みちのわくわくページ

○ 映画(2023年)

<見た順(降順)> バービー、 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE、 君たちはどう生きるか、 リトル・マーメイド、 ザ・フラッシュ、 シン・仮面ライダー、 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル、 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3、 1883

バービー BARBIE
2023年 アメリカ 114分
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:バービー(定型。マーゴット・ロビー)、ケン(ライアン・ゴズリング)、グロリア(アメリカ・フェーラ)、サーシャ(アリアナ・グリーンブラット)、アラン(マイケル・セラ)、

バービーたち:へんてこバービー(ケイト・マッキノン)、大統領バービー(イッサ・レイ)、物理学者バービー(エマ・マッキー)、医者バービー(ハリ・ネフ)、最高裁判事バービー(アナ・クルーズ・ケイン)、作家バービー(アレクサンドラ・シップ)、弁護士バービー(シャロン・ルーニー)、外交官バービー(二コラ・コークラン)、報道記者バービー(リトゥ・アルヤ)、マーメイドバービー(デュア・リパ)、ミッジ/妊婦バービー(エメラルド・フェネル)
ケンたち:(シム・リウ、スコット・エヴァンス、キングスリー・ベン=アデイル、チュティ・ガトウ、)、ルース(バービーの生みの親。リー・パールマン)、マテル社CEO(ウィル・フェレル)、マテル社幹部(ジェイミー・デメトリウ)、インターン(コナー・スウィンデルズ)
ナレーション(ヘレン・ミレン)
極彩色のおしゃれなファンタジー・コメディと思ったら、ジェンダー問題にまっこうから取り組んだ映画でもある。
プロローグは、「2001年宇宙の旅」のパロディになっていて、モノリス化したバービーが登場。(実は「2001年」は、冒頭だけ見て見るのを断念したことがあって、そのあと2度目の挑戦で全部見たけど、世間の評価とは逆にそんなには好きではなく、でもパロディにされることが多いので、ネタ元がわかるから見といてよかったと思う。)
定型のバービーは、多様な才能を持つバービーたちやボーイフレンドたちと、ピンク色のバービーランドでおもしろおかしく暮らしていたが、ある日、彼女の身体に異変が。持ち主である人間の影響によるものだという物知りのへんてこバービーのアドバイスで、バービーは乗り物を乗り継いでケンとともに現実世界へ。そこはバービーランドとは真逆の男中心の世界で、バービーは男たちからは好色な目で見られ、少女たちからは嫌われる。バービーの持ち主は、マテル社の秘書のグロリアとその娘のサーシャだった。問題解決のため、バービーは母娘を連れてバービーランドへ戻るが。
バービーの付属品扱いをされていたケンは、現実世界の男社会を見て自我に目覚め、バービーランドをケンの王国にしようとする。が、男社会の男たちもまた悩める存在という視点があるので、マッチョぶる男たちをおもしろおかしく描くことへの遠慮が感じられ、バービーたちの作戦にまんまとひっかかった男たちが同士討ちとなる、そのへんの展開が痛快でもなく、かといって悲壮でもなく、みていてなんだか中途半端に感じた。男をやたら非難してけちょんけちょんに攻撃する女性映画とは一線を画すと思うが、後半は地味な感じがした。
バービーの発売元マテル社のCEOと幹部たちが愉快なおじさんたちとして描かれているところに、マテル社の、引いてはアメリカ社会の度量の大きさを感じた。
マーゴット・ロビーは魅力的で、多様なデザインのバービーたちがたくさん登場してくるのも、手の込んだつくりのバービーランドも楽しかった。ラストのクレジットで映画に出てきたバービーたちの実際の商品が示されるのが親切でうれしかった。(2023.8)


