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西部劇 1940年代の西部劇

<制作年順>
カンサス騎兵隊、  西部の男、 地獄への逆襲、 西部魂、 スポイラース、 西部の王者、 荒野の決闘、 白昼の決闘、 赤い河、 アパッチ砦、 腰抜け二挺拳銃、 三人の名付親、 西部の裁き、 黄色いリボン、 死の谷

カンサス騎兵隊  Santa Fe Trail
1940年 アメリカ 105分
監督:マイケル・カーティス
出演:ジェブ・スチュアート(エロール・フリン)、キット・ホリディ(オリビア・デ・ハビランド)、ジョージ・カスター(ロナルド・レーガン)、ジョン・ブラウン(レイモンド・マッセイ)、レイダー(ヴァン・ヘフリン)
渋谷シネマヴェーラの西部劇特集「ウエスターンズ!」で見る。
黒人奴隷解放の運動家ジョン・ブラウンの一派と、カンサス騎兵隊との戦いを描く。
思想的には立派でも、活動が次第に過激で暴力的なにっていくジョン・ブラウンと、それを阻止する立場にある騎兵隊員ジェブ。エロール・フリンを映画館で初めて見たが、騎兵隊仲間の若者が4人出てきて、最初は、どれがフリンなのか、よく分からなかった。私服で敵側に潜入するあたりがかっこよく、燃える納屋からの脱出シーンもよかった。
ロナルド・レーガンが、ジョージ・カスター役で登場。つい1876年の悲劇を思ってしまうが、ここでは、キティをめぐって展開するジェブとの恋のさや当てがなかなか愉快である。
ヴァン・ヘフリンが、ブラウン側の兵士レイダーという憎まれ役をしっかりと演じている。
有能な彼を、ブラウンは無報酬でこき使う。一度お金を払うと言ったら、ちゃんと約束は守らないといけない。主義のため、仲間に無理を強いるのは、テロの始まりという気がした。
騎兵隊の制服にあこがれる二人の飲んだくれが、コミカルな演技でお笑いを担当している。
微妙な問題を扱っていて、奴隷たちに対するジェブの考えはいまいち不鮮明であり、ブラウンたちに保護された黒人たちが置かれた状況もいいのか悪いのか、曖昧なままである。
インディアンの老婆が、4人の騎兵隊仲間の将来を占うシーンがある。4人が顔をそろえるのはこれが最後、いずれ敵味方に分かれて戦うことになると告げる。4人は笑い飛ばすが、南北戦争を暗示した予言である。(2013.5)

西部の男 THE WESTERNER
1940年 アメリカ 100分
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:コール・ハーデン(ゲイリー・クーパー)、ロイ・ビーン判事(ウォルター・ブレナン)、ジェーン・マシューズ(ドリス・ダヴェンポート)、カリフェト・マシューズ(ジェーンの父。フレッド・ストーン)、ウエイド・ハーパー(フォレスト・タッカー)、チキンフット(ポール・ハースト)、サウスイースト(チル・ウィルス)、ホッド・ジョンソン(ダナ・アンドリュース)、リリー・ラングトリー(リリアン・ボンド)、

西部の老人名脇役で知られるウォルター・ブレナンが、比較的若いときで、西部史に残る迷判事ロイ・ビーンを演じる。主役のクーパーは、ブレナンに食われるからいやだと出演をしぶったという。
牛飼いと開拓農民の諍いを描く。カウボーイ側のロイ・ビーンは開拓民らに情け容赦ない裁判をするが、流れ者のガンマン、コールは両者の間に入って仲裁を試みる。
ロイ・ビーンは、女優リリー・ラングトリーの大ファンで彼女の写真を根城とする酒場に貼りまくっている。
対立は激しくなり、開拓民たちの家や畑を焼き打ちにしたロイ・ビーンに怒ったコールは、連邦保安官として彼を追う者となる。劇場での対決のあと、瀕死のロイを、コールは抱きかかえてあこがれの女優リリーに対面させてやる。
かなりひどいことをしているにもかかわらず、ひとりの女優に夢中という点でなんだか憎めないやつと思われるロイ・ビーンなのだった。コールもどこかひょうひょとしていて、ロイの裁判での縛り首から逃れるため会ったこともないリリーの髪の毛を持っていると嘘をついたり、開拓農民の女性ジェーンに気のあるそぶりで(じっさい気はあるのだが)近づいて彼女の髪の毛を切り取ってリリーのものだと偽ってロイに渡すなどする。
2人の男の友情を描きつつ、銃撃シーンは少なく、ユーモラスなところもあるが、重たいテーマもあり、ちょっとちぐはぐな印象の西部劇である。(2021.7)
関連映画:「ロイ・ビーン」(1972)

