みちのわくわくページ

○ 外国映画(2005年)

<タイトルあいうえお順>
アイランド、 アレキサンダー、 頭文字[イニシャル]D、 宇宙戦争、 カンフー・ハッスル、 サハラ 死の砂漠を脱出せよ、 Shall We Dance?、 シン・シティ、 スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐、 単騎、千里を走る、 チャーリーとチョコレート工場、 ネバーランド、 バットマン・ビギンズ、 ブラザー・グリム、 ミリオンダラー・ベイビー

アイランド The Island
2005年 アメリカ 136分
監督:マイケル・ベイ
出演:リンカーン・6・エコー/トム・リンカーン(ユアン・マクレガー)、ジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)、メリック(ショーン・ ビーン)、ローレント(ジャイモン・フンスー)、マック(スティーブ・ブシェミ)、アイランドジョーンズ・3・エコー(イーサン・フィリップス)、スター クウェザー(マイケル・クラーク・ダンカン)
近未来。地球の汚染から逃れるため厳重に管理された施設でくらす人々。「アイランド」と呼ばれる楽園へ行くことが彼らの究極の目的だった。が、実はそこは金持ちの「クローン人間」培養施設だった。リンカーンとジョーダンは、脱走して自分の「原型」に助けを求めるが……。
主演の二人が魅力的。自分の生活に疑問を持ちはじめたリンカーンが、ついに真相を知るまでの展開はスピーディでスリリング。アクションに次ぐアクションの二人の逃避行もみどころがいっぱいである。
彼らに手を貸す技師マックをブシェミがいつもの泣きそうな笑顔を見せて好演している。ビーンは、今回はダークサイドの博士役。(2005.8)

この一言(No.15):「いい思い出だ。おれの悲惨な少年時代の思い出と取り替えてもらいたい。」

アレキサンダー Alexander
2004年 アメリカ 173分
監督:オリバー・ストーン
出演:アレキサンダー(コリン・ファレル)、ヘファイスティオン(ジャレッド・レト)、カッサンドロス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)、パルメニオン(ジョン・キャバナン)、クレイトス(ゲイリー・ストレッチ)、フィリッポス(ヴァル・キルマー)、オリンピアス(アンジェリーナ・ジョリー)、ダレイオ ス王(ラズ・デーガン)、ロクサネ(ロザリオ・ドーソン)、アリストテレス(クリストファー・プラマー)、プトレマイオス老(アンソニー・ホプキンス)、 ブーケファラス(アレキサンダーの馬)
史上初めて世界を統一したマケドニアのアレキサンダー大王の生涯を描く。
コリン・ファレルは好きなのだが、本作で彼が演じるアレキサンダーは、あまりにも王としての威厳に欠ける。「アメリカン・アウトロー」でジェシー・ジェームズを演じたファレルは、西部の無法者が銀行襲撃の段取りを仲間たちに説明するのとおんなじように、マケドニアの戦士にペルシャ軍との 戦いの布陣の説明をする。いや、ジェシーの時の方が、仲間を引きつける魅力があった気がする。アレキサンダーには、危ない奴だと思いつつ、目の当たりにす るとどんどん惹かれていってしまう、という強烈な魅力がほとんど感じられない。それが監督のねらいなのかも知れないが、そんな大王を観てもおもしろくな い。王の男色をどうどうと描いた問題作とされるが、それよりも王としてちゃんとしていないことの方が問題だと思う。
ペルシャ軍との砂埃舞い上がる広大な砂漠での壮絶な闘い、インドの森林での象の軍隊との闘い、片目の王フィリッポス、魔性の母オリンピアス、アレキサンダーの思いつきで第一夫人にされたバクトリアの王女ロクサネ、アレキサンダーを愛する盟友ヘファイスティオンは、いい。(2005.2)


