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西部劇 1940年代の西部劇

<制作年順>
カンサス騎兵隊、 地獄への逆襲、 西部魂、 荒野の決闘、 赤い河、 アパッチ砦、 腰抜け二挺拳銃、 三人の名付親、 西部の裁き、 黄色いリボン、 死の谷

カンサス騎兵隊  Santa Fe Trail
1940年 アメリカ 105分
監督:マイケル・カーティス
出演:ジェブ・スチュアート(エロール・フリン)、キット・ホリディ(オリビア・デ・ハビランド)、ジョージ・カスター(ロナルド・レーガン)、ジョン・ブラウン(レイモンド・マッセイ)、レイダー(ヴァン・ヘフリン)
渋谷シネマヴェーラの西部劇特集「ウエスターンズ!」で見る。
黒人奴隷解放の運動家ジョン・ブラウンの一派と、カンサス騎兵隊との戦いを描く。
思想的には立派でも、活動が次第に過激で暴力的なにっていくジョン・ブラウンと、それを阻止する立場にある騎兵隊員ジェブ。エロール・フリンを映画館で初めて見たが、騎兵隊仲間の若者が4人出てきて、最初は、どれがフリンなのか、よく分からなかった。私服で敵側に潜入するあたりがかっこよく、燃える納屋からの脱出シーンもよかった。
ロナルド・レーガンが、ジョージ・カスター役で登場。つい1876年の悲劇を思ってしまうが、ここでは、キティをめぐって展開するジェブとの恋のさや当てがなかなか愉快である。
ヴァン・ヘフリンが、ブラウン側の兵士レイダーという憎まれ役をしっかりと演じている。
有能な彼を、ブラウンは無報酬でこき使う。一度お金を払うと言ったら、ちゃんと約束は守らないといけない。主義のため、仲間に無理を強いるのは、テロの始まりという気がした。
騎兵隊の制服にあこがれる二人の飲んだくれが、コミカルな演技でお笑いを担当している。
微妙な問題を扱っていて、奴隷たちに対するジェブの考えはいまいち不鮮明であり、ブラウンたちに保護された黒人たちが置かれた状況もいいのか悪いのか、曖昧なままである。
インディアンの老婆が、4人の騎兵隊仲間の将来を占うシーンがある。4人が顔をそろえるのはこれが最後、いずれ敵味方に分かれて戦うことになると告げる。4人は笑い飛ばすが、南北戦争を暗示した予言である。(2013.5)

地獄への逆襲 The Return of Frank James
1940年アメリカ 92分
監督:フリッツ・ラング
出演:フランク・ジェームズ(ヘンリー・フォンダ)、エレノア(ジーン・ティアニー)、ボブ・フォード(ジョン・キャラダイン)、チャーリー・フォード (チャールズ・タンネン)
地獄への道」の続編。
ジェシー・ジェームズは、傾いている額縁を直しているところを後ろから撃たれて死ぬ。撃ったのは仲間だったフォード兄弟。
兄のフランクは、弟の仇を討つため再び悪の世界に足を踏み入れる。
裏切り者のフォード兄弟のボブをジョン・キャラダインが演じる。強烈な悪役の印象が残る。(2004.6)


西部魂 Western Union
1941年アメリカ 94分
監督:フリッツ・ラング
原作:セーン・グレイ(同題)
出演:リチャード・ブレイク(ロバート・ヤング)、バンス・ショウ(ランドルフ・スコット)、エド・クレイトン(ディーン・ジャガー)、スー・クレイトン (ヴァージニア・ギルモア)、ドク・マードック(ジョン・キャラダイン)、クッキー(チル・ウィリス)、ジャック・スレイド(バートン・マクレーン)
電信が重要な情報手段として西部に広がりつつあったころの話。
主役のロバート・ヤングを差し置いて、無法者のランドルフ・スコットが活躍、いいところを見せまくった。(2004.6)


