みちのわくわくページ

○ 外国映画(2004年)

<タイトルあいうえお順>
アイ、ロボット、ヴィレッジ、エイリアンVS.プレデター、オーシャン・オブ・ファイヤー、コラテラル、スパイダーマン2、トレマーズ4、トロイ、ナショナル・トレジャー、パニッシャー、ビッグ・フィッシュ、マスター・アンド・コマンダー、ミスティック・リバー、LOVERS、レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 

アイ、ロボット I,Robot
2004年アメリカ 115分
監督:アレックス・プロヤス
原作:アイザック・アシモフ「われはロボット
出演:デル・スプーナー刑事(ウィル・スミス)、スーザン・カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)、サニー(アラン・テュティック)、ラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)、ブルース・グリーンウッド(ローレンス・ロバートソン)、ジョン・バージョン副署長(チー・マクブライド)
SFの世界では、アイザック・アシモフの「ロボット三原則」は完璧だということになっている。が、規則である以上いずれ破られてしまうのではなかろうか、という不安は常につきまとう。そしてついに、三原則に縛られないロボットが登場してしまった。しかし、あく までも三原則自体は完璧、問題はそれをロボットの電子頭脳に組み込むかどうかということで、アシモフに対する敬意は守られているように思う。
原作は、ロボット関係の連作短篇「われはロボット」。原作と同じ細部がいくつか見受けられるものの、本筋はどの話とも違うつくりになっている。が、ラニング博士の死は自殺か他殺かという謎の究明がある大きな謀りごとの暴露につながるというミステリー仕立てになっていることや、ロボット嫌いの刑事がロボットと手を組まざるを得なくなるというなりゆきが、アシモフの作品を彷彿とさせる。
ウィル・スミスが、心と体に傷を抱えつつもタフな刑事をそつなく好演。ロボットのサニーは、予告やチラシではさほどよいデザインとも思えなかったのだが、動いているところを見ると、かなりいじらしくて、人のシンパシーをさそう。いともたやすく情を移されてしまうのだった。
2035年の未来の街の描写はメタリックできれい。全て機械制御された道路で、スミスが手動運転や旧式のバイクを駆って見せるアクションは見応えがある。(2004.10)


ヴィレッジ The Village
2004年アメリカ 108分
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:アイヴィー・ウォーカー(ブライス・ダラス・ハワード)、ルシアス・ハント(ホアキン・フェニックス)、ノア・パーシー(エイドリアン・ブロ ディ)、エドワード・ウォーカー(ウィリアム・ハート)、アリス・ハント(シガニー・ウィーバー)
1890年代とおぼしきアメリカ。外界から隔絶された小さな村でひっそりと暮らす人々。村を取り巻く禁断の森には「口に出してはならない者」が棲み、彼らと村人たちの間にはある契約が交わされていた。村の青年ルシアスは、幼い少年の死をきっかけに森を通って町に出て行く必要性を主張するが、村の年長者たちはそれを許さない。やがて森は不穏な動きを見せ始める。
映画監督ロン・ハワードの娘ブライスが、重傷を負った恋人を救うため、たったひとりで森を抜け町に向かう盲目の少女アイヴィーを好演している。
「サイン」のときもそうだったが、物語の後半を過ぎたあたりでこれじゃすっきり終われないとわかる。今回は一応説明はついているし、意図的にそうしていることもわかるのだが、やっぱり釈然としない。しかし、私は、この監督の作品の場合、見ている途中で「無理じゃん。」とつぶやくのがけっこう好きだったりする。
言ってしまえば、宣伝文句にあるように「謎は金庫に入れて保管」するほどのものではない。「森への畏れ」をふんだんに感じさせる独特の雰囲気を楽しむことがなにより大事。アンドリュー・ワイエスの絵のようにしたいと監督がこだわったという村の風景や、これが「告(こく)る」ということだといわんばかりのもの静かな若者の愛の告白シーンの、美しさに酔いましょう。(2004.9)