頭文字[イニシャル]D THE MOVIE INITIAL D
2005年 香港/中国 109分
監督: アンドリュー・ラウ、 アラン・マック
原作:しげの秀一
出演:藤原拓海(ジェイ・チョウ)、茂木なつき(鈴木杏)、立花樹(チャップマン・トー)、高橋涼介(エディソン・チャン)、中里毅(ショーン・ユー)、須藤京一(ジョーダン・チャン)、岩城清次(リュウ・ケンホン)、藤原文太(アンソニー・ウォン)、立花祐一( ケニー・ビー)
DVDで見る。
しげの秀一(私的には「バリバリ伝説」の人というイメージである)の漫画を香港で映画化。
一見、茫洋とした豆腐屋の息子、だが、実はものすごいドライビング・テクニックを持ち、ハチロクを駆って、見事なドリフト走行をする高校生藤原拓海。走り屋たちと峠のバトルを展開する。
CGは使ってないらしい。
鈴木杏が、わけありのヒロイン役で登場。(2012.10)


宇宙戦争 War of the World
2005年アメリカ 117分
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:「宇宙戦争」H・G・ウェルズ
出演:レイ(トム・クルーズ)、レイチェル(ダコタ・ファニング)、ロビー(ジャスティン・チャットウィン)、オーグルビー(ティム・ロビンス)、マリー アン(ミランダ・オットー)、ナレーション:モーガン・フリーマン
離婚経験を持つ荷揚げ労働者のレイは、久しぶりに会いに来たティーンエイジャーの息子ロビーと10歳の娘レイチェルを持てあましていた。
やがて前代未聞の大事件が起こり、自分自身がパニックに陥りながらも、彼は瓦礫と化したアメリカの地を、子どもたちを連れて妻の実家に向かう。
突然の火星人襲来。圧倒的な武力で町を破壊する彼らと、逃げまどう地球人たち。
一瞬にして電気が使えなくなってしまったので、人々に世界の状況はほとんどわからず、噂話だけが飛び交う。
映画は、一貫して一般人のレイの視点からひたすら周囲の惨状を追う。
地中から派手に登場する三本足のばかでかい兵器トライポッド、墜落した旅客機の残骸、横倒しに転覆するフェリー、はびこる赤い火星の蔦など、目に鮮やかなシーンが次々と現れる。
2001年制作のスピルバーグの映画「A.I.」の中では世界貿易センター ビルは2000年後の未来までその偉容を誇っていた。「宇宙戦争」では破壊されまくるアメリカが描かれた。間に9.11があると万人が指摘するところだろうが、川面を埋めるように流れていく死体や消滅した人々が遺した衣服が宙に舞い散るのを見て私が思い出したのは、「シンドラーのリスト」だった。
さらにラストシーンでは「捜索者」を思い出した。ロビーが抱きついてきてくれるが、レイが感じた孤独はイーサンが感じたそれと共通するものがあったようにと思う。(2005.7)


カンフー・ハッスル Gong fu
2004年 中国/アメリカ 103分
監督:チャウ・シンチー
出演:シン[如来神掌](チャウ・シンチー)、シンの相棒(ラム・ジーチョン)、家主・妻[獅子の咆吼](ユン・チウ)、夫[太極拳](ユン・ワー)、麺打ち職人[五郎八卦棍](ドン・ジーホワ)、人足[十二路譚腿](シン・ユー)、仕立屋[洪家鐵線拳](チウ・チーリン)、琴奏者の刺客二人組[古琴波動 拳](ジア・カンシー、フォン・ハックオン)、火雲邪神[崑崙派蛤蟆(こうばく)功](ブルース・リャン)、サム[斧術](チャン・クオックワン)、斧頭会相談役(ティン・カイマン)、斧頭会副組長(ラム・シュー)、フォン[アイス売りの娘](ホアン・シェンイー)、鰐革会組長(フェン・シャオガン)
冴えないチンピラのシンは、相棒とともに、上海の町で幅をきかすギャング斧頭会の一員になることを望んでいる。ある日、貧民街のアパート「豚小屋砦」でけちな仕事をしようとしたシンの目論見がキッカケとなって、アパートの住人は斧頭会の襲撃を受けるはめに。
しかし、豚小屋砦には能ある爪を隠して暮らすカンフーの達人達が偶然何人も居合わせていたのだった。彼らに返り討ちにあった斧頭会のリーダー、サムは、刺客を雇って豚小屋砦へ送り込む。
一方、シンは、ある少女との出会いによって、生きるためには悪にならなければならないという信念がぐらつき始めていた。やがて彼は豚小屋砦の大家夫婦対最強のカンフーの使い手火雲邪神の戦いで大屋夫妻に手を貸したため、火雲邪神の拳を全身に受けて瀕死の状態に陥ってしまう。
ど派手なCGによる「ありえねー」部分が話題になっているが、それらを除いても、斧頭会メンバーの群舞を交えた非道な行いの紹介、広場を囲んで立つ城壁のような迷路のような「豚小屋砦」とそこで暮らす住人たちの紹介、階段の踊り場で行われる三人の達人による技の披露、風が不気味な効果を呼ぶ琴奏者の刺客2人組の登場、唐突に現れる聾唖の美少女など、ひとつひとつのシーンがあざやかな印象を残す。
クライマックス、「豚小屋砦」で繰り広げられるシン対斧頭会軍団、及び火雲邪神の対決はわくわくしながら見た。(2005.1)