荒野の決闘 My Darling Clementine
1946年アメリカ 白黒 97分
監督:ジョン・フォード
主題歌:「マイ・ダーリン・クレメンタイン」アメリカ民謡
出演:ワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)、ドク・ホリディ(ビクター・マチュア)、クレメンタイン・カーター(キャシー・ダウンズ)、チワワ(リ ンダ・ダーネル)、
モーガン・アープ(ウォード・ボンド)、バージル・アープ(ティム・ホルト)、ジェームズ・アープ(ドン・ガーナー)、
クラントン(ウォルター・ブレナン)、ビリー・クラントン(ジョン・アイアランド)、アイク・クラントン(グラント・ヴィザーズ)、サム・クラントン (ミッキー・シンプソン)、フィン・クラントン(フレッド・リビー)、
ソーンダイク(アラン・モウブリー)、マック(J・ファレル・マクドナルド)、ダッド(フランシス・フォード)
1881年アリゾナ州トゥムストーンで実際に起きた「OK牧場の決闘」をもとに、西部に生きる男女の人間模 様を描く。
牛を追ってカリフォルニアを目指す兄弟たち、作りかけの教会、スクエアダンス、シェークスピアを演じる旅役者、東部から来た清楚な女性に抱く淡い思いな ど、画面は希望に満ちた西部開拓の気概に満ちている一方で、元医師の賭博師ドク・ホリディと酒場女チワワの悲劇や、殺人を厭わないクラントン一家の所業な どを通して西部の暗い面も映し出す。
ヘンリー・フォンダは、物静かで頼りになる西部の男ワイアット・アープをたんたんと演じている。
ウォルター・ブレナンは、気のいい老人役の印象が強いのだが、ここではにくにくしげな老クラントンの役。決闘直前、牧場の柵にもたれた彼がゆっくりと顔を 上げると同時に地平線から朝日が昇ってくるカットも忘れがたい。(2004.6)

OK牧場の決闘とワイアット・アープ関連作品:「OK牧場の決闘」「墓石と決闘」 「トゥムストーン」「ワイアット・アープ

赤い河 Red River
1948年アメリカ  白黒 133分
監督 ハワード・ホークス
出演 ダンスン(ジョン・ウェイン)、マット(モンゴメリ・クリフト)、グルート(ウォルター・ブレナン)、チェリー(ジョン・アイアランド)、テス (ジョーン・ドルー)、メルヴィル氏(ハリー・ケリーSr.) 
キャトルドライブ(牛追いの旅)に出るカウボーイたちの姿を描く。
旅立つ際に男たちが雄叫びをあげるシーンは、これから大仕事をやるぞという彼らの意気込みがあふれていて感動的だった。(ピーター・ボグダノビッチ監督が 「ラストショウ」で引用している。)
旅を続けるうちに暴走して独裁的になっていくダンスンと、義理の息子マットが対立。直接対決となるクライマックスは緊張感に満ちている。育ての親と対峙す るマットの表情がやけに神々しく見えた。
長い旅を終え、到着した町で牛商人の事務所に入ったマットが、もの珍しげに建物内を見回し、「天井を見るのは久しぶりだ。」とつぶやくところがかなり好き だ。
脇役では、ジョン・アイアランド演じるカウボーイ頭のチェリーが魅力的だった。馬上から上体を屈めて話しかけてくるだけのショットにもどきどきした。ビス ケットを焼くのが得意なコック役のウォルター・ブレナンは、このころからぶつぶついう老人役で味を出している。紅一点のジョーン・ドルーは相当セ クシー。インディアンの矢を肩に受けてマットの応急手当を受けるシーンや、負傷した腕を吊った状態でテントの中でダンスンと話をするシーン、最後に拳銃を ぶっ放すシーンなど見せ場がたくさんある。往年の西部劇スター、ハリー・ケリーが牛商人役で顔をみせている。(2003.2)