エイリアンVS.プレデター Alien vs.Predator
2004年 アメリカ 100分
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:レックス(サナ・レイサン)、セバスチャン(ラウル・ボーヴァ)、ミラー(ユエン・ブレムナー)、ウェイランド(ランス・ヘンリクセン)、マックス ウェル(コリン・サーモン)、フェルハイデン(トミー・フラナガン)、コナーズ(ジョセフ・ライ)、ルソー(アガート・デ・ラ・ブレイユ)、クイン(カー ステン・ノルガード)、トーマス(サム・トルートン)
南極大陸の地下に謎の熱源が発生。いち早く異常を感知した大企業の経営者ウェイランドは、急遽、自社の警備要員と学者からなる調査チームを結成し、南極の地下に潜った。地中に建てられた古代エジプトを思わせるピラミッドの中では、宇宙人プレデターが、宇宙怪獣エイリアンを獲物とした百年に一度の狩猟ゲームを始めようとしているのだった。
「エイリアン」は2作目まで、「プレデター」は1作目しか見ていないという大ざっぱなファンなので、プレデターが獲物を捕える時の赤っぽい熱源探知画面や、エイリアンのぬるぬるとしたたまごや触手を見ただけで、懐かしさを覚えて感激してしまったのだが、パンフレットによると、冒頭人工衛星受信基地で研究員たちが見ている映画(「フランケンシュタイン対狼男」らしい)や、ウェイランドという企業主の登場(「エイリアン2、3」で登場するアンドロイドあるいはクローンのオリジナルらしい)、プレデターが見せる男気(癌患者や妊婦は殺さないらしい)など、細部にわたってきめ細かくファンを喜ばせる配慮が施されているらしい。
冒頭は南極ということもあって「遊星からの物体X」を思わせ、一体何が起こっているんだというぞくぞく感が味わえる。地下に降りてからも突然動き出すピラミッドの壁など、二大怪物が正体を現すまでの展開もかなりはらはらする。彼らが現れてからはもうどうにでもしてくれという感じで、ノンストップの壮絶な戦いにひたすら身を委ねるばかりだ。すぐ死んでしまうチームのメンバーの一人一人が丁寧に描かれているのもいい。(2004.12)

