア・ウィニンガム)、 ジョージー(ジョアンナ・ゴーイング)、ドク・ホリディ(デニス・クエイド)、ビッグ・ノーズ・ケイト(イザベラ・ロッセリーニ)、バット・マスターソン (トム・サイズモア)、エド・マスターソン(ビル・プルマン)、ビーハン保安官(マーク・ハーモン)、アイク・クラントン(ジェフ・フェイヒー)、トム・ マクローリー(アダム・ボールドウィン)
西部史に名を残す保安官ワイアット・アープの生涯を描く長篇。
南北戦争中に少年時代を過ごし、22歳で最初の結婚。最愛の妻ウリラに先立たれ一度は零落するがやがて立ち直り、ダッジ・シティの連邦副保安官となる。マ ティと二度目の結婚をした彼はアリゾナ州トゥムストーンに移り、そこで有名な「OK牧場の決闘」に発展するクライトンとの確執が起こることとなる。
落ちぶれたアープを留置所まで迎えに来る父親を演じるジーン・ハックマンの重厚な演技が印象に残る。
肺病やみの役のため20キロ減量したというデニス・クエイドのドク・ホリディもよい。他の作品ではあまり見られない、しぶい姿を見せてくれる。(2004.6)

関連作品:「荒野の決闘」「OK牧場の決闘」「墓石と決闘」「トゥムストーン(本ページ上方)」

クイック&デッド The Quick and the Dead
1995年アメリカ 107分
監督::サム・ライミ
出演:レディ/エレン(シャロン・ストーン)、ジョン・ヘロド(ジーン・ハックマン)、コート(ラッセル・クロウ)、キッド(レオナルド・デカプリオ)、 ドッグ・ケリー(トビン・ベル)、ドク・ウォレス(ロバート・ブロッサム)、ユージーン・ドレッド(ケヴィン・コンウェイ)、クレイ・カントレル(キー ス・デヴィッド)、エース・ハンロン(ランス・ヘンリクセン)、ホレス(パット・ヒングル)、マーシャル(ゲーリー・シニーズ)、スカーズ(マーク・ブーンJR)、チャーリー・ムーンライト(ウッディ・ストロード)
年に一度の早撃ちトーナメントが行われる西部の町に美しい女ガンマンが現れる。彼女の目的は、父を殺した男への復讐だった。
宣伝では、頭に空いた風穴越しに向こうの景色が見えるなどのケレン味が強調されてしまったが、かなりまっとうな西部劇で、ファンとしてはうれしい内容。
往年の西部劇に登場する女ガンマンのようなコミカルなお色気に終わらず、大人のセクシーさを持ち、かといって身体にぴっちりしたコスチュームではなく、ゆったりとしたシャツを着て、弱いところも見せるヒロインをシャロン・ストーンが好演してい る。
デカプリオの向こう見ずな若者は適役、ラッセル・クロウは終始小汚いまま控えめな役に徹している。
ジーン・ハックマンは、悪い奴を演るときのジーン・ハックマン。
ジョン・フォード監督作品などで古くから活躍していた黒人俳優ウッディ・ストロードが顔を見せている。これが遺作となった。(2003.2)


バッド・アウトロー The Cherokee Kid
1996年 アメリカ テレビムービー  93分
監督:パリス・バークレイ
出演:チェロキー・ビル/アイゼイア(シンバッド)、カワウソ・ボブ(バート・レイノルズ)、ナト・ラブ(アーニー・ハドソン)、ステージコーチメリー(ダウン・ルイス)、アビー(バネッサ・ベル・キャロウェイ)、コルティナ(A・マルティネス)、アンダーテイカー(グレゴリー・ハインズ)、銀行窓口係(チャールズ・ハイマン)
ブルーミントン(ジェームズ・コバーン)、

黒人とインディアンのハーフのガンマン、チェロキー・キッドを主人公にしたコメディ・ウェスタン。VHSしか出ていないものを、知人の好意で見る機会を得る。
冒頭、え、この人が主役?と思ったが(いきなりやられちゃうし)、見ているうちに愛着が湧いてくる顔だ。
ハーダー・ゼイ・フォール」で主役だったナト・ラブはここでは渋いギャングのボス、隠れ家で「チェロキー・キッド」の命名をするシーンが愉快で、黒人女性初の郵便配達人として有名なステージコーチメアリも登場して下ネタ入りで猛女ぶりを披露する。アンダーテイカー(葬儀屋)というカタカナ表記の役名のハインズもなかなかいい感じだった。
飄々としたマウンテンマンのカワウソ・ビル役にバート・レイノルズ、資産家で後の知事ブルーミントンという悪役にジェームズ・コバーンと、ベテランの二人が顔を見せ、悠々と演じている。
強盗に入った銀行の窓口係との景品についてのやりとりなどもコミカルで気がきいていた。(2021.11)


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