地獄への逆襲 The Return of Frank James
1940年アメリカ 92分
監督:フリッツ・ラング
出演:フランク・ジェームズ(ヘンリー・フォンダ)、エレノア(ジーン・ティアニー)、ボブ・フォード(ジョン・キャラダイン)、チャーリー・フォード (チャールズ・タンネン)
地獄への道」の続編。
ジェシー・ジェームズは、傾いている額縁を直しているところを後ろから撃たれて死ぬ。撃ったのは仲間だったフォード兄弟。
兄のフランクは、弟の仇を討つため再び悪の世界に足を踏み入れる。
裏切り者のフォード兄弟のボブをジョン・キャラダインが演じる。強烈な悪役の印象が残る。(2004.6)


西部魂 Western Union
1941年アメリカ 94分
監督:フリッツ・ラング
原作:セーン・グレイ(同題)
出演:リチャード・ブレイク(ロバート・ヤング)、ヴィンス・ショウ(ランドルフ・スコット)、エドワード・クレイトン(ディーン・ジャガー)、スー(ヴァージニア・ギルモア)、ドク・マードック(ジョン・キャラダイン)、クッキー(チル・ウィルス)、チャーリー(ビクター・キリアン)、コック(スリム・サマーヴィル)、ジャック・スレード(バートン・マクレーン)、政治家(ラッセル・ヒックス)
電信が重要な情報手段として西部に広がりつつあったころの話。
主役のロバート・ヤングを差し置いて、無法者のランドルフ・スコットが活躍、いいところを見せまくった。(2004.6)

1960年代初頭、ネブラスカ州オマハからユタ州ソルトレイクまで電柱をたてて電信の通信網をつくる事業を描き、ウエスタン・ユニオン電信社の宣伝映画でもある。(2021.4)

スポイラース The Spoilers
(別題:荒くれ魂 1963年 リバイバル)
1942年 アメリカ 白黒 87分
監督:レイ・エンライト
原作:レックス・ビーチ
出演:チェリー・マロット(マレーネ・ディートリッヒ)、アレックス・マクナマラ(ランドルフ・スコット)、ロイ・グレニスター(ジョン・ウェイン)、ヘレン・チェスター(マーガレット・リンゼイ)、アル・デクストリー(ハリー・ケリー)、ブロンコ・キッド・ファロー(リチャード・バーセルメス)、フラップジャック・シムズ(ラッセル・シンプソン)、ウィートン(ウィリアム・ファーナム)

知人のDVD上映会で見る。
ディートリッヒ、スコット、ウェインという顔ぶれが興味深い。1900年のアラスカの町ノームが舞台となっていて、年代的にも場所的にも若干西部劇から外れ気味だが、内容は、ばりばり西部劇。金鉱乗っ取りの騒動を描いていて、ランドルフ・スコットが悪徳金鉱会社側の憎まれ役を演じているのが珍しい。ハリー・ケリー(シニア)が、ジョン・ウェインの相棒の老いた鉱夫で、ライフルをもうひとつの相棒とするけんかっ早い西部男を演じていて楽しい。ディートリッヒに片思いするガンマン、ブロンコが切ない。
ラスト、衆人環視の中、延々と続くランディとデュークの殴り合いが、豪快でいい。(2020.10)

西部の王者 BUFFALO BILL
1944年 アメリカ 90分
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
撮影:レオン・シャムロイ
出演:バファロー・ビル/ウィリアム・F・コディ(ジョエル・マクリー)、ルイザ・フレデリチ(モーリン・オハラ)、ネッド・バントライン(ヘラルド紙記者。作家。トーマス・ミッチェル)、ドーン・スターライト(夜明けの星影。リンダ・ダーネル)、イエローハンド(シャイアン族の若酋長。アンソニー・クイン)、
マックグロー軍曹(エドガー・ブキャナン)、フレデリチ上院議員(モロニ・オルセン)、カーベル(フレデリチの秘書。フランク・フェントン)、ブレイジャー将軍(マット・ブリッグス)、ヴァンダービア(実業家。ジョージ・レッシー)、ルーズベルト大統領(シドニー・ブラックマー)、クレイジーホース(スー族の酋長。チーフ・サンダークラウド)