この一言(No.12):「彼の胸のうちは、苦痛より、娘と祝杯をあげた歓喜に満ちていたはずだ。」

オーシャン・オブ・ファイヤー Hidalgo
2004年 アメリカ  137分 シネスコ
監督:ジョー・ジョンストン
出演:フランク・ホプキンス(ヴィゴ・モーテンセン)、シーク・リャド(オマー・シャリフ)、ジャジーラ(ズレイカ・ロビンソン)、アジズ(アダム・アレ クシ=メール)、アン・ダベンポート(ルイス・ロンバート)、アルリー王子(サイード・タグマウイ)、サクール(アドニ・マルピス)
1890年、アラビアの砂漠で行われたレースに挑んだ男たちの話。
オーシャン・オブ・ファイヤーはレースの名前で、3000マイル(約4800キロ)の砂漠を馬で行くというかなり過酷なもの。
死者が出るほどの熱射、ジニス(砂の悪魔)と呼ばれる砂嵐、イナゴの大群、人馬を引きずり込む流砂など、自然の脅威が参加者たちに次から次へと襲いかかる。一方で画面いっぱいに広がるその雄大な景色は観る者をぼうっとさせるほど美しい。
アラビアの伝統的なレースに参加する唯一の異教徒、実在のアメリカ人フランク・ホプキンスをヴィゴ・モーテンセンが相当魅力的に演じている。
年代が同じこともあってか導入部の主人公の状況は「ラストサムライ」のトム・クルーズと酷似している。 フランクは、第七騎兵隊によるインディアン虐殺の場(ウッデンド・ニー)に遭遇したことで、心に深い傷を負い、飲んだくれながら西部に名高いバファロー・ビルのワイルド・ウェスト・ショーに出演して糊口をしのいでいた。バファロー・ビルや、あまり美人でないアニー・オークレー役のおばさんなどが登場するのがちょっと楽しい(フランクは彼女に向かって「アニーよ、(自分の)銃をとれ。」と言う有名な台詞を言ったりする)。 が、クルーズがすっかり日本の侍の生き方に魅了されていったのに対し、こっちは、カウボーイがアラビアの砂漠で西部男魂を発揮して、痛快である。
生きる力を取り戻していく寡黙でストイックなヒーローの姿は、観る者(私)をしびれさせる。モーテンセンは、馬を駆る姿もさることながら、コルト・ピースメーカーを気持ちよさそうにぶっ放す動きがまた決まっている。リボルバーはすぐ弾が切れる。アラビアの街の壁の上を走りながら弾込めをしてまた撃つアクションなど、このところ久しく味わえなかたアクション映画の感動を蘇らせてくれる。
もう一方の主役は、彼の愛馬ヒダルゴである。マスタングと呼ばれる西部の野生馬が、傷つきながらも血統の正しいアラビアの名馬相手に互角の勝負をする姿は感動的だ。シネスコからはみ出す長い馬の顔のアップを何度も何度も見ているうちに、ひどくいとしい生き物に思えてくる。
ハリウッド映画出演は久しぶりというエジプトの老優オマー・シャリフが、レースを仕切るイスラムの族長シーク・リャドを演じているのもうれしい。威厳ある長であり、娘を思う父親であり、バファロー・ビルなどに憧れる西部の英雄ファンでもあるのが興味深い。フランクの持っているコルト・ピースメーカーを無邪気にほしがるあたりがなんともかわいい。(フランクはシークにコルトを見せながら神とコルト大佐にまつわる西部で有名な言葉をいう。)
他にも、フランクに恋心を抱くシークの娘ジャジーラ、名馬アルハッタルの騎手アルリー王子、鷹を連れたベテラン騎手サクール、自分の馬を優勝させるためいろいろと策略をめぐらすイギリスの貴婦人アン、アルハッタリを狙うシークの甥カティーブ、シークを裏切る弟子のアジズ、ジャジーラに献身的に仕える宦官ジャファ、フランクについて回る老人の召使いや奴隷の少年、フランクに誇りを取り戻すよう説くインディアンのイーグル・ホーンなど、脇役のひとりひとりがいい味を出していて飽きない。(2004.4)


コラテラル Collateral
2004年アメリカ 119分
監督:マイケル・マン
出演:ヴィンセント(トム・クルーズ)、マックス(ジェイミー・フォックス)、アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)、ファニング刑事(マーク・ラファロ)、フィリックス(ハビエル・バルデム)
裁判における証人の口封じのため、麻薬組織が雇った一流の殺し屋ヴィンセントは、一夜で5人を殺害するためロサンジェルスにやってきた。彼を乗せたタクシー運転手のマックスは、連続殺人の犯行につき従うはめに。はらはらどきどきさせられっぱなしの一夜のできごと。
どちらかというと今回は小男に見える銀髪のトム・クルーズが、香港あたりでしつらえた特注の高級スーツに身を包み、人をバンバン撃ち殺していく。
対するマックスは、夢を抱きながらも平凡な毎日に流されている一塊のタクシー運転手。まっとうな考え方を持つ彼は、なんとかマックスの犯行を止めようと奮闘する。
近眼のマックスが、麻薬組織の幹部相手に、メガネを外し、やぶにらみでハッタリをかますところがいい。自分はこういうシーンが見たくて、こうゆう映画を見に行くんだなあとつくづく思った。
人であふれるクラブのシーン。ヴィンセント、マックス、麻薬組織の構成員たち、犯行をかぎつけて駆けつけるFBIの捜査官たち、それとは別に独自にマックスを助けようとするロス市警の刑事が、それぞれ人の波をかき分けて、店の一番奥の席に陣取る標的の男を目指す。各人入り乱れての攻防が、大いに盛りあがる。
トム・クルーズは、脇役だけど主役を食いまくるクールな悪役なのかなと思っていたのだが、適度に控えめだったのがかえって新鮮。(2004.11)


