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映画 日本映画 マキノ雅弘監督作品

<あいうえお順>
江戸の悪太郎(1959) 婦系図(1942年) 次郎長三国志シリーズ(1952〜54、1963〜65)

江戸の悪太郎
1959年 日本(東映) 91分
監督:マキノ雅弘
出演:剣持三四郎(大友柳太朗)、浪乃(大川恵子)、おすみ(梶すみ子)、三山(石黒達也)、兵助(田崎潤)、弥一(住田知仁)、お栄(喜多川千鶴)、お堪(金貸し婆さん。浪速千栄子)、茂兵衛(大家。堺駿二)、秋山典膳(山形勲)、道満(三島雅夫)
手代木九左衛門(渡辺篤)、手代木七左衛門(高松錦之助)、手代木五左衛門(岸井明)
Tジョイの東映時代劇まつりで見た。1939年の作品のリメイクらしい。
江戸時代の貧乏長屋を舞台に、寺子屋を開き住人達から「先生」と呼ばれて慕われる浪人三四郎を中心に、あこぎな立ち退き要求に立ち向かう長屋の住人達の悲喜劇を描く。
結婚式の日に逃走し、男装して三四郎のところに身を寄せることになった商家のお嬢さん浪乃(どう見ても少年には見えないのがかなり難ではあるが)の目を通して描かれる長屋の人々の生活ぶりが楽しい。酒を飲んではぼやいている二人組の浪人三山と兵助、疾走した夫を待ちながら幼い息子弥一と暮らす武家の妻お栄、美人で酒乱の女スリおすみ、守銭奴だけど憎めない金貸しのお堪婆さんなど、ヴァラエティにあふれた人々が登場する。
いんちき占い師道満を表にたてて更なる金儲けをたくらむ崖の上の旗本秋山典膳は、大家の茂兵衛から無理矢理長屋を買い取り、そこに祈祷台をたてようとする。が、三四郎は、長屋の人々とともに、この悪だくみを阻止する。どこまでも心正しく剣の腕も冴える三四郎は、敵に取り囲まれても、さわやかな笑みを浮かべて、悠然と、斬る。演芸場では、剣舞を舞いながらの立ち回りを見せ、傍らで歌を吟じる田崎潤の芸の披露も興味深い。
クライマックスでは、一人敵陣に乗り込んだ三四郎を救うため、長屋の人々が敵の屋敷の塀にはしごをかけて乱入するという、お祭りさわぎの戦いぶりをみせてくれる。粋で陽気なマキノ節を堪能できる一本である。(2009.11)

関連作品(オリジナル):「江戸の悪太郎」(1939年。日活。監督:マキノ正博、主演:嵐寛十郎)

次郎長三国志シリーズ  (1952〜54年 東宝 全9作)
監督:マキノ雅弘
原作:村上元三「次郎長三国志
主なキャスト:
清水次郎長(小堀明男)、お蝶(若山セツ子)、大政(河津清三郎)、法印大五郎(田中春男)、関東綱五郎(森健二)、桶屋の鬼吉(田崎潤)、増川仙右衛門 (石井一雄)、森の石松(森繁久弥)、追分三五郎(小泉博)、大野の鶴吉(緒方燐作)、
お千(豊島美智子)、投げ節お仲(久慈あさみ)、お園(越路吹雪)、夕顔(川合玉江)、
三保の豚松(加東大介)、島の喜代蔵(長門裕之)、七五郎(山本廉)、小政(水島道太郎)、神戸の長吉(千秋実)、
江尻の大熊(沢村国太郎)、吉良の仁吉(若原雅夫)、身受山鎌太郎(志村喬)、保下田の久六(千葉信男)、黒駒の勝蔵(石黒達也)、
張子の虎吉(広沢虎造)
20年以上前に、池袋文芸地下のオールナイトで第一部から第五部までを続けて見た。
なので、詳細はほとんど覚えていないのだが、とにかく粋で元気がよくて楽しかったように思う。
地味そうでいてしっかり親分の器をもつ次郎長、頼りになる兄貴分の大政、棺桶をかついで走る桶屋の鬼吉、男前の三五郎、諸肌脱いで壺を振る女賭博師のお仲、そして当時新人だった森繁が演じる森の石松など、個性的な面々が次々に出てきて飽きることがなかった。
そして端々で自慢の喉を披露する浪曲師虎吉(広沢虎三)。いつも次郎長寄りなのだが、いざ喧嘩となると、「あっしは足手まといになるんで」といって切った張ったには一切関わってこない、その割り切りのよさが印象的だった。

次郎長三国志 第一部 次郎長売り出す 1952年 82分
次郎長三国志 第二部 次郎長初旅 1953年 83分
次郎長三国志 第三部 次郎長と石松 1953年 87分
次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港 1953年 80分
次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路 1953年 77分
次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家 1953年 104分
次郎長三国志 第七部 初祝い清水港 1954年 87分
次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊 1954年 103分
次郎長三国志 第九部 荒神山 1954年 101分

関連作品:「次郎長三国志」(2008年、監督:マキノ雅彦、主演:中井貴一)

次郎長三国志シリーズ (1963〜1965年 全4作 東 映)
監督:マキノ雅弘
原作:村上元三「次郎長三国志
主なキャスト:
清水次郎長(鶴田浩二)、お蝶(佐久間良子)、お千(藤純子)、新吉(堺駿二)、関東綱五郎(松方弘樹、1〜3話)、桶屋の鬼吉(山城新伍)、大政(大木 実、1〜2、4、中村竹弥、3)、江尻の大熊(水島道太郎)、法印大五郎(田中春男)、森の石松(長門裕之)、 増川仙右衛門(津川雅彦)、佐太郎(藤山寛美)、投げ節お仲(丘さとみ、1〜3)、追分三五郎(大村文武、2、品川隆二、3〜4)、小川武一(近衛十四 郎)、小政(里見浩太郎)、 保下田の久六(遠藤辰雄)、黒駒勝蔵(丹波哲郎)、お園(南田洋子)
(このシリーズは2作目だけ見ました。)
次郎長三国志 1963年
続・次郎長三国志 1963年
次郎長三国志 第三部 1964年
次郎長三国志 甲州路殴り込み 1965年

続・次郎長三国志
1963年 東宝 89分
浅草名画座で見た。
1作目の続きらしい次郎長一家の裸道中から始まる。お絹の実家を尋ね、仙右衛門とお絹の中をおとっつあんに許してもらってから、赤鬼の金平の襲撃を退け、小川武一の家に身を寄せる。その後、武一の身代わりとなって賭博の罪で収監され、牢獄での愉快なエピソードとなる。一方、石松と三五郎が出会って、投げ節お仲を巡っての恋と金の駆け引きを展開。歌あり笑いありの明るく愉快な映画だが、1本の作品としてみるとあまりメリハリがなく脳天気にとりとめなく続く感じは否めない。三五郎の喧嘩に石松が加勢して、林の中での横移動のチャンバラシーンが見られる。黒駒の勝蔵は名前が出てきたところで終わってしまい、対決は次回ということらしい。(2011.5)

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