西部の英雄、バファロー・ビルの半生を描く。
前半は西部での荒々しい戦いの日々、後半はウェスタンショーを始めるまでのいきさつが描かれる。前半では、白人とインディアンの対立が激しくなり、友だったインディアンのイエローハンドと戦わざるを得なくなり、ウォーボーネット峡谷での壮絶な戦いへと発展する。しかし、ビルはインディアンと敵対していたのではなく、彼らの思いを受け止めていたことも示されている。インディアンをかばう発言をしたせいで、実業家と折り合いが悪くなり、落ちぶれていく。博物館で作り物の馬に乗ってショーをしたのがきっかけで有名なウエスタンショーを立ち上げ、それが人気を呼んで、一座を率いての興行となっていく。
モーリン・オハラ演じるルイザへの、インディアンの風俗を利用したプロポーズシーンがよかった。東部の女性と西部の荒くれ男の文化の違いを超えたロマンスもみどころのひとつだ。
ラスト、ウエスタンショーのスポットライトを浴びたあいさつで終わるのが粋だ。(2021.5)
関連映画:「ビッグ・アメリカン」(1976)

荒野の決闘 My Darling Clementine
1946年アメリカ 白黒 97分
監督:ジョン・フォード
主題歌:「マイ・ダーリン・クレメンタイン」アメリカ民謡
出演:ワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)、ドク・ホリディ(ビクター・マチュア)、クレメンタイン・カーター(キャシー・ダウンズ)、チワワ(リ ンダ・ダーネル)、
モーガン・アープ(ウォード・ボンド)、バージル・アープ(ティム・ホルト)、ジェームズ・アープ(ドン・ガーナー)、
クラントン(ウォルター・ブレナン)、ビリー・クラントン(ジョン・アイアランド)、アイク・クラントン(グラント・ヴィザーズ)、サム・クラントン (ミッキー・シンプソン)、フィン・クラントン(フレッド・リビー)、
ソーンダイク(アラン・モウブリー)、マック(J・ファレル・マクドナルド)、ダッド(フランシス・フォード)
1881年アリゾナ州トゥムストーンで実際に起きた「OK牧場の決闘」をもとに、西部に生きる男女の人間模 様を描く。
牛を追ってカリフォルニアを目指す兄弟たち、作りかけの教会、スクエアダンス、シェークスピアを演じる旅役者、東部から来た清楚な女性に抱く淡い思いな ど、画面は希望に満ちた西部開拓の気概に満ちている一方で、元医師の賭博師ドク・ホリディと酒場女チワワの悲劇や、殺人を厭わないクラントン一家の所業な どを通して西部の暗い面も映し出す。
ヘンリー・フォンダは、物静かで頼りになる西部の男ワイアット・アープをたんたんと演じている。
ウォルター・ブレナンは、気のいい老人役の印象が強いのだが、ここではにくにくしげな老クラントンの役。決闘直前、牧場の柵にもたれた彼がゆっくりと顔を 上げると同時に地平線から朝日が昇ってくるカットも忘れがたい。(2004.6)

OK牧場の決闘とワイアット・アープ関連作品:「OK牧場の決闘」「墓石と決闘」 「トゥムストーン」「ワイアット・アープ

白昼の決闘 Duel in the Sun
1946年 アメリカ 129分
監督:キング・ヴィダー
出演:パール・シャベース(ジェニファー・ジョーンズ)、ルート・マカレンス(グレゴリー・ペック)、ジェシー・マカレンス(ジョゼフ・コットン)、ローラ・マカレンス(リリアン・ギッシュ)、ジャクソン・マカレンス(ライオネル・バリモア)、スムート(鉄道会社の弁護士でジャクソンの旧友。ハリー・ケリー)、サム・ピアース(チャールズ・ピックフォード)、スコット・シャベース(パールの父。ハーバート・マーシャル)、ヴァシュタイ(黒人メイド)