サハラ −死の砂漠を脱出せよ− Sahara
2005年アメリカ 124分
監督:ブレック・アイズナー
原作:クライブ・カッスラー「死のサハラを脱出せよ」
出演:ダーク・ピット(マシュー・マコノヒー)、アル・ジョルディーノ(スティーブ・ザーン)、エヴァ・ロハス(ペネロペ・クルス)、ルディ・ガン(レイ ン・ウィルソン)、サンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)、フランク・ホッパー(グリン・ターマン)、モディボ(ポーリン・フォドゥープ)、カジ ム将軍(レニー・ジェームズ)、イヴ・マサード(ランベール・ウィルソン)
NUMA(国立海中海洋機関)のエージェント、ダーク・ピットは、南北戦争時に姿を消した南軍の装甲艦テキサスの行方を追い、仲間とともにアフリカ内地の砂漠の国マリに向かう。WHO(世界保健機関)の女性研究医エヴァが同行するが、内紛で騒然としている中、彼らは政府軍に追われるはめに。 世界規模の環境破壊を阻止するため軍の支配者カジム将軍との砂漠での戦いが繰り広げられる。
久しぶりにアメリカの脳天気なアクション映画を堪能した。
出演者がそれぞれいい味を出している。マシュー・マコノヒーは、「U-571」でのちょっと陰気な青年将校役とはだいぶイメージが違って、すっかり脂ののったおじさん(ほめてる)になっているし、ペネロペ・クロス、ウィリアム・H・メイシーはもちろん、ルディ役や将軍役、政府軍に抵抗するトゥアレグ族のリーダー、モディボ役の人もよかった。
しかし何といっても、私がこの映画で気に入ったのは、スティーブ・ザーン。 アメリカ映画の「相棒」の王道をひたすら突っ走っていて愉快。銃撃のたびに帽子を吹っ飛ばされてぼやいたり、ネクタイがうまく結べなかったり、憎めないキャラクターを楽しそうに演じている。 砂漠でダークたちを取り囲む武装したトゥアレグ族の出現や、駱駝(馬ではなく)から疾走する列車への飛び乗りなど、西部劇を思わせるシーンもちらほら見受けられる。 原作を読むと不満も出てくるのかも知れないが、細かいことにこだわらずにすかっとしたい人におすすめだと思う。(2005.6)


Shall we dance? Shall We Dance?
2004年 アメリカ 106分
監督:ピーター・チェルソム
出演:ジョン・クラーク(リチャード・ギア)、ポリーナ(ジェニファー・ロペス)、ボビー(リサ・アン・ウォルター)、リンク(スタンリー・トゥッチ)、 チック(ボビー・カナヴェイル)、ヴァーン(オマー・ミラー)、ミス・ミッツィー(アニタ・ジレット)、ビヴァリー(スーザン・サランドン)、ジェナ(タ マラ・ホープ)、エヴァン(スターク・サンズ)、ディバイン探偵(リチャード・ジェンキンス)、スコット(ニック・キャノン)
日本映画の名作「Shall We ダンス?」をハリウッドがリメイク。
リチャード・ギアは、遺言状専門の弁護士で、オリジナル版の役所広司よりお金持ち。「オリジナルは普通は絶対踊りそうにない日本人のサラリーマンのおじさ んが踊るからいいんだ」とか「リチャード・ギアじゃかっこうよすぎ」とか言われているし実際そう思うけど、そんなのははなから承知でリメイクしたはず。オ リジナルと見比べながら、ギアのかっこよさと踊りを楽しめばいいのでは。
毎日電車から線路沿いにあるダンス教室の窓辺に立つ美女を見かけるという導入部分は、オリジナルといっしょだが、ジョンがついにその駅で降りてしまう、そ れまでのためが短かすぎる気がしたし、仕事場の状況がいまひとつわからないので、リンクとの連帯感が伝わってこなくて残念。ジェンキンス演じる探偵がいい 味を出している。(2005.5)


