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○ 本 (武侠) 

<作家姓あいうえお順>
龍盤七朝DRAGONBUSTER 02、同01(秋山瑞人)
<マーベラス・ツインズ>(古龍) ※契Cより後は携帯小説のみになったため、未読
マーベラス・ツインズ契:C貴公子の涙 Bいつわりの仮面 Aめぐり逢い @だましあい
マーベラス・ツインズ:B双子の運命 A地下宮殿の秘密 @謎の宝の地図

龍盤七朝DRAGONBUSTER 02
秋山瑞人著(2012年) 電撃文庫(メディアワークス)
登場人物:月華(ベルカ。卯王朝第十八皇女。)、珠会(シュア。遊女)、涼孤(ジャンゴ。言愚(ごんぐ)と呼ばれる山岳民族。青い目を持つ)、蓮空(デクー。三十六番手講武所師範代。)、群狗(グング。屋敷の警備責任者。)胡久梨(コクリ。特務期間「千尋衆」の生き残り)
月華は「開眼」し、双節棍という武器を作り出し(ぬんちゃくのようなものと思われる)、辻比武で名を挙げる。
蓮空は、大比武(洞幡演舞場の真剣試合。剣士の誰もがあこがれる高みの舞台であるらしい。)への出願が決まり、三十六番手講武所や地元の人々たちのヒーローとなるが、重圧に負け、逃走を図り、墜ちていく。
一番手講武所の阿鈴(アレイ)も、大比武に出願し、話題となる。講武所総師範である尖将童惨は、阿鈴の大比武出願により彼と娘甘葉(カナハ)との婚約を破棄させるが、甘葉は阿鈴を慕っている。
胡久梨は、人の良さげな書生のような姿でありながら、実験のように残虐な「辻斬り」を繰り返している。
群狗は、涼孤と会い、その「龍」の力を目の当たりにする。
胡久梨は、月華と戦い、月華を打ちのめすが、そこへ駆けつけた涼孤は、生来の力を発揮し、胡久梨を倒す。正体をさらした涼孤は、月華の前から姿を消す。
ほぼ戦いにつぐ戦いである。人間離れしたものすごい技の応酬なので、ほえーと思うばかりである。
流麗で古式ゆかしい風情の文体は、生来がどんくさいせいか、個人的には逆にちょっと苦手かもしれない。(2012.4)


龍盤七朝DRAGONBUSTER 01
秋山瑞人著(2008年)
電撃文庫(アスキー・メディアファクトリー)
登場人物:月華(ベルカ。卯王朝第十八皇女。)、珠会(シュア。遊女)、涼孤(ジャンゴ。言愚(ごんぐ)と呼ばれる山岳民族。青い目を持つ)、蓮空(デ クー。三十六番手講武所師範代。)、群狗(グング。屋敷の警備責任者。)
元都の町。
古代の中国らしい卯王朝の都元都を舞台に、破天荒な皇女と不遇な山岳民族の少年の出会いを描く。
第十八皇女の月華は、窮屈な暮らしが嫌いで、暇をみては屋敷を抜け出し、遊女の珠会とともに町歩きを楽しみ、警備責任者の群狗に連れ戻されるということを 繰り返していた。
ある夜、道に迷った月華は、川べりの焼き場で、剣をふるう青い目の少年を見つける。彼は、涼孤という名の言愚(ごんぐ)であった。山岳民族の子としてさげ すまれ、虐げられて育ってきた彼は、似顔絵書きと、第三十六番手講武所の下働きをして糊口をしのいでいた。講武所に来る前にいっしょに住んでいた同族の謎 の老婆に剣の手ほどきを受けていた彼は、夜になると一人焼き場で剣をふるい、「龍を飲んで」いたのだった。
彼の姿に魅せられた月華は、群狗にせがんで剣を習い始め、珠会の協力を得て涼孤を探しあてる。二人の出会い、ちぐはぐでゆかいな最初のデートで一巻はおわ る。
否が応にも、涼孤の行く手に予感される不穏な空気。気が高ぶるとぐるぐる回りだすという奇癖をもつ、月華の元気のよさが、全体を覆う暗さをなごませてい る。(2008.8)