ミッション:インポッシブル デッド・レコニング PART ONE
MISSION: IMPOSSIBLE - DEAD RECKONING - PART ONE
2023年 アメリカ 164分
監督:クリストファー・マッカリー
出演:イーサン・ハント(IMFエージェント。トム・クルーズ)、ルーサー・スティケル(IMFコンピュータ技術者。ヴィング・レイムス)、ベンジー・ダン(IMFテクニカルフィールドエージェント。サイモン・ペッグ)、イルサ・ファウスト(元M16エージェント。レベッカ・ファーガソン)
アラナ・ミツソポリス/ホワイト・ウィドウ(闇市場の武器仲買人。ヴァネッサ・カービー)、グレース(ヘイリー・アトウェル)、パリス(フランスの暗殺者。ポム・クレメンティエフ)、ガブリエル(イーサイ・モラレス)、ユージーン・キトレッジ(IMF元ディレクターで現CIA長官。ヘンリー・ツェーニー)、ジャスパー・ブリッグス(CIAエージェント。シェー・ウィガム)、ドガ(CIAエージェント。グレッグ・ターザン・デイヴィス)

シリーズ第7作。160分を超える長尺でしかもパート・ワンだというので、ちょっと二の足を踏んだのだが、見てよかった。楽しかった。
アクションに次ぐアクションでそれぞれのシーンがいちいち長い。砂漠の騎馬での追っかけ、延々と続くカーチェイス、ベニスでの路上の格闘、クライマックスはオリエント急行での列車アクションでこれがまた長いことこの上ない。のだが、いろいろな趣向があって飽きずにわくわくして見られる。たとえばカーチェイスのシーンも、途中で車を変えて、しかもイーサンと女泥棒のグレースが手錠でつながれていて、並びの関係から最初グレースがハンドルを握るが運転がすごく下手でイーサンが変わるも手錠につながれている手が窓側だからすごく運転しづらいシチュエーションとなる、といった塩梅だ。
腕利きなはずなのに、女泥棒に何度も逃げられ、オリエント急行の屋根に飛び移るのに失敗してガラス窓を突き破パラシュートごと突っ込むなど、適度に間抜けでユーモアがあるところがイーサンとこのシリーズの魅力だったことを思い出した。
敵はAI、イーサンの仲間のルーサーとベンジーもITを駆使して戦うが、そのくせみんなが狙う獲物は、二重十字架型の鍵というとてもアナログな「もの」なのもいい。鍵の秘密は、ラストになってイーサンらに明かされ、ここでやっと冒頭のロシアの潜水艦セヴァストポリの事件につながる。次回は深海に沈む潜水艦を巡る戦いにという期待を抱かせて終わるので、えーまだ続くのかよといううんざり感が払拭され、まんまと続きが見たいと思った。忘れないうちにやってくれるといいのだが。(2023.8)
関連作品:映画「ミッション・インポッシブル」(1996年。監督:ブライアン・デ・パルマ)、「M:I-2」(2000年。監督:ジョン・ウー)、「M:i:Ⅲ」(2006年。監督:J・J・エイブラムス)、「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」(2011年)、ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015年)、「ミッション・インポッシブル フォールアウト」(2018年)


君たちはどう生きるか
2023年 日本 124分
監督・原作・脚本:宮崎駿
音楽:久石譲
主題歌:「地球儀」米津玄師
出演(声):牧真人(まひと。山時聡真)、牧正一(真人の父。木村拓哉)、久子(真人の母。木村佳乃)、夏子(真人の継母、久子の妹。木村佳乃)、ヒミ(久子の少女時代。あいみょん)、
アオサギ(菅田将暉)、キリコ(柴咲コウ)、老ペリカン(小林薫)、異世界の殿様・大叔父(日野正平)、インコの王(国村隼)、老婆のキリコ(大竹しのぶ)、ほかの老婆たち(竹下景子、滝沢カレン、阿川佐和子、風吹ジュン)