白人の父とインディアンの母を持つ、魅惑的な少女パールが主人公である。どろどろとしたメロドラマに銃撃が加わる、愛憎西部劇。
パールの父は、浮気を繰り返す奔放な妻を射殺し、自殺する。孤児となったパールは、父の従妹で元恋人であるローラに引き取られる。ローラは牧場主マカレンスの妻となっていたが、足が不自由で堅物のマカレンスは、インディアンの血を引くパールを嫌うのだった。
マカレンス夫妻には二人の息子がいた。兄のジェシーは礼儀正しい紳士だが、弟のルートは粗野な不良カウボーイだった。二人ともパールに惹かれるが、ジェシーがまだ若いパールを大事に扱っているうちに、ルートは無理やりパールを自分のものにしてしまう。
パールは、母がインディアンだったことで差別され、またあまりにもセクシーなので、男たちを惑わせる悪女として扱われる。気性が激しく、ルートに対する思いは複雑である。
そうした中に、鉄道会社と牧場との争いなどが盛り込まれ、カウボーイたちが一斉に馬を駆るシーンや牛追いのシーンなど、西部劇ならではのダイナミックで見ごたえのある場面もある。
最後の岩場での決闘が、パールを巡る男と男の決闘ではなく、パールとルートの戦い、愛し合い憎み合う男女の戦いというのがかなり意外で、痛烈だった。異色西部劇と言われるゆえんであろう。
サイレント映画の女王、リリアン・ギッシュがローラ役を演じている。ぎすぎすしたマカレンス家にあって、常にパールを気遣い、優雅な女性を演じて趣深い。(2022.4)


赤い河 Red River
1948年アメリカ  白黒 133分
監督:ハワード・ホークス
出演:トム・ダンスン(ジョン・ウェイン)、マット・ガース(モンゴメリ・クリフト)、グルート(ウォルター・ブレナン)、チェリー・ヴァランス(ジョン・アイアランド)、バスター(ノア・ベリーJR)、クオ(チーフ・ヨウラテ)、ダン(ハリー・ケリーJR)、ティーラー(ポール・フィックス)、リーブス(ハンク・ウォーデン)、テス・ミラー (ジョーン・ドルー)、メルヴィル氏(ハリー・ケリーSr.)、フェン(コリーン・グレイ) 
音楽:ディミトリ・ティオムキン (「ライフルと愛馬」がバックでよく流れる)
キャトルドライブ(牛追いの旅)に出るカウボーイたちの姿を描く。1万頭の牛をテキサスからレッド・リバーを超えて、カンザスのアビリーンまで、100日以上かけて1600キロの道を運ぶ。スタンピードや、インディアンの襲撃や、雨続きの悪天候や、食料不足、そして仲間割れと、困難な旅である。
旅立つ際に男たちが雄叫びをあげるシーンは、これから大仕事をやるぞという彼らの意気込みがあふれていて感動的だった。(ピーター・ボグダノビッチ監督が 「ラストショウ」で引用している。)
旅を続けるうちに暴走して独裁的になっていくダンスンと、義理の息子マットが対立。直接対決となるクライマックスは緊張感に満ちている。育ての親と対峙す るマットの表情がやけに神々しく見えた。
長い旅を終え、到着した町で牛商人の事務所に入ったマットが、もの珍しげに建物内を見回し、「天井を見るのは久しぶりだ。」とつぶやくところがかなり好き だ。
脇役では、ジョン・アイアランド演じるカウボーイ頭のチェリーが魅力的だった。馬上から上体を屈めて話しかけてくるだけのショットにもどきどきした。ビス ケットを焼くのが得意なコック役のウォルター・ブレナンは、このころからぶつぶついう老人役で味を出している。紅一点のジョーン・ドルーは相当セ クシー。インディアンの矢を肩に受けてマットの応急手当を受けるシーンや、負傷した腕を吊った状態でテントの中でダンスンと話をするシーン(片手でたばこを吸うのがかっこいい)、最後に拳銃を ぶっ放すシーンなど見せ場がたくさんある。往年の西部劇スター、ハリー・ケリーが牛商人役で顔をみせている。(2003.2)
久しぶりにブルーレイで見直す。
腕輪の使い方がよい。ダンスンが母の形見の腕輪を置きざりにした恋人フェンに渡し、襲ってきたインディアンを倒したときその手に腕輪があったことで、ダンスンはフェンの幌馬車隊が襲われ彼女が死んだことを知る。ダンスンはそれをマットに与え、テスがその腕輪をつけていることを発見して二人の仲を知る。
冒頭は1851年。それから14年後の1865年にキャトルドライブは行われる。