<マーベラス・ツインズ>
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)
GAMECITY文庫((株)コーエー)
台湾の武侠小説家古龍(1936-85)の作品を、ライトノベル向けに改題、翻訳。
「悪人谷」で悪人たちの手によって育てられた少年小魚児と、江湖にその名を轟かす武術の名門、移花宮の正統継承者として一切の感情を持つことなく育てられ た貴公子花無缺。二人の数奇な運命を巡る物語。
英雄、悪人、戦う美女が、次々に登場し、卓越した武術の技や残虐な悪行を披露する。悪人たちは、鳴り物入りで登場してはあっさり殺られていくし、武人たち が見せる武術の技は超人的すぎてたちまち強さのインフレ状態に陥る。登場人物も技も湯水のように惜しげなく消費され、それでも尽きることがない。
小生意気な調子乗りの悪ガキだった小魚児が、徐々に英雄として成長していく過程を追うのが楽しい。(2008.9)

主な登場人物:
小魚児(しょうぎょじ。悪人谷で育った少年)、鉄心蘭(十大悪人鉄戦の娘。小魚児を慕う)、
花無缺(かむけつ。移花宮の正統継承者)、邀月宮主(移花宮の統率者)、憐星宮主(邀月宮主の妹。左手左足に障害を持つ)、
燕南天(神剣・燕大侠と呼ばれる英雄)、江楓(玉郎と呼ばれる美貌の貴公子。小魚児の父。燕南天と義兄弟)、花月奴(移花宮の宮女。小魚児の母)、
江琴(江楓の仇。移花宮に通じる
張菁(ちょうせい。小仙女と呼ばれる鞭の達人)、慕容九妹(ぼようきゅうまい。慕容家の九女。暗器が 得意。)、顧人玉(慕容九妹の許嫁)、慕容双(九妹の 姉)、南宮柳(慕容双の夫)、慕容珊珊(九妹の姉)、秦剣(慕容珊珊の夫。両公武林の盟主)、
黒蜘蛛(黒づくめの謎の男)、神錫道長(峨嵋派の掌門)、鉄萍姑(てっへいこ。移花宮の宮女)、蘇桜(そおう。魏無牙の養女。医者)
江別鶴(大侠と呼ばれる大人物)、江玉郎(江別鶴の息子)

十代悪人:杜殺(とさつ。血手。冷酷な殺し屋)、哈哈児(こうこうじ。笑里蔵刀。笑いながら人を殺 す)、李大嘴(りだいし。不喫人頭。人肉喰い)、屠嬌嬌(ときょうきょう。不男不女。変装の名人)、陰九幽(いんきゅうゆう。半人半鬼。)、
蕭咪咪(しょうみいみい。色妖女。)、軒轅三光(けんえんさんこう。悪賭鬼。)、鉄戦(てっせん。狂獅。)、白開心(詐欺仙人。)、欧陽兄弟(銭亡者の欧 陽丁と守銭奴の欧陽当)。

盗賊集団「十二星相」:魏無牙(子)、運糧君/黄牛(丑)、白山君(寅)、搗薬君/胡薬師(卯)、四霊之首(辰)、碧蛇神君(巳)、踏雪→虎妻/
白夫人/馬亦雲(午)、叱石君白羊(未)、献果神君(申)、司晨客(酉)、迎客神君(戌)、黒面君(亥)