スパイダーマン2 Spider-man2
2004年 アメリカ 127分
監督:サム・ライミ
出演:ピーター・パーカー/スパイダーマン(トビー・マグワイア)、メリー・ジェーン・ワトソン(キルスティン・ダンスト)、ハリー・オズボーン(ジェームズ・フランコ)、メイ・パーカー(ローズマリー・ハリス)、ベン・パーカー(クリフ・ロバートソン)、J・ジョナ・ジェイムソン(J・K・シモンズ)、Dr.オットー・オクタヴィウス/ドック・オク(アルフレッド・モリーナ)
アメリカン・コミックに詳しい人の話によれば、バットマンなどのDCコミックスとスパイダーマンに代表されるマーベルコミックスの差だということなのだが、大富豪のバットマンに比べスパイダーマンは貧乏なのでほんとうに大変だ。
お金の問題に加え、1作目で起きたしがらみが2作目でさらに広がって、ヒーローをどんどん追いつめていく。1作目でも状況はかなりハードだったと思うのだが、そのハードさをピーターがどれくらいわかっているのかということが前回ではあまり伝わってこなかった気がする。
が、今回は、彼のつらさがひしひしと感じられ、見ている側も胸が痛むほどだ。
MJに対して気持ちとはまったく裏腹の言葉を告げざるを得ないところなどほんとに切なくて、ヒーローアクションなのに上質なラブストーリーを見ているという感じがした。
かと思えば、あれだけ苦悩していながら、おばさんの言葉であっさり立ち直ってしまうなど、適度に大ざっぱなところがまたよい。
1作目はビデオで見たため、ニューヨークの街をビルからビルへと飛び移るアクションの爽快さがいまひとつ味わえなかったのだが、大画面でみるとかなり気持ちがいい。
たったひとりで暴走する電車を止めようとするシーンもわくわくした。乗客たちの反応がいちいちよかったし。
さらに、今回の敵ドク・オクの存在感がすごい。不気味な触手のついた機械の造形が見事なうえに、アルフレッド・モリーナが役にピッタリの顔と体型をしていて、高笑いする悪漢の時も苦悩する科学者の時もとにかく見応えのある悪役だった。
ということで、ヒーロー・アクションの楽しさを満喫しました。(2004.8)
関連作品:「スパイダーマン」(2002年)、「スパイダーマン3」(2007年)


トロイ Troy
2004年 アメリカ 163分
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:アキレス(ブラッド・ピット)、ヘクトル(エリック・バナ)、ヘレン(ダイアン・クルーガー)、パリス(オーランド・ブルーム)、プリアモス王(ピーター・オトゥール)、テティス(ジュリー・クリスティ)、ブリセウス(ローズ・バーン)、アガメムノン(ブライアン・コックス)、メネラウス(ブレンダン・グリーン)、オデッセウス(ショーン・ビーン)、パトロクロス(ガレット・ヘドランド)、エウドロス(ヴィンセント・レーガン)、アイネイアス(フランキー・フィッツジェラルド)
「トロイの木馬」で有名な古代ギリシャとトロイの戦いを描いた歴史劇。
スパルタ王メネラウスは、和平を結んだばかりのトロイの王子パリスに妻ヘレンを略奪される。かねてからトロイ襲撃という野望を抱いていたメネラウスの兄、ミュケナイ王アガメムノンは、これ幸いと各国の王を集めて連合軍を結成、強硬な城壁を持つトロイを落とすべく、出陣するのであった。
アガメムノンを嫌いながらもギリシャ軍に加わる稀代の戦士アキレスと、トロイ国の重荷を一身に背負う悩める王子ヘクトルの、二人の英雄がそれぞれにいい。両雄の対決はかなりみもの。
王としての威厳にあふれ、人を人とも思わず野望に走るアガメムノンと、信仰深く情に厚いが王としての決断力に欠けるトロイの王プリアモスという、二人の王の対照も興味深い。
プリアモスが、アキレスのテントを訪れるシーンがよかった。オトゥールが息子を思う老いた王を鬼気迫る迫力で演じ、さすがのアキレスも押されるだろうと納得させられるものがあった。
不本意ながらもアガメムノンに従い、アキレスの説得に試みるオデッセウス役のショーン・ビーンがいい味を出している。

