みちのわくわくページ

○ 本  SF(海外)  〜1999

<作家姓あいうえお順>
永遠の終わり われはロボット(アイザック・アシモフ)
宇宙戦争 タイムマシン(H・G・ウェルズ)
コンタクト(カール・セーガン)
地球の静止する日(アンソロジー 1940〜1964年の作品)
果しなき旅路(ゼナ・ヘンダースン)

われはロボット I, Robot
アイザック・アシモフ著 (1950年 アメリカ)
小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫
巨匠アイザック・アシモフによるロボットをテーマにした短編集。
「ロボット三原則」によって生じるロボット内部でのジレンマとそれによって引き起こされるロボットの不可解な行動の謎を、ロボット心理学者のスーザン・ キャルビン博士や惑星探検隊のパウエルとドノバンが解明していく、という形のものが多い。(2004.10)
☆ロビイ Robbie
ロボットに子どもの世話をさせることに疑問を抱き始めた母親は、子守ロボットのロビイを娘から引き離そうとするが、幼い少女グローリアは、ロビイのことが 大好きだった……。
☆堂々めぐり Runaround
水星の探査基地から鉱物を採取するため派遣したロボット、スピーディが戻ってこない。「彼」は三原則の第二条と第三条の間でジレンマに陥っていたのだっ た。
☆われ思う、ゆえに…… Reason
宇宙ステーションの管理官用に作られたキューティは、自分の存在に関心を示した最初のロボット。技師のパウエルとドノバンがいくら説明しても、自分が人間 の手によって作られた存在であることを信じようとしない。
☆野うさぎを追って Catch that Rabbit
6体のロボットに指令を下して作業を行うロボット、デイブは、人間がいないところで危機に遭遇するとおかしな行動をとってしまう。イニシアティブに関わる ロボットの機能の解明。
☆うそつき Liar!
ハービイは、人の心が読めるロボット。人間から他の人間の思惑について尋ねられると、ロボット三原則第一条に則った言葉を返さざるを得ない……。
☆迷子のロボット Little Lost Robot
63体の同じ型のロボットの中に、1体だけロボット三原則第一条の内容が弱められているロボット、ネスター10号が逃げ込んだ。キャルビン博士は、様々な 手で彼を見つけだそうとするが。
☆逃避 Escape!
USロボット&機械人間株式会社の電子頭脳(ブレーン)は、初めての恒星間飛行を成功させたが、そのために彼はキャルビン博士からあるジレンマを解決する ためのアドバイスを受けていた。
☆証拠 Evidence
市長選の最有力候補であるバイアリイ氏に、彼はロボットではないかという疑惑が浮上した。彼が人間であることを証明するのは、かなり難しかった。
☆災厄のとき The Evitable Contlict
地球は連邦政府によってひとつにまとまっていた。世界統監となったバイアリイ氏は、世界各地で生じている経済的な異変に気づいた。ひとつひとつの異変は些 細なものであったが、ロボットが管理する上で起きてはいけないものであった。

映画化:「アイ、ロボット
引用:ロボット工学の三原則
第一条    ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条    ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
第三条    ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。