マーベラス・ツインズ契C貴公子の涙
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年) GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児、花無缺、鉄心蘭、江玉郎、鉄萍姑、魏無牙、蘇桜
花無缺は、邀月宮主に小魚児を殺す理由を問い質すため、鉄心蘭は邀月宮主に小魚児の命乞いをするため、別々 に移花宮にやってくるが、邀月宮主も憐星宮主も不在だった。二人は落胆するが、そのとき、魏無牙門下の魏黄衣と魏青衣が移花宮を襲撃する。二人を撃退した 花無缺は、鉄心蘭とともに亀山に向かうことにするが、途中、黒蜘蛛と知り合う。しかし、黒蜘蛛は、江玉郎に捕らわれた慕容九妹を救うため、江玉郎が身を寄 せている白山君の屋敷に忍び込み、逆に捕らわれてしまう。小魚児の友人である彼を救うため、花無缺も屋敷に乗り込むが、白山君とその妻白夫人の罠に落ち、 遊絲針を笑腰穴に刺し入れられてしまう。そうすると、3日間狂ったように笑い続けて死ぬしかないという。花無缺は、黒蜘蛛らを解放するが、自身は、白夫人 の勧めで名医と言われる蘇桜のもとに行き、治療を乞うことにする。しかし、これもまた罠であった。彼等は花無缺から移花宮の秘技、移花接玉の秘訣を聞き出 そうとしていたのだった。しかも蘇桜は、魏無牙の養女なのだった。
一方、十大悪人達を魏無牙の罠から助け るため亀山に向かった小魚児は、魏無牙の仕掛けたからくりをなんとか逃れたものの、壁に仕掛けられた剣を受け傷を負う。小魚児に好意を抱いた蘇桜は、魏無 牙に内緒で彼を監禁し傷の手当てをする。
前半は、鉄心蘭への報われぬ思いと、やがて手に掛けなければならない小魚児への友情に思い悩む花無缺が、白山君等によってピンチに立たされていく様子が描 かれる。
十二星相の虎と馬である白山君・白夫人の悪だくみ、二人とかつて三角関係にあった兎の胡薬師の登場、いやらしさにますます弾みがついた紅玉郎の絶好調ぶ り、彼を悪人と知りつつ離れられない鉄萍姑の悲しみ、再登場して健在なところを見せつつも小魚児に対して複雑な思いを抱く育ての親の十大悪人たち、そして 十二星相最強である魏無牙の不気味さと、その養女蘇桜の不思議な魅力など、またまた多彩で異様な人物たちが入り乱れて、話はあちこち曲がりくねって、なか なかストレートには進まない。
優雅な貴公子花無缺はかつてない危機に陥り、それを知った小魚児は、彼のもとに向かう。というところで続きとなる。(2009.2)


マーベラス・ツインズ契Bいつわりの仮面
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児、花無缺、鉄心蘭、江別鶴、江玉郎、銅先生(謎の武人。移花宮の使い)、木夫人(銅先生の仲間)、鉄萍姑(てっへいこ。移花宮の宮女)、 軒轅三光、燕南天、路仲遠(南天大侠)、魏無牙(ぎむが、十二星相の子<鼠>)
3ヵ月後に武漢で勝負をするまでは友だちでいよう、という約束を交わした小魚児と花無缺。互いにひかれあう 二人は、つかの間の友情を楽しむ。
小魚児は、宴の席で江別鶴を御者殺しの犯人として糾弾し、彼に一撃を加えて逃走する。この様子を目にした人々は、大侠江別鶴に対して不信感を持ち始める。
緑の仮面をかぶった謎の武芸の達人「銅先生」は、移花宮の使いの証拠である墨玉梅花を示し、花無缺に小魚児の殺害を命じるが、花無缺は小魚児との約束を優 先したので、小魚児は銅先生によって囚われの身となってしまう。が、銅先生は小魚児の留まることのないおしゃべりに翻弄され、うんざりし、荒れ寺にしつら えた移花宮の休憩所に彼を監禁する。
移花宮の侍女鉄萍姑は、移花宮の仕打ちに耐えきれなくなり、小魚児を誘って脱走を図る。寺の秘密の抜け道に入った二人は、地下をさまよった末、外に通じる 洞窟に出る。そこでは、江玉郎と軒轅三光が鼠を使った賭をしていた。その鼠たちを追って、緑青色の肌に長い黒袍をまとった不気味な男たちが登場。彼等は十 二星相魏無牙の門下の者たちだった。
一方、花無缺は成り行きから燕南天と行動をともにするうち、大侠の名にふさわしい彼に尊敬の念を抱くようになる。二人は酒場で江別鶴に会うが、江別鶴は燕 南天を異様なまでに恐れる。なんと、彼こそが、燕南天が義兄弟江楓の仇と狙う、裏切り者の江琴だったのだ。
江別鶴の意外な正体に続き、銅先生とその相棒木夫人の正体も、小魚児の知らないところで歴然と示される。
卑怯な悪党ぶりに磨きがかかってきた紅玉郎は、慕容九妹を虜にし、世間知らずの鉄萍姑を弄び、汚い手を使って燕南天を倒そうとする。彼には、この勢いで ダークサイドを突っ走ってほしいものだ。
新たな強敵として、十二星相魏無牙の名が浮上。
武漢での対決まで二人に残された時間は3ヶ月を切った。小魚児は、育ての親の十代悪人たちを魏無牙の手から救うために亀山(きざん)に向い、花無缺は、生 まれて初めて抱いた疑惑をはらすため移花宮へ戻る決心をするのだった。(2008.11)