ラストで、パリスからトロイの剣を授けられる若者は、プリアモス王の甥アイネイアスで、後にローマ建国の祖となったらしい。(2004.7)

ナショナル・トレジャー National Treasure
2004年アメリカ 131分
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)、ライリー(ジャスティン・バーサ)、アビゲイル・チェイス博士(ダイアン・クルーガー)、イアン・ハウ(ショーン・ビーン)、パトリック・ヘンリー・ゲイツ(ジョン・ボイト)、ジョン・アダムス・ゲイツ(クリストファー・プラマー)、セダスキー捜査官(ハーヴェイ・カイテル)
その昔、テンプル騎士団によって収集・保護され、ヨーロッパからアメリカに運ばれ、独立戦争当時、忽然と姿を消したと言われる膨大な宝物。
先祖代々そのありかを追ってきたゲイツ一族のベンは、「シャーロットとともに眠る」という謎の言葉を追って極寒の地を訪れ、沈没した船シャーロット号を発見する。そこで手に入れた手がかりによれば、宝の在処を記した地図は、目には見えない方法でアメリカ独立宣言書の裏に記されているという。
が、その旅に資金を提供したイアンは、強硬策を主張してベンと決裂。ベンは、イアンの裏をかいて独立宣言書を盗み出し、FBIに追われながら、宝の場所を探っていく。
独立記念館の強固な警備をかいくぐっての強奪劇、追っ手をかわしての逃亡劇、そして手がかりをたどっての宝探し劇。それらが現代のアメリカ、ワシントンDCの街中で展開されるというのがなんとも痛快である。
ベンに同行する、相棒のライリー、アビゲイル、そしえて宝探しに反対の父親らが、それぞれまちまちに見せていた宝探しへの好奇心や熱意が徐々に高まって団結していく様子がおもしろい。敵役のショーン・ビーンがしぶくてかっこいい。FBI捜査官でハーヴェイ・カイテルが顔を見せているのもうれしい。(2008.9 ビデオ録画で見る)


パニッシャー The Punisher
2004年 アメリカ 123分
監督:ジョナサン・ヘンズリー
出演:フランク・キャッスル(トム・ジェーン)、ハワード・セイント(ジョン・トラヴォルタ)、クエンティン・グラス(ウィル・パットン)、リヴィア・セイント(ローラ・ハリング)、ザ・ロシアン(ケヴィン・ナッシュ)、ミッキー(エディ・ジェイミソン)、ジョアン(レベッカ・ローミン=ステイモス)、デイブ(ベン・フォスター)、バンポ(ジョン・ピネット)、マリア・キャッスル(サマンサ・マシス)、フランク・キャッスルSR.(ロイ・シャイダー)
FBI捜査官フランク・キャッスルは、潜入調査によって麻薬取引現場を押さえ犯人達を逮捕するが、その際に裏社会のボス、セイントの息子ボビーが射殺されてしまう。キャッスルの正体を知ったセイントは、部下を使って休暇中のキャッスル一家を襲う。キャッスル自身は、奇跡的に一命をとりとめるが、家族は皆殺しにされる。彼は、自らの手で制裁を下すパニッシャーとなる。
セイントの下働きであるミッキーをアイスで脅して丸め込み、せこい仕掛けでセイントの片腕である弁護士と妻を罠にはめ仲間割れに持ち込むという戦略や、キャッスルが越してきたアパートの隣人たちがごく普通の人々であることなど、いろいろ地味なのがいい。
トラヴォルタの悪役は、かっこいい。(2008.5 テレビ放映録画を見る)