★ネタバレあります! 注意!!★

派手な宣伝は一切せず、突然の公開が話題となった宮崎駿監督の新作。
唯一の前情報のポスターが示す通り、鳥がたくさん出てくる映画だった。タイトルの本のことはちょっとだけ出てくる。
太平洋戦争中、空襲による病院の炎上で母を亡くした少年真人は、田舎で工場を営むことになった父とともに、母の生まれ故郷に疎開する。真人は母の妹で新しい母となる夏子に迎えられる。
地元の旧家であるらしい母の実家はとても広い敷地に何棟も建物があるお屋敷で、七人の小人のような七人の婆やが真人の面倒をみてくれるのだった。婆やたちは、湯ばあばやトトロに出てきたおばあさんなどこれまで見たことのある老婆がいっぱいという感じだ(キリコ婆さんだけが面長でちょっと容姿がちがっている)。
真人は森の中で謎めいた塔を見つけるが、そこは異世界への入口となっていた。つわりで苦しむ夏子が憑かれたように塔の奥に姿を消す。彼女を追って、また、死んだ母が生きているという怪しげなアオサギの誘いに乗って、真人は「下の世界」に入り込み、そこで不思議な者たちと出会う。老婆と同じキリコという名の船頭、塔の創造者で世界の王となっている大叔父、火をあやつる力を持つ少女ヒミ、インコの王様と軍隊、ペリカンたち、これから生まれてくるこどもたちの元となるわらわら(すみっこたちを思い出す)など。
少女でなく少年が主人公である。母を亡くし、継母となる叔母に複雑な思いを抱く少年が、不思議な世界で冒険をする。失った母を求める話の主人公は男の子が多いような気がする、「鋼の錬金術師」もごく最近の「ザ・フラッシュ」も死んだ母をよみがえらせようとするのは男(の子)だ。
老婆やカエルや魚やたばこや和洋折衷の建物や森や丘や草原や風や波などこれまで宮崎作品で目にしたことがあるイメージが次々と怒涛のように押し寄せてくる。見慣れたものばかりで目新しさに欠けるという感想も聞くが、これだけ集まると壮観だ。
夏子というやけに色っぽい大人の女性が出てきたと思っていたら後半になってヒミが出てきてやっぱりこういう美少女は出てくるのかと思いつつもちょっとガクッとなり(これは「紅の豚」で感じたのと同じ「ガクッ」だ)、しかも着ているのはメイドみたいな服だと思ったら、夫はアリスだという。この映画は少年版不思議の国のアリスなのだと。夫によれば真人はヒミの登場によって踏ん切りをつけて夏子を受け入れられるようになったのだというが、でも私は、ヒミの登場とその正体を知ってちょっと引いてしまった。母親が自分と同年代の少女となってそれもエプロンドレスを身にまとったアリスのいでたちで現れ、いっしょに冒険をするという発想は、斬新というよりはどうにも不気味だ。
鳥がたくさん出てきて楽しいが、飛行機は出てこない。唯一、出てくるのが、風防である。真人の父正一が経営する工場では戦闘機を作っているらしく、お屋敷に大量の風防が運ばれてきて、また運び出されていく。戦闘機の一部である涙滴型全方位風防(ゼロ戦展示を見に行って覚えた)というものだと思うが、これによって戦闘機のイメージが喚起され、戦時中の話であることが改めて示される。
アオサギの弱点が「風切りの七番」で真人がその羽を使った矢を使うのもちょっと作者の飛行機好きを思わせた。(2023.7)


リトル・マーメイド THE LITTLE MERMAID
2023年 アメリカ 135分
監督:ロブ・マーシャル
音楽:アラン・メンケン, リン=マニュエル・ミランダ
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
出演:アリエル(ハリー・ベイリー)、エリック王子(ジョナ・ハウアー=キング)、トリトン王(ハビエル・バルデム)、アースラ(メリッサ・マッカーシー)、セリナ女王(ノーマ・ドゥメズウェニ)、グリムスビー卿(宰相。アート・マリック)
セバスチャン(カニ。声:ダヴィード・ディグス)、フランダー(熱帯魚オヤビッチャ。声:ジェイコブ・トレンブレイ)、スカットル(シロカツオドリ。声:オークワフィナ)