シン・シティ Sin City
2005年 アメリカ 124分
監督:ロバート・ロドリゲス&フランク・ミラー+クエンティン・タランティーノ
原作:フランク・ミラー「シン・シティ」
出演:マーヴ(ミッキー・ローク)、ゴールディ/ウェンディ(ジェイミー・キング)、ケビン(イライジャ・ウッド)、ルシール(カーラ・グギーノ)、ロ アーク枢機卿(ルトガー・ハウアー)、
ドワイト(クライヴ・オーエン)、シェリー(ブリタニー・マーフィ)、ジャッキー・ボーイ(ベニチオ・デル・トロ)、ゲイル(ロザリオ・ドーソン)、ミホ (デヴォン青木)、ベッキー(アレクシス・ブレーデル)、マヌート(マイケル・クラーク・ダンカン)
ハーティガン(ブルース・ウィリス)、ナンシー(ジェシカ・アルバ)、ロアーク・ジュニア/イエロー・バスター(ニック・スタール)、ボブ(マイケル・マ ドセン)、ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)
ザ・マン(ジョシュ・ハートネット)
同タイトルのアメリカン・コミック(グラフィック・ノベル)をロドリゲスと原作者のミラーが共同監督、さらにタランティーノも特別監督(ドワイトとジャッキー・ボーイの車中シーン)という形で参加している。
架空の都市シン・シティを舞台に、一夜をともにした女を殺され復讐に燃える仮出所中の殺人犯マーヴ、警官を殺し窮地に陥った娼婦たちとともに戦う孤高の悪党ドワイト、愛する少女を守るため巨悪に立ち向かう狭心症の老刑事ハーティガンを主役に据えた三話からなるオムニバス。
白黒画面に一点カラーで流れる蛍光色の血、情け容赦なく発射される銃弾の雨。スタイリッシュでハードな画面はひたすら暴力的で、話の運びも暗くて陰鬱。でも「単に劇画じゃん」と思って見始めると、違う。かっこつけなだけではない。とにかく力強い。勢いに乗っている。いっしょに体力を消耗する価値があると思ったら最後までついていって損はない。
男も女も役者がみんないきいきしている。出番は短く地味だけど、ルトガー・ハウアーが不気味な枢機卿を演じて久しぶりに本領発揮。(2005.10)


単騎、千里を走る  千里走単騎 RIDING ALONE FOR THOUSANDS OF MILES
2005年 中国/日本 公開:東宝 108分
監督:チャン・イーモウ、降旗康男(日本編)
出演:高田剛一(高倉健)、高田理恵(寺島しのぶ)、高田健一(声のみ。中井貴一)、リー・ジャーミン李加民(仮面劇役者、服役囚。リー・ジャーミン)、チュー・リン(案内人。チュー・リン)、ジャン・ウェン(旅行ガイド・通訳。ジャン・ウェン)、ヤンヤン(リー・ジャーミンの息子。ヤン・ジェンボー)

健さんが、中国大陸を馬に乗って駆けめぐる話かと思ったら、違った。
タイトルは、「三国志」の有名なエピソード、曹操への義理を果たした関羽が主君の劉備の元へ、ひたすら千里を駆けていく件りのことだった。これは唄になっていて、仮面劇で関羽に扮した役者が舞いながら歌うのである。
北海道の漁師高田剛一は、疎遠になっている息子の健一が病気で入院していることを知る。嫁の理江は二人の和解を望むが、謙一は父の面会をかたくなに拒む。剛一は、健一が仕事で訪れた中国で役者の李加民の唄を聞くと言う約束を果たせないでいることを知り、単身中国に渡り、息子のために李加民の唄をビデオに収めようとする。
話に無理があって、剛一の行動に説得力がない。現地の人にとっては、すごく迷惑な自分勝手な外国人旅行者にしか思えないが、通訳のジャン・ウェンも、あんまり日本語がしゃべれない案内人のチュー・リンもとても親切でいい人たちだ。李加民の幼い息子ヤンヤンもやんちゃそうでかわいい。
雲南省の広大な景色、岩山の絶景、剛一を歓迎する山の人々の長い長い食卓など、大陸らしい豪快な風景が味わえる。
実際にも舞台役者だという李加民がとてもいい顔をしている。せっかくの最後の唄を、二重写しなど用いず、もっと普通にちゃんと撮ってくれたらいいのにと思った。
父と子が結局会えないのもさびしい。(2018.12)