アパッチ砦 Fort Apache
1948年 アメリカ 127分
監督:ジョン・フォード
出演:サースデー中佐大佐(ヘンリー・フォンダ)、カービー・ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)、マルカヒー(ヴィクター・マクラグレン)、ビューフォート (ペドロ・アルメンダリス)、マイケル・オルーク少佐(ワード・ボンド)、コリンウッド大尉(ジョージ・オブライエン)、フィラデルフィア・サースデー (シャーリー・テンプル)、マイケル・オルーク[JR](ジョン・エイガー)、メリー・オルーク(イレーヌ・リッチ)、エミリー・コリンウッド(アンナ・ リー)、ゲイツ夫人(メイ・マーシュ)、
補充兵のひとり?(ハンク・ウォーデン)、フェン(フランシス・フォード)
騎兵隊三部作のひとつ。なかなか見る機会がなくて、やっとDVDで見ることができた。
アパッチ砦に、サースデー中佐が新しい指揮官として赴任してくる。ヘンリー・フォンダが、功をあせる融通の利かない将校という憎まれ役を演じている。
前半は、サースデーの娘フィラデルフェアの目を通して、砦における騎兵隊員とその家族たちの暮らしぶりがゆったりとした愉快なタッチで描かれる。フィラデ ルフィアと若い兵士マイケルのあいだには恋も芽生え、ダンスパーティでは、堅物のサースデー中佐も踊りを披露するなど、ほのぼのとした雰囲気が満ちあふれ る。
後半になって物語は、急速に暗転する。ヨーク大尉は、新任中佐のやり方を苦々しく思いつつも立場上逆らえず、それでもできる限りのことをしようと奔走す る。(彼に通訳として付き従うメキシコ系の兵士ビューフォートがなかなかいい。)しかし彼らの努力は報われず、インディアンとの交渉は決裂、サーズデー中 佐の無謀な独走で兵士たちは、悲愴な戦いにはまりこんでいく。
魅力的なシーンが続き、おもしろく見た。悲惨な話だと聞いていたので後半の展開は予測できた。だが、それにしても前半の詩情あふれる砦の生活風景と、後半 の悲惨な展開にどう折り合いをつければいいのかという戸惑いは残る。(2007.10)


腰抜け二挺拳銃 The Paleface
アメリカ 1948年 91分
監督 ノーマン・Z・マクロード
主題歌 「ボタンとリボン」ジェイ・リビングストン、レイ・エバンス
出演 ピーター・ボッター(ボブ・ホープ)、カラミティ・ジェーン(ジェーン・ラッセル)、ペパー(アイリス・エドリアン)、プレストン(ロバート・ワト ソン)、テリス(ロバート・アームストロング)、ジョー(ジェフ・ヨーク)、ハンク(クレウム・ビバンス)、エマソン(スタンリー・アンドリュース)、知 事(チャールズ・トロウブリッジ)
ボブ・ホープ主演の“腰抜け”シリーズ西部劇編にしてシリーズ屈指の傑作。
政府の密命を受けた女ガンマン、カラミティ・ジェーン(実在の女傑だが、ストーリーは史実とは無関係)は、東部のやさ男ピーターと偽の夫婦を装って幌馬車 隊に加わる。待ち受ける危機をピーターのとぼけたお笑いとジェーンの卓越した銃の腕で切り抜けていく。
主題歌「ボタンとリボン」は、「バッテンボー」という響きで日本のファンに親しまれ、当時ラジオで大ヒットしたらしい。映画の中では、馬車に揺られな がら、アコーディオンを手にボブ・ホープが歌うシーンが忘れがたい。
“East is east, west is west, and the wrong one I have chosen,…”という歌い出しで始まる歌詞は、女性の立場から歌っているもので、西部の無骨な男とつきあっている女性がおしゃれとほど遠い状況をぼやいているような内容。映画はこれとは逆で、西部女と東部男の二人の取り合わせが絶妙である。
下着姿で二挺拳銃をぶっ放すジェーン・ラッセルはかなりかっこよかった。(2003.8)