ディズニーの同名アニメの実写版。
アリエルを黒人俳優が演じるというので物議を醸しだしたが、ふたを開ければ、よくできた楽しいファンタジー・ミュージカル・ラブ・コメディとなっている。
アリエルと魔女アースラがよい。声を奪われたアリエルが、城で保護され、王子とでかけてお転婆ぶりを見せるところがなんとも愛らしい。アースラは荒れ狂う海で巨大化するのがいい。
王子は、女王の実の子ではなく庶民派という設定だが、やんちゃで軽はずみなことをするにしてはちょっと年を取っている気がした、もうちょっと若くてもよかったのでは。
海の王トリトンが、三叉戟(さんさげき)を手にした古典的な姿で登場するが、最後に二人を祝福するために姿を見せる、いかめしい姿でどうみても浅瀬の波打ち際近くにぽっこり浮かんでくるのがおかしかった。
実写といいながら、ほぼCGなので、アニメっぽい印象が強い。
カニのセバスチャン、熱帯魚(オヤビッチャという種らしい)のフランダー、カツオドリのスカットル、小動物がヒロインの味方になって応援するのはディズニーの持ち味発揮というところ。設定柄、アリエルと王子になんとかキスをさせようと奮闘する様が愉快でかわいい。
元気でメリハリがあって、楽しめた。(2023.7)

ザ・フラッシュ THE FLASH
2023年 アメリカ 144分
監督:アンディ・ムスキエティ
出演:バリー・アレン/フラッシュ(エズラ・ミラー、少年時代:イアン・ロー)、アルフレッド(ジェレミー・アイアンズ)、ワンダーウーマン(ガル・ガドット)、アーサー・カリー/アクアマン(ジェイソン・モア)、ブルース・ウェイン/バットマン(ベン・アフレック、マイケル・キートン、アダム・ウェスト、ジョージ・クルーニー)、カーラ・ゾー=エル/スーパー・ガール(サッシャ・ガジェ、ヘレン・スレイター)、スーパーマン(クリストファー・リーヴ、ジョージ・リーヴス、ニコラス・ケイジ、)、ゾッド将軍(マイケル・シャノン)
ヘンリー・アレン(バリーの父。ロン・リヴィングストン)、ノラ・アレン(バリーの母。マリベル・ベルドゥ)、アイリス・ウェスト(カーシー・クレモンズ)

「ジャスティスリーグ」は見ていないので、バットマンと同じ系列のアメコミのヒーローらしいということだけしか知らないで見た。
超高速で移動できるフラッシュは光より早いので、時を超えることができるという理屈なのか、「エブエブ」など昨今大流行のマルチバースがここでも登場。せわしなく、騒々しく、カラフルで、わけがわかんなくなる超時空越えSFアクションだ。
フラッシュの正体はバリーという、一見ぱっとしない、心優し気な青年である。彼は、バットマンの弟分みたいな感じで、危機に陥った人々を助ける。冒頭の、崩壊する病院のビルから落下する赤ちゃん集団と助産婦さんを救助するシーンは、危機とほんわかさが入り混じっていておもしろかった。最初の世界でのバットマンは、ベン・アフレック演じるごつい感じのバットマンである。
バリーの母は何者かに殺され、父親が容疑者として逮捕され、裁判が間近に迫っていた。
バリーは母親を救いたいという超個人的な理由から時空を超えて、母が殺される日にタイムリープする。彼は、殺される前の母と逮捕される前の父と、大学生のちゃらい自分に出会う。
が、彼が母の死を回避しようとしてスーパーマーケットで缶詰を一個買い物かごに入れたためか、世界は変化し、スーパーマンの最強の敵ゾッド将軍が登場、地球を滅亡させようとする。
人類の危機を救うため、バリーはスーパーマンを探すが、その世界にスーパーマンはいなかった。
バットマンのブルースは老人となりすでに引退していたが、やがてバリーに協力することに。このバットマンはマイケル・キートンで、彼の登場により、映画はぐっと引き締まったように感じられた。
スーパーガールも登場。金髪ロングヘアのイメージのある彼女は、この世界では黒髪のショートヘア、どこか悲壮感を漂わせる美少女である。
バリーは、能力を得た若い自分も引き連れ、つまり二人のフラッシュ、バットマン、スーパーガールのチームがゾッド将軍率いる悪の軍団と対決することに。
母の死を食い止めるため、若いバリーは何度も同じタイムリープを繰り返し、やがて世界はバランスをくずす。マルチバースなので、極彩色でよくわからない時空間に歴代のヒーローたちが姿を見せるなど、アーカイブの映像を出しまくって、作り手はやりたい放題である。
母の死は変えられないが、バリーがスーパーマーケットの缶詰の缶の位置をずらすことで父の容疑をはらすことには成功する(買い忘れた缶をかごに入れるのはNGだが、棚を移動するのはOKらしい)。棚の高い位置に手をのばして監視カメラに顔がしっかり映ったことで、父のアリバイが成立したのだ。
ということで、野放図に広げられた風呂敷はなんとなく畳まれたような気にさせられ、物語は終了となるのだが、世界はちょっとだけ変わっていて、ブルース(バットマン)はジョージ・クルーニーになっているのだった。という解釈でいいのだろうか。(2023.7)