関連作品:「パニッシャー」(1989年アメリカ、監督:マーク・ゴールドブラッド、出演:ドルフ・ラングレン)だいぶ前に見たのでおおかた忘れてしまった。敵に日本の女ヤクザがいて十二単のようなものを着て戦ってたような気がする。

ビッグ・フィッシュ Big Fish
2003年 アメリカ 125分
監督:ティム・バートン
出演:エドワード・ブルーム(アルバート・フィニー、ユアン・マクレガー)、ウィル・ブルーム(ビリー・クラダッブ)、サンドラ・ブルーム(ジェシカ・ラング、アリソン・ローマン)、ジェニファー・ヒル/魔女(ヘレナ・ボナム=カーター)、ノザー・ウィンズロー(スティーブ・ブシェミ)、エーモス・キャロウェイ(ダニー・デビート)、ドクター・ベネット(ロバート・ギローム)、ジョセフィーン(マリオン・コティヤール)、カール(マシュー・マッグローリー)、
エドワード・ブルームは、おとぎ話のような自分の体験談を人々に話して聞かせるのが好きだった。少年時代に近所に住んでいた魔女のこと、故郷で出会った巨人のこと、楽園のような町を訪れたこと、サーカス団にいたこと、戦争中アジアのどこかの国でシャム双生児の姉妹と知り合い
いっしょに世界を回ったこと、息子のウィルが生まれた日に巨大な魚を吊り上げたことなど。私たちは、彼の語る夢の世界に浸り、魅力的な若き日の彼の姿にホレボレする。妻となるサンドラに初めて会った時の「時間が止まった」描写など、溜息が出るほど美しい。
しかし、彼の息子ウィルは父が語る夢物語にうんざりしている。父を愛し父を分かりたいのだが、ほらばっかり吹いている父を受け入れられずにいる。一方で、他の人々はみんな父と父の話に惹かれる。彼の妻も大いなる好意をよせている。ウィルはそうした事に対してかなり複雑な思いを抱いている。
そんなウィルが死に際した父とどう接するのか。ただほら話を聞き入れてやるようになる、というのでは納得できない、と思っていたら、なんとウィル自身が夢を創出する側に回ってしまった。最初は戸惑いながら、少しずつ考え考え、彼は父の人生の最後の話をつくっていく。それもなんとも痛快な物語を。
あちこちにフェリーニの映画を彷彿とさせるものが散りばめられている。否が応にも「人生は祭りだ」という「8 1/2」の台詞を思い出してしまうのだった。(2004.6)


マスター・アンド・コマンダー Master and Commander: The Far Side of the World
2003年アメリカ 199分
監督:ピーター・ウェラー
出演:ジャック・オーブリー艦長(ラッセル・クロウ)
スティーヴン・マチュリン医師(ポール・ベタニー)
ブレイクニー(マックス・パーキス)、カラミー(マックス・ベニッツ)
ブリングス副長(ジェームズ・ダーシー)
1805年、西太平洋上にあったイギリス海軍の軍艦サプライズ号は、フランス海軍のアクロン号が大西洋に入ることを阻止せよという命令を受けた。オーブリー艦長は、自船より速度も武力もはるかにまさるアクロン号に対し、果敢な戦いを挑む。
宣伝では12歳の少年兵、金髪の”戦う天使”ブレイクニーがまるで主役のように謳われていたが、じつは彼は主な乗組員の一人でしかない。テレビスポットからはでしゃばりでへなちょこなぶりっこというイメージがあったが、映画ではけなげな少年兵を控えめに演じていて好感を持った。
主役はやはりラッセル・クロウ。
そして宣伝ではカケラもなかった軍医のポール・ベタニーがかなりいい。個人的には完全につぼにはまった。冷静で知的で医者としても友人としても頼りになり、博物学者で昆虫採集が好きだったりもする。頑固一徹な軍人のラッセル・クロウとのバランスが絶妙だった。
映画は船の中のシーンが大半を占める。最後近く接近戦があるとは言え、敵のフランス船の描き方もほとんど船影のみ。乗組員みんなで船を修理したり、狭い船室での食事の様子を見せたり、水夫の信頼を得られない士官の苦悩を描いたりなど、船での日常生活が割にたんたんと描かれる。
ガラパゴス島(映画のロケは初めてらしい)に上陸した時は、乗組員同様ほっとした。(この上陸に至る過程がまたいい。)