宇宙戦争 The War of the World
H・ G・ウェルズ著(1898年) 中村能三訳 角川文庫
「宇宙戦争」は、私が中学生のころ自分で買った初めての文庫本だという点でちょっと思い出深い。が、中身については、そんなに面白くなくて、ただ意地で最後ま で読んだような気がする。火星人にやられっぱなしの地球の悲惨な状況がえんえんと描かれているばかりで、ちゃんと覚えているのは最後のシーンだけだっ た。
映画化に先だって、30年以上ぶりに読んでみた。確かにやられっぱなしの地 球人の様子がえんえんと描かれていた。火星人の襲撃によって瞬く間に非常事態に陥って混乱するロンドンほかイギリスの町における一般市民の様子が具体的な 地名を交えて細かく記され る。消化器官という余分なものを排除して頭部と手 (触手)だけという究極の姿に進化した火星人、彼らが乗ってきた円筒形のロケッ ト、三本の脚で移動する攻撃機 械、そこから浴びせられる強力な熱線、地を這うように広がる重たい黒い死のガス、蜘蛛に似た工作機械、荒廃した地上にはびこる火星の赤い蔦植物など、今読 む と、いや今読んでも、どれもこれも鮮烈なイメージをもたらすアイテムである。火星人の発する「ウラ、ウラ、ウラ」という叫び声はぞっとするほどもの悲しく 不気味だ。
30年前に漠然と感じた曖昧さと不確かさを今回もまた感じた のだが、どうや らその原因は主要人物の匿名にあるような気がする。「私」「妻」「弟」「砲兵」「牧師補」。彼らは、最後まで個人名を明かさない。これに対し、天文学者 オーグルヴィやエルフィンストン夫人など固有名詞で示されている人物もいるので、別に徹底した考えはなかったのかも知れないが、この無名さが妙に火星人の 視点(全部同じような地球の生き物) を思わせて落ち着かない。楽しさも勇ましさもないが、今回は読んでおもしろいと思った。とにかく強烈だった。硬質の文章も潔い(翻訳だけど)。 (2005.6)

映画:「宇宙戦争」(1953年)制作:ジョージ・パル、「宇宙戦争」(2005年)
ラジオ番組:「宇宙戦争」(1938年) 制作・監督・主演:オーソン・ウェルズ
(株)ユニコムから、ミステリー劇場というシリーズのBとしてCDが発売されている。シナリオ原文と日本語訳がついている。
関連作品(TVM):「アメリカを震撼させた夜」(1975年)


コンタクト Contact
カール・セーガン著(1985年)
新潮文庫(上・下) 池央耿・高見浩訳
アメリカの天文学者が、地 球外知的生物と地球人との交信をまっこうから描いたハードSF。
SETI(地球外知的生物探索)を 主な任務とする電波探査施設アーガスの責任者である天文学者エリー・アロウェイは、ある夜、謎の電波信号をキャッチする。厖大な素数系列からなるその電波 は、地球から26万光年離れたヴェガ星系から発信されているのだった。電波信号から解読された映像は、なんと地球から発信されたヒトラーのテレビニュース 映像だった。そのあまりの意外さに人々は驚愕するが、メッセージは、幾重にも重なっていて、更に奥には、あるマシーンの設計図が隠されていた。図の様子か らマシーンは宇宙船のように思われた。「彼ら」は、未知の技術を駆使した宇宙船を製造し、それに乗ってきなさい、と地球人に伝えてきたのだ。
メッセージはなぜ送られてきたの か。「彼ら」が、マシーンで地球人たち(の代表者)を呼び寄せたのは何のためだったのか。謎は結局多く残されたままだ。
が、この小説の眼目は、むしろ、突 然の異星人からのメッセージに対し、地球人がどう対応するかということにあるように思う。
メッセージが届いたのは、まだ米ソ 両陣営が対立していた時代、この世界では世紀末になってもソ連は存続し、おそらくベルリンの壁もなくなってはいない。そんな世界に、突然送られてきた地球 外知的生物からのメッセージ。それぞれの思惑を持つ各国政府の首脳陣を始め、地球上は騒然となる。が、やがて各国は手を結び、マシーンの製造に取り組むこ ととなる。
科学者と宗教家の論争も丁寧に描か れる。天文学者のエリーと、宗教家パーマー・ジョスとの何度かに渡るやりとりは、一方に偏ることなくそれぞれの立場を尊重して、二人を魅力的に寛容な視点 から描いているように思われる。
エリーは、幼い頃から数学や科学に 興味を抱き、女性科学者が少なかった時代にその能力を発揮する。彼女が、幼いころに最愛の父を亡くしたこと、そのせいか母と継父との関係がうまく行かずに 悩んでいること、あるいは、アメリカ大統領科学担当顧問の生物学者ダヘーアと恋に落ちることなど、一連のマシーン・プロジェクトの経過の合間に、ヒロイン である彼女の個人的事情がしばしば挿入される。こうしたことは、地球外知的生物との初めての交信という歴史的な大事件とは対照的で、それが返って、計画に 関わるのもそれぞれの人生事情に悩んでいる個々の人間であるということが示されているようで好感を抱く。
日本が、マシーン計画において重要 な位置を占めてくるのも興味深い。ヴェガは、日本では七夕の織女星として知られる星である。作者はそれも承知していて、日本における七夕まつりの描写も入 れている。
最後に出てくる円周率の件は、謎は 残るが、実に壮大で感動的だ。(2009.9)