シン・仮面ライダー
2023年 日本 公開東映 121分
監督:庵野秀明
アクション監督:田淵景也
原作:石ノ森章太郎
出演:本郷猛/仮面ライダー(池松壮亮)、緑川ルリ子(浜辺美波)、一文字隼人/仮面ライダー2号(柄本佑)、緑川弘博士(塚本晋也)、緑川イチロー/チョウオーグ・仮面ライダー0号(森山未來)、ショッカーの創設者(松尾スズキ)、ヒロミ/ハチオーグ(西野七瀬)、コウモリオーグ(手塚とおる)、KK(カマキリカメレオン)オーグ(本郷奏多)、サソリオーグ(長澤まさみ)クモオーグ(声:大森南朋)、K(声:松坂桃李)、タチバナ(政府の男。竹野内豊)、タキ(諜報機関の男。齋藤工)、猛の父(中村トオル)、緑川イチローの母(市川実日子)、猛の父を殺した犯人(安田顕)

アマゾン・プライムの配信で見る。陰気なライダー1号ととにかく不幸な境遇にありながら有能で頑張ってますって感じの美女ルリ子の存在が、悪いけどどうにもうっとうしくて、二人のやりとりとか苦手で見てられない部分もあった。ライダー2号が出てきてやっと気持ちが楽になった。
仮面ライダーの宙返りとか、ダブルライダーキックとかはたいへんなつかしかった。ショッカーの戦闘員が、ライダーに殴られたり蹴られたしするたびに血が飛び散るのはあえてそうしているのだろうが、どうも違和感があった。プレデターみたいなカマキリカメレオンオーグはよかった。長澤まさみのサソリオーグは期待したほどはよくなかった。ハチオーグの方がいいと思った。配役がやけにゴージャスな深夜ドラマを見ているようだった。
というひどく幼稚な感想しか思いつかないのだった。(2023.8)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3
   Guardians of the Galaxy Vol. 3
2023年 アメリカ 150分
監督・脚本:ジェームズ・ガン
出演:<ガーディアンズ>ピーター・クイル / スター・ロード( クリス・プラット、日本語版声・山寺宏一)、ロケット(アライグマ。声・ブラッドリー・クーパー、ショーン・ガン(幼年期)/加藤浩次)、グルート(樹木型ヒューマノイド。声・ヴィン・ディーゼル/遠藤憲一)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ/声・楠見尚己)、マンティス(クイルの異母妹。ポム・クレメンティエフ/秋元才加)、ネビュラ(ガモーラの義妹。カレン・ギラン/森夏姫)、クラグリン(ショーン・ガン/土屋大)、コスモ(犬。声・マリア・バカローヴァ/悠木碧)、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ/朴璐美(ぱくろみ)
<オルゴコープ>
ハイ・エボリューショナリー(科学者。カウンターアース創造者。チュクウディ・イウジ/中井和哉)、アダム・ウォーロック(黄金の空飛ぶ男。ウィル・ポールター/竹内駿輔)、アイーシャ(アダムの母。エリザベス・デビッキ)、レコーダー・ヴィム(ミリアム:ショー)、レコーダー・ティール(ニコ・サントス)、マスター・カージャ(警備担当。ネイサン・フィリオン)、ウラ(受付係。ダニエラ・メルシオール)