ミスティック・リバー Mystic River
2003年アメリカ 138分
監督:クリント・イーストウッド
原作:デニス・ルヘイン「ミスティック・リバー」
出演:ジミー(ショーン・ペン)、デイヴ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケビン・ベーコン)、
セレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)、アナベス(ローラ・リン)、パワーズ(ローレンス・フィッシュバーン)、
ブレンダン(トーマス・ギーリー)、ケイティ(エミー・ロッサム)、
雑貨屋の老主人(イーライ・ウォラック?)
心の傷が癒えないまま大人になったデイヴ、犯罪から足を洗いつつも危険な雰囲気をそこはかとなく漂わせるジミー、行方のわからない妻からの無言電話に一方的に語りかけ続ける孤独な刑事ショーン。少年時代をともに過ごした三人の男が、ある殺人事件をきっかけに再会する。
旧友ジミーの娘ケイティが殺され、ショーンは捜査を開始する。しかし、容疑者として、浮かび上がってきたのは、同じ幼なじみのデイヴだった。
不穏な動きは加速を帯び、ドラマは悲劇的な事態へ向かって疾走する。
暗く陰鬱な雰囲気が全編を覆う。寒々とした白っちゃけた空は、三人のやりきれなさをそのまま表しているようだ。
早朝。悄然と道路に佇む二人の男から遠ざかっていく一台の車。時間を超えた見事なトラックバックが、彼等の苦渋に満ちた思いを何よりも強烈に伝える。決してわくわくすることはないであろうが、重低音の衝撃に圧倒されるのも映画を観る醍醐味のひとつである。

強盗に遭った雑貨店の老主人役を演じるのは、イーライ・ウォラックらしい(カメオ出演なのでクレジットには載っていないそう)。カウンターの下にライフルを隠し持つ、イタリア系の気骨のある親父といった役どころがうれしい。(2004.1)

LOVERS 十面埋伏
2004年 中国 120分
監督:チャン・イーモウ
出演:小妹(シャオメイ。チャン・ツィイー)、金(ジン)/随風(スイフォン。金城武)、劉(リウ。アンディ・ラウ)、牡丹坊の女将(ソン・タンタン)
唐代の中国。朝廷と、朝廷を倒そうとする飛刀門一派の間で繰り広げられる熾烈な戦い。盲目の踊り子小妹が飛刀門の刺客だという情報を受けた朝廷の官吏金は、随風と名乗って小妹に近づく。追っ手をかわして旅を続けるうち、二人はやがて恋に堕ちていく、かのように見えたのだが。
格闘というよりは、「舞い」のような立ち回りが目を奪う。チャン・ツィイーが遊郭牡丹坊で見せる舞踏が象徴するように、京劇を観ているような様式化された動きが目立つ。森の中で、草原で、華麗なアクションが披露されるが、中でも竹林での空中戦が圧巻。
話の焦点は、朝廷対反逆分子の対決から、いつしか男女の三角関係へとずれ込み、クライマックスでは完全に一人の女をめぐる二人の男の対決となる。一面の紅葉に降り積もる雪は絶景だと思ったのだが、パンフレットによるとあの雪は予想外の10月の大雪だったらしい。
金城武は顔の好みが分かれるところはさておき、馬を駆る姿も矢を射る姿も剣さばきもかっこいい。アンディ・ラウはちょっと役不足(本来の語義)で、ファンには物足りないかも。牡丹坊の女将ソン・タンタンは貫禄があってよい。しかし、やはりこれはなんといってもチャン・ツィイーの映画。ひたすらりりしくてかわいい。(2004.9)

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