チャーリーとチョコレート工場 Charlie and the Chocolate Factory
2005年 アメリカ 115分
チョコ 監督:ティム・バートン
原作(元):ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」
出演:ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)、チャーリー・バケット(フレディー・ハイモア)、ジョーじいちゃん(デヴィッド・ケリー)、バケット夫人 (ヘレナ・ボナム=カーター)、バケット氏(ノア・テイラー)、ドクター・ウォンカ(クリストファー・リー)、ウンパ・ルンパ(ディープ・ロイ)、オーガ スタス(フィリップ・ウィーグラッツ)、グループ夫人(フランシスカ・トゥルナー)、バイオレット(アンナソフィア・ロブ)、ボーレガード夫人(ミッ シー・パイル)、ヴェルーカ(ジュリア・ウィンター)、ソルト氏(ジェームズ・フォックス)、マイク・ティービー(ジョーダン・フライ)、ティービー氏 (アダム・ゴドレー)
謎に包まれた不思議なチョコレート工場。町はずれの傾いた家に住む貧しい少年チャーリーは、世界に5枚しかないゴールデン・チケットを手に入れ、他の4組の親子とともに、誰も入ったことのないチョコレート工場に招待されることに。
風変わりな工場経営者ウォンカ氏が案内する工場の中は、極彩色の異空間だった。駄目親子に次々と鉄槌をくらわせながら、工場見学の旅は続いていく。
工場の働き手、こびとのウンパルンパの歌と踊りが楽しい、というか、最初はかなり新鮮で楽しくてわくわくして見るのだが、区切りごとにいちいち出てくるのでだんだん飽きてきて、またかよまだ○○回あるんだよなと、後になるにつれて半分だれた気分で見るようになるのだが、そんなふうに見るのがまたよいかなという感じ。りすがかわいい。おかっぱのデップはおちゃめ。
最後は家族のテーマできっちりしめる。クリストファー・リーがこんな役を。(2005.9)

関連映画:「夢のチョコレート工場」(1971年、監督:メル・スチュワート、出演:ジーン・ワイルダー)

ネバーランド Finding Neverland
2004年 アメリカ/イギリス 100分
監督:マーク・フォスター
出演:ジェームズ・マシュー・バリ(ジョニー・デップ)、ピーター(フレディ・ハイモア)、ジョージ(ニック・ラウド)、ジャック(ジョー・プロスペ ロ)、マイケル(ルーク・スピル)、シルヴィア・ルウェリン・デイヴィス(ケイト・ウィンスレット)、デュ・モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)、フ ローマン(ダスティン・ホフマン)、メアリ(ラダ・ミッチェル)、コナン・ドイル卿(イアン・ハート)、ピーター・パンを演じる女優(ケリー・マクドナル ド)
劇作家バリが名作「ピーター・パン」を描き上げるまでの経緯を描く。
新作の戯曲が不評だったバリは、散歩先の公園で、夫を亡くしたシルヴィアとその息子たちと知り合う。彼は、4人の少年たちと親しくなり、たこ揚げをした り、海賊ごっこやインディアンごっこをして遊ぶが、彼の妻メアリやシルヴィアの母モーリエ夫人はそれを快く思わない。
ジョニー・ディップが、もの静かな男前の変人を好演。白いシャツにインディアンの羽根をつけて少年の顔をのぞきこむところなどとてもいい。
想像と現実が交錯する画面運びも心地よい。 少年との交流から着想を得たバリが、突拍子もない話を書き上げ、劇場にこどもたちを招いて、きどった大人たちをも笑いの渦に巻き込んでいくところは爽快。
「信じる人は手をたたいて。」という有名な台詞をひさしぶりに聞いて、「ピーター・パン」という物語は素晴らしいと改めて思った。(2005.1)