映画化:「コンタクト」(1997年)アメリカ、監督:ロバート・ゼメキス、主演:ジョディ・フォスター

果しなき旅路 Pilgrimage
ゼナ・ヘンダースン著 (1959年 アメリカ)
深町真理子訳 ハヤカワ文庫
渓谷の鉱山町でひっそりと暮らすちょっと風変わりな人々。彼らは、故郷をを失い、宇宙を旅する途中で遭難し 地球に不時着した異星の種族<ピープル>だった。
自分の出自をしらず特殊な能力ゆえに孤立し苦悩する<士族>の面々が、やがて仲間に出会うまでの経緯が描かれる連作短篇。
教師であったという作者は、僻地に赴任される女教師を何人も登場させ、彼女たちに重要な役割を与えている。彼女たちは、普通の地球人であったり、ちょっと ちがう地球人であったり、<氏族>の一員であったりとバリエーションに富んでいる。
何年も前に衝動買いしてそのまま本棚に埋もれさせていたのをやっと読んだ。おもしろかった。超能力を隠して生きる人々という設定や、超能力の使い方など、 日本のアニメや漫画で扱われる超能力ものの大もとのようにも感じた。仲間だけで固まって暮らしてはいるのだが、完全に排他的でなく、普通の地球人との交流 がわりとゆるめに行われているところが、興味深い。(2004.10)


地球の静止する日
角川文庫(2008年)
過去に映画化やテレビドラマ化(「トワイライト・ゾーン(1959〜64)」及び「アウター・リミッ ツ(1963〜65)」のエピソード)された作品の原作及び小説化作品を集めた短編集。<
★地球の静止する日 Farewell to the Master
ハリー・ベイツ著(1940) 南山宏訳
突然、地球上に出現した謎の旅行船と訪問者。美しき大使クラートゥ亡き後も、残された身の丈8フィー ト のロボット、グナットはじっとその場に留まっていた。が、グナットのかすかな異変に気づいた新聞記者クリフは、彼を見張っていた夜、不思議な光景を目にす る。ついに動きを見せたグナットは、どこからともなく現れては 絶命する地球上の生物に対し、哀れみのまなざしを向けていた。クラートゥよりもグナットに焦点をあてた小説は、映画の内容とはだいぶ違う。
映画化:「地球の静止する日」(1951年、ロバート・ワイズ監督、マイケル・レニー主演)、「地球が静止する日」(2008年、スコット・デリクソン監 督、キアヌ・リーブス主演)

★デス・レース  The Racer
イブ・メルキオー著(1956) 尾之上浩司訳
未来のアメリカでは、大陸を縦断する非情なレースが行われていた。レーサーは速さを競うだけでなく、 道行く人をはね飛ばし、犠牲者を出すとその分ポイントが加算されるというしくみになっていた。一流のレーサーであるウィリーは、ポイントを稼ぐため、回り 道をして田舎町に寄っては犠牲者を増やしていく。が、ある町で、規則を破って事故現場に降り立った彼は、期待していた賞賛の眼差しではなく、人々から憎悪 の目を向けられ、戸惑う・・・。
映画化:「デスレース2000年」(1975年、ロジャー・コーマン制作、ポール・バーテル監督、デイヴィッド・キャラダイン、シルベスター・スタローン 主演)、「デスレース」(2008年、ポール・W・S・アンダーソン監督、ジェイソン・ステイサム、タイリース・ギブソン主演)

★廃墟  The Enough at Last
リン・A・ヴェナブル著(1953) 尾之上浩司訳
一瞬の間に世界戦争が終わり、廃墟と化した世界で、近視のヘンリーは、以前からの悲願である読書を楽しもうと、本を手にとるが。
「トワイライト・ゾーン」でドラマ化。