アパッチ砦 Fort Apache
1948年 アメリカ 127分
監督:ジョン・フォード
出演:サースデー中佐大佐(ヘンリー・フォンダ)、カービー・ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)、マルカヒー(ヴィクター・マクラグレン)、ビューフォート(ペドロ・アルメンダリス)、マイケル・オルーク少佐(ワード・ボンド)、コリンウッド大尉(ジョージ・オブライエン)、フィラデルフィア・サースデー(シャーリー・テンプル)、マイケル・オルーク[JR](ジョン・エイガー)、メリー・オルーク(イレーヌ・リッチ)、エミリー・コリンウッド(アンナ・リー)、ゲイツ夫人(メイ・マーシュ)、
補充兵のひとり?(ハンク・ウォーデン)、フェン(フランシス・フォード)

騎兵隊三部作のひとつ。なかなか見る機会がなくて、やっとDVDで見ることができた。
アパッチ砦に、サースデー中佐が新しい指揮官として赴任してくる。ヘンリー・フォンダが、功をあせる融通の利かない将校という憎まれ役を演じている。
前半は、サースデーの娘フィラデルフェアの目を通して、砦における騎兵隊員とその家族たちの暮らしぶりがゆったりとした愉快なタッチで描かれる。フィラデルフィアと若い兵士マイケルのあいだには恋も芽生え、ダンスパーティでは、堅物のサースデー中佐も踊りを披露するなど、ほのぼのとした雰囲気が満ちあふれる。
後半になって物語は、急速に暗転する。ヨーク大尉は、新任中佐のやり方を苦々しく思いつつも立場上逆らえず、それでもできる限りのことをしようと奔走する。(彼に通訳として付き従うメキシコ系の兵士ビューフォートがなかなかいい。)しかし彼らの努力は報われず、インディアンとの交渉は決裂、サーズデー中佐の無謀な独走で兵士たちは、悲愴な戦いにはまりこんでいく。
魅力的なシーンが続き、おもしろく見た。悲惨な話だと聞いていたので後半の展開は予測できた。だが、それにしても前半の詩情あふれる砦の生活風景と、後半の暗さのギャップをどう考えればいいのかという戸惑いは残る。(2007.10)

腰抜け二挺拳銃
1948年 アメリカ  91分
監督:ノーマン・Z・マクロード
音楽:ヴィクター・ヤング
主題歌:「ボタンとリボン」レイ・エバンス作詞、ジェイ・リビングストーン作曲
出演:ピーター・ポッター(ボブ・ホープ)、カラミティ・ジェーン(ジェーン・ラッセル)、手リス(ロバート・アームストロング)、ペッパー(アイリス・エイドリアン)、トビー・プレストン(ボビー・ワトソン)、ジャスパー・マーティン(ジャッキー・シール)、ワパト(ヘンリー・ブロンドン) 
主題歌「ボタンとリボン」は、「東は東、西は西」という出だしで始まる。西部劇でよくみられるのは、西部男に東部女、荒くれ男に淑女という取り合わせである(「荒野の決闘」「西部の王者」など)。日本なら、「東男に京女」となり、東西逆なのがおもしろい。だが、この映画は東部男に西部女の話。へなちょこの東部男が、鉄華肌の西部女に惚れる。
下着姿に二丁拳銃のジェーン・ラッセルがかっこいい。
ボブ・ホープは気弱な東部の歯医者をゆかいに演じている。馬車に揺られ、アコーディオンを奏でながら主題歌を披露する。(2021.9 事故により消失したため書き直し)


三人の名付親  3 GODFATHERS
1948年 アメリカ 107分
監督:ジョン・フォード
出演:ボブ/ロバート・ハイタワー(ジョン・ウェイン)、ピート/ペドロ(ペドロ・アルメンダリス)、キッド/ウィリアム(ハリー・ケリー・ジュニア)、パーリー/バック・スイート(保安官。ウォード・ボンド)、スイート夫人(メエ・マーシュ)、フローリー(中継所のおばさん。ジェーン・ダーウェル)、幌馬車の婦人(ミルドレッド・ナトウィック)、カーリー(保安官補。ハンク・ウォーデン)、追跡隊員(ベン・ジョンソン)、判事(ガイ・キビー)、ルビー(ドロシー・フォード)、飲んだくれの男(フランシス・フォード)

三人の無法者が、銀行強盗をした後逃走した砂漠で、インディアンに襲われた幌馬車に遭遇、瀕死の妊婦の出産に立ち会い、赤ん坊を託される。三人は、赤ん坊を町に連れて行こうとするが、過酷な砂漠の条件の中、渇きと疲労に苛まれる。
西部の荒くれ男の腕に新生児という取り合わせがなんともよくてじんとくる。(2021.5)