三人の名付親 3 Godfathers
1948年 アメリカ 107分
監督:ジョン・フォード
出演:ロバート(ジョン・ウェイン)、ペドロ(ペドロ・アルメンダス)、キッド[ウィリアム](ハリー・ケリー・ジュニア)、バック・スイート(ワード・ ボンド)、スイート夫人(メイ・マーシュ)、カーリー(ハンク・ウォーデン)、追跡隊の一人(ベン・ジョンソン)、ロバート・ウィリアム・ペドラ[赤ん 坊]
荒野に追われた三人の無法者が、立ち往生した幌馬車にいる妊婦を見つけ、出産に立ち会うことに。母親は出産後、赤ん坊を三人に託して息を引き取る。三人は 赤ん坊を無事町まで届けようとするが、砂漠の自然は容赦なく彼らに襲いかかるのだった。
キッドを演じたハリー・ケリー・Jrはこれがデビュー作らしい。
原題に“Three”ではなく“3”が使われているのは、フォード監督によるサイレントの傑作「3悪 人」を意識してのことだろうか。(2004.6)


西部の裁き Coroner Creek
1948年 アメリカ  93分
監督:レイ・エンライト
出演:クリス・ダニング(ランドルフ・スコット)、ケート・ハーディスン(マーゲリット・チャップマン)、ヤンガー・マイルズ(ジョージ・マクレディ)、 デラ・ハームズ(サリー・アイラース)、オヒア保安官(エドガー・ブキャナン)、アビー・マイルズ(バーバラ・リード)、アンディ(ウォーレス・フォー ド)、アーニー(フォレスト・タッカー)、ステュー(ダグラス・フォウレイ)、ティップ(リー・ベネット)、ヨーディ(ジョー・ソーヤー)、ウォルト・ ハーディスン(ラッセル・シンプスン)
クリスは、「長身、金髪碧眼、右頬に傷のある白人の男」という目撃者の言葉 だけを手がかりに、婚約者を死に追いやった男を探していた。コロナー・クリークという町にやってきた彼は、牧場主のマイルズが探していた男であることを知 る。
へまをした手下の顔をいきなり拍車で殴るなど、マイルズは残忍なボスぶりを 見せるが、復讐に燃える男クリスも、容赦がない。
牧童アーニーとの殴り合いでは、そのなりふりかまわない戦い方にちょっと驚 く。手を潰されてしまって拳を使えなくなったクリスは相手に噛みつき、弾丸のように跳んで頭突きをして反撃。目には目をといわんばかりに最後には相手の手 を潰し返す。最後の対決でも、マイルズの手下のステューを連 れてマイルズの潜む建物に乗り込み、なんのためらいもなくステューを盾にする。
非情なランドルフ・スコットがなかなかいい。(2008.2)


黄色いリボン She Wore a Yellow Ribbon
1949年 アメリカ 103分
監督:ジョン・フォード
出演:ネーサン・ブリトルズ大尉(ジョン・ウェイン)、オリヴィア(ジョーン・ドルー)、タイリー軍曹(ベン・ジョンスン)、コーヒル中尉(ジョン・エイ ガー)、ペネル少尉(ハリー・ケリー・ジュニア)、キンカノン軍曹(ヴィクター・マクラグレン)
「アパッチ砦」(1948年)、「リオ・グランデの砦」(1950)とともにジョン・フォード監督の騎兵隊三部作に数えられる。
退役を目前に控えた老大尉ネイサン(ジョン・ウェイン)の騎兵隊魂が、若い士官たちの恋の鞘当てや、インディアンとの争いなどを絡めて描かれる。 ネイサンが砦に駐留している隊員の家族オリヴィア(ジョーン・ドルー)と亡き妻の墓の前で語りあうシーンが美しい。 ベン・ジョンソンが元南軍兵のタイリー軍曹に扮し、斥候として馬を駆る姿がかっこいい。(2003.2)

ひと言(No.28):「謝るな。謝るのは弱さのしるしだ。」

死の谷 Colorado Territory
1949年 アメリカ 白黒 94分
監督:ラオール・ウォルシュ
出演:ジョエル・マクリー、ヴァージニア・メイヨ、ドロシー・マローン、ヘンリー・ハル、ジョン・アーチャー
ウォルシュ監督が自作の傑作ハードボイルド「ハイ・シェラ」を西部劇に仕立て直したもの。
ジョエル・マクリーの無骨さがたまらないが、バージニア・メイヨが見せるけなげさも泣かせる。
公開当時は、アメリカ映画には珍しい心中ものとして日本人の涙を誘ったと聞く。(2004.6)

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