★幻の砂丘  Beyond the Rim
ロッド・サーリング&ウォルター・B・ギブスン(1964) 尾之上浩司役
サーリングが脚本を書いたトワイライト・ゾーンのエピソードをギブスンが小説化。
1847年、カリフォルニアを目指して過酷な砂漠の旅を続けていた幌馬車隊隊長クリストファー・ホーンが、水場を捜しに赴いた砂丘で、1964年にタイム スリップする物語。水も食料もなく、アパッチの襲撃に怯え、大事な息子が病気になり、気力も尽きかけていた状況から、トラックが猛スピードで舗装道路を駆 け抜け、砂漠の真ん中の食堂に水も電気も引かれている現代に放り出されて驚愕するホーン。一方、食堂経営者のジョー・スカーニイは、旧式のライフルを手に 店にやってきた謎の男の不可思議な言動に戸惑う。
それぞれの時代に生きる夫婦が、変わらぬ砂漠の夜景を眺めながら、相手の時代に思いを馳せるラストが趣深い。

★アンテオン遊星への道 Counterweight
ジェリイ・ソール著(1959) 尾之上浩司訳
大勢の移民を運ぶ巨大宇宙船。1年に及ぶ宇宙の旅を人々が快適に過ごせるよう、船内には様々な施設が 作られ、行き届いた環境が整備されていた。ところが、船内で犯罪が発生。最初は、些細な窃盗事件と思われたが、やがて殺人事件が起こり、赤いマスクをか ぶった犯人が目撃される。乗客たちは、犯人を捕まえるため、団結する。犯人の意外な正体は。
「アウター・リミッツ」でドラマ化。

★異星獣を追え!  Good Night, Mr. James
クリフォード・D・シマック著 尾之上浩司訳
森の近くの斜面で突如目覚めた男、ヘンダースン・ジェイムズ。意識がハッキリするに連れ、彼は自分が 何者で、どのような任務を負っているのかを思い出していく。彼の仕事は、自分の不注意で解き放ってしまった危険な異星の生物を退治することだった。が、つ いに見つけた標的の生物は、テレパシーで彼に謎の言葉を残すのだった。
「アウター・リミッツ」でドラマ化。

★見えざる敵 The Invisible Enemy
ジェリイ・ソール著(1955) 尾之上浩司訳
未知の惑星で謎の失踪を遂げた宇宙船乗組員の捜索に出向いた調査隊一行。砂漠とわずかな植生ばかりの 惑星で探索が始まる。姿を見せない敵がじわじわとせまってくる恐怖と、ついに敵が正体を現すラストの衝撃がすごい。
「アウター・リミッツ」でドラマ化。

★38世紀から来た兵士 Soldier
ハーラン・エリスン著(1957) 尾之上浩司訳
第七次世界大戦が勃発している未来の世界。凄惨な戦闘が繰り広げられる戦場から、突如現代の地下鉄駅 ホームにタイムスリップした上等兵クァーロ。強力な未知の兵器を携えていた彼は国防総省に送られる。顧問のシムズは、言語学者ソームズの力を借りて彼との 意思疎通を図り、クァーロが喋っていた謎の言葉は変化した英語であること、彼が遠い未来から来た兵士であることを知る。彼の処遇に悩むシムズは、やがて彼 に未来の戦場での体験を語らせることを思いつく。
「アウター・リミッツ」でドラマ化。

★闘技場(アリーナ) Arena
フレドリック・ブラウン著(1944) 尾之上浩司訳
侵略者(アウトサイダー)と地球軍は全面戦争に突入していた。偵察機に搭乗していたカースンは、敵と 交戦中に意識を失い、気づくと青い砂漠が続くドーム状の空間にいた。同じ空間には、赤い球状の回転体と呼ばれる敵が一体だけいた。やがて謎の声が響く。そ れは、無駄な戦闘を避けるため、ここにいる二人がそれぞれの陣営の代表として戦い、生き残った方を勝利者とすると告げた。カースンは、トカゲとわずかな植 物しか見られない青い砂漠で、武器も食料も水もないまま、人類の存亡をかけた戦いに挑む。
「アウター・リミッツ」でドラマ化。

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