ブラザーズ・グリム The Brothers Grimm
2005年 アメリカ 117分
監督:テリー・ギリアム
出演:ウイル・グリム(マット・ディモン)、ジェイコヴ・グリム(ヒース・レジャー)、鏡の女王(モニカ・ベルッチ)、デラトンブ将軍(ジョナサン・プラ イス)、アンジェリカ(レナ・へディ)、カバルディ(ピーター・ストーメア)
19世紀、フランス軍占領下のドイツ。ジェイコブ・グリムは民俗学者として各地を回って民話の研究に打ち込みたいと思いつつ、兄のウィルとともに詐欺師まがいの怪物退治をして生計をたてていた。
ある村で連続少女失踪事件が起こり、フランスの将軍デラトンプは、グリム兄弟に事件の真相究明を命じる。呪いをかけられた森で、2人は恐ろしい魔女と対決することに。実在した民族学者兄弟が魔物退治に挑むという、わくわくする冒険ファンタジー時代活劇。
で、その本筋とはあまり絡まないが、「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」「あかずきん」「ラプンツェル」「かえるの王子さま」などグリム童話のアイテムがあちこちに散りばめられていて楽しい。虫や蛙が苦手な人にはちょっと気持ち悪い場面もあります。
マット・ディモンは、これまで地味な外見とはうらはらに内部に光るあるいは不気味なものを隠し持つ奴といった役柄が多く、今回も当然、情熱を内に秘めたシャイな学者肌の弟ジェイコブ役だろうと思っていたら、意外なことに陽気な兄貴の方(当初の配役と逆にしたらしい)。女好きで現実主義者の若者をゆうゆう と演じるディモンが見られてうれしい。
将軍にこびへつらう嫌なフランス兵から一転、憎めないイタリア野郎に変わり身するカバルディは、なかなか興味深い役回り。(2005.11)


ミリオンダラー・ベイビー Million Doller Baby
2004年 アメリカ 133分
監督:クリント・イーストウッド
原作:「テン・カウント」F・X・トゥール
出演:マギー・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク)、フランキー(クリント・イーストウッド)、スクラップ(モーガン・フリーマン)、青い熊ビリー (ルシア・ライカー)、デンジャー(ジェイ・バルチェル)、ベリー(アンソニー・マッキー)、ビッグ・ウィリー(マイク・コルター)、オマー(マイケル・ ぺーニャ)、ミッキー・マック(ブルース・マックヴィッティ)、ホーヴァク神父(ブライアン・F・オバーン)、アーリン・フィッツジェラルド(マーゴ・ マーティンデール)
実の娘と絶縁状態にあるボクシングの老トレーナー、フランキーとボクサーを目指す30歳の女性マギー。最初はマギーのトレーナーになることを拒んでいたフランキーだったが、彼女の情熱に押され、ボクサーとして育てることに。マギーはデビュー戦の後、圧倒的な強さで勝ち続ける。が、強敵ビリーとの試合の途中、とんでもない出来事が……。
後半の展開を受け入れられず戸惑っているうちに映画が終わってしまった。
「この映画はボクシング映画ではない」とイーストウッド監督は明言しているそうだが、ボクシング映画であることとラブストーリーであることとは矛盾するものではない。物語後半の急転は、どうやら原作通りである(本屋で立ち読みしてしまいました)。自身ボクサーだったという原作者が描いたこの展開はボクサーという立場にある人間に起こりうると想定される状況であり、それを考えると、まさにボクサーの話といえるのである。ポイントは、イーストウッドがラブ・ストーリーを撮ろうと思い立ったときに、選んだ題材がこれであったということだ。75歳になったクリント・イーストウッドが彼氏役を演じるラブ・ストーリー、そのための物語ということで、私としてはようやくこの後半の展開を受 け入れることができる。「許されざる者」を見た時、ここまで突き詰めないと西部劇が撮れないのかと感じ入ったものだが、今回も同様究極のラブ・ストーリー を撮るにはここまで突き詰めなけりゃならないのかと思った。
主役の三人はみんなよい。ライカー(本物のボクサーらしい)やバルチェルもよい。(2005.6)

キーワード:モ・クシュラ。フランキーがマギーに付けたあだ名。ゲール語(アイルランドの言葉)で「私の血」の意。(空白部 を選択すると字が読めます)

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