西部の裁き Coroner Creek
1948年 アメリカ  93分
監督:レイ・エンライト
出演:クリス・ダニング(ランドルフ・スコット)、ケート・ハーディスン(マーゲリット・チャップマン)、ヤンガー・マイルズ(ジョージ・マクレディ)、デラ・ハームズ(サリー・アイラース)、オヒア保安官(エドガー・ブキャナン)、アビー・マイルズ(バーバラ・リード)、アンディ(ウォーレス・フォード)、アーニー(フォレスト・タッカー)、ステュー(ダグラス・フォウレイ)、ティップ(リー・ベネット)、ヨーディ(ジョー・ソーヤー)、ウォルト・ハーディスン(ラッセル・シンプスン)

クリスは、「長身、金髪碧眼、右頬に傷のある白人の男」という目撃者の言葉だけを手がかりに、婚約者を死に追いやった男を探していた。コロナー・クリークという町にやってきたクリスは、牧場主のマイルズに会い、彼が探していた男であることを知る。
へまをした手下の顔をいきなり拍車で殴るなど、マイルズはその残忍さを見せるが、復讐に燃える男クリスも、容赦がない。
牧童アーニーとの殴り合いでは、手を潰されたクリスは相手に噛みつき、弾丸のように跳んで頭突きをして反撃し、目には目をといわんばかりに最後には相手の手を潰し返す。
最後の対決でも、マイルズの手下のステューを連れてマイルズの潜む建物に入り、なんのためらいもなくステューを盾にする。
非情なランドルフ・スコットもなかなかいい。(2008.2)

黄色いリボン  She Wore A Yellow Ribbon
1949年 アメリカ 白黒 103分 
監督:ジョン・フォード
主題歌:「黄色いリボン」
出演:ネイサン・ブリトルズ大尉(ジョン・ウェイン)、オリヴィア・ダンドリッジ(ジョーン・ドルー)、フリント・コーヒル中尉(ジョン・エイガー)、ロス・ペネル少尉(ハリー・ケリー・JR)、タイリー軍曹(ベン・ジョンソン)、クインキャノン軍曹(ビクター・マクラグレン)、アビー・オールシャード(ミルドレッド・ナトウィック)
「アパッチ砦」(1948)と「リオ・グランデの砦」(1950)の間に作られた騎兵隊3部作の2作目。
退役を迎えつつあるブリトリズ大尉が、最後の任務としてインディアン襲撃を押さえようとする。
ブリトリズ大尉と飲んだくれのクインキャノン軍曹との愉快ややりとりや、大尉の姪ジョーンと彼女を巡る若い士官コーヒル中尉とペネル少尉の恋のさや当て、そして元南軍のタイリー軍曹の見事な騎乗など、砦における騎兵隊の隊員の活躍とその家族の生活の様子が、比較的ゆるやかに抒情的に描かれる。ブリトルズが亡き妻の墓を参るシーンはしみじみする。(2021.9 事故により消失したため書き直し)

死の谷 COLORADO TERRITORY 
1949年 アメリカ 白黒 94分
監督:ラオール・ウォルシュ
出演:ウェス・マックイーン(ジョエル・マクリ―)、コロラド・カーソン(ヴァージニア・メイヨ)、ジュリー・アン・ウィンスロー(ドロシー・マローン)、フレッド・ウィンスロー(ヘンリー・ハル)
久しぶりにDVDで見直す。
ウォルシュ監督が、ハンフリー・ボガートとアイダ・ルピノ主演のヒット作「ハイ・シェラ」を西部を舞台に作り変えたもの。「ハイ・シェラ」では、男が岩場に追い込まれ、女は無実だというメモを遺して死んでいくが、こちらは男女とも壮絶な死を迎える。
心正しい男でありながら追われる無法者となってしまうウェスを演じるマクリ―もいいが、一途で情熱的な混血娘のコロラドを演じるヴァージニア・メイヨの印象が強烈だ。
彼女と対照的なお嬢さんのジュリーは、脱獄囚であることを知らずウェスに惹かれていたものの、ウェスの正体を知るやいなや手のひらを反すが、彼女の父のウィンスローはウェスの善良な本質を見抜いているのがいい。
教会の鐘で終わるラストシーンは泣ける。
(2021.4 事故により消失したため書き直し)

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