<ロケットの友だち(過去)>
ライラ(カワウソ、声・リンダ・カーデリーニ/佐倉綾音)、ティーフ(セイウチ。アシム・チャウドリー/かぬか光明)、フロア(うさぎ。ミカエラ・フーヴァー/宇山玲加)
<ラヴェジャーズ>
スタカ―・オゴルド(リーダー。シルヴェスター・スタローン/ささきいさお)、マルティネックス(マイケル・ローゼンバウム)、メインフレーム、クルーガー、ブラープ
日本語吹き替え版で見る。「アベンジャーズ」の何本かでガーディアンズの面々には馴染みがあるが、本シリーズは1作目・2作目とも見ていないので、いきなりの最終話となった。
ガーディアンズが本拠を構えた衛星ノーウェアは、ある日、金色の空飛ぶ男スタカ―・オゴルドの襲撃を受ける。その破壊力はすさまじく、ロケットが重傷を負ってしまう。が、彼の体内にはキルスイッチが組み込まれていて、パスワードが分からないと治療できないことがわかる。ロケットを救うため、ガーディアンズは、ラヴェジャーズの助けを借りてオルゴコープに乗り込む。
前作でピーターは恋人のガモーラを失ったらしくその痛手から飲んだくれていたが、彼女は死んだわけではなく、ピーターと恋人同士であった記憶を持たない、過去からやってきたガモーラがラヴェジャーズにいて、彼女もガーディアンズに加わることになる。このガモーラは、恋人を見る目で自分を見るピーターに対し、至ってクールである。
オルゴコープは、会社の名前らしいが、有機体でできた建設物には生き物の内臓のような壁や設備が整備されている。社主のエボリューショナリーは、狂信的な科学者で、生き物を急速に進化させる研究をしている。彼は、様々な種の動物を人工的に進化させ、カウンターアースと呼ばれる地球に似た星の創造主となっていた。ロケットは、かつて、エボリューショナリーの実験台とされた動物のうちの一匹で、実験の結果、高い知能を持つようになったアライグマだった。ロケットは牢獄のような研究所を脱走したが、エボリューショナリーは、研究のため、ロケットの脳を欲していたのだった。
パスワード獲得のための敵地潜入から、カウンターアースでの戦いへとガーディアンズの活躍が描かれつつ、ロケットの悲壮な過去が明らかにされていく。
個性の強い仲間内の丁々発止のやり取りと、ド派手な攻防、オルゴコープやカウンターアースのカラフルな造形など、終始にぎやかなお祭りのような映画だが、なぜかうんざりせず、すっと入ってきて楽しい。ラヴェジャーズってなにとか、ピーターとガモーラの間にどうゆう悲恋があったのかとか、オルゴコープってなにとか、よくわからなくても、楽しい。2時間半かけて描かれる内容が、詰め込みすぎず、ゆったりとしているから疲れないのかもしれない。懐石料理に出てくるような高級和牛をちょっとだけ使った上品な小鉢の料理ではなく、手ごろなお値段のボリュームあるビフテキをおなかいっぱい食べたような、それでいて胃がもたれることはないような、ちょうどいい感じに肉厚なアメリカ映画だった。(2023.5)

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