マーベラス・ツインズ契Aめぐり逢い
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年) GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児(17才)、花無缺(17才)、鉄心蘭(18才)、江別鶴、
杜殺、哈哈児、李大嘴、屠嬌嬌、陰九幽、羅九と羅三、欧陽丁と欧陽当、白開心、
張菁、慕容九妹、顧人玉、南宮柳、秦剣、黒蜘蛛、
銅先生(謎の武人。移花宮の使い)、燕南天
小魚児は、精神を病んだ慕容九妹を利用して、慕容家と江別鶴を戦わせるための策略を巡らす。ちょっと した「血の収穫」だが、慕容九妹を段合肥の娘三嬢に託したことから、小魚児の計画に狂いが生じる。小魚児に恋する三条は九妹に嫉妬し、彼女をどこかへ追い 払ってしまうのだ。しかも、江別鶴に代わって花無缺が戦うことを申し出たため、慕容家の姉妹と花無缺が戦うことに。が、この対決は、花無缺の美しさと強さ と賢さが際だつだけの結果に終わる。
一方、小魚児は、彼の育ての親である十大悪人たちと再会し、羅九と羅三の意外な正体を知る。彼等の陰惨なやりとりを目にした小魚児の中で、何かが変わる。 彼は、花無缺の前に姿を現し、3ヶ月後の対決を約束する。
小魚児の計略が破綻し、事態がどんどん意外な方向へ転がっていく。と思うと、十大悪人が登場し、さらには、復活した燕南天も姿を現す。矢継ぎ早の展開の 中、小魚児と花無缺の関係が新たなものになっていく。(2008.8)


マーベラス・ツインズ契@だましあい
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)
GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児(17才)、花無缺(17才)、鉄心蘭(18才)、江別鶴、江玉郎、
段合肥(富豪商人)、三嬢(段合肥の娘)、鉄無双(武林の盟主)、羅九と羅三(謎の双子)、趙香霊(資産家)、白開心、張菁、慕容九妹、顧人玉、南宮柳、 秦剣、黒蜘蛛
花無缺と鉄心蘭の前から姿を消した小魚 児は、雑伎団に身を寄せて旅から旅の生活をしながら、秘かに武 芸の鍛錬を積んでいた。三年後、小魚児は、雑伎団を離れ、食堂の料理人を経て、富豪段合肥の薬倉庫番となる。やがて、運搬途中の段合肥の銀が盗まれ、一 方、江別鶴の家に滞在していた花無缺あてに毒入りの菓子が届けられ、菓子を食べた鉄心蘭が倒れるという事件が起こる。武林の達人鉄無双が犯人とされるが、 小魚児はそれが江湖を牛耳る江別鶴の陰謀であることを知る。彼は、名も無き幽霊として、江別鶴の悪事を暴こうとするが、その前に花無缺が立ちはだかる。彼 のピンチを救ったのは、双子の兄弟、羅九と羅三だった。彼等は、段合肥のライバルである趙香霊の家に出入りしていたが、実は江別鶴の正体に気付いていた。 しかも、彼等の家には、行方不明になっていた慕容九妹がいた。彼女は、かつて小魚児を殺そうとしたが、逆に彼の策略にあって精神を病み、行方不明となって いたのだ。羅九と羅三は彼女が誰か知らないまま家に連れてきて二階の部屋に軟禁していたのだった。やがて彼女の姿に引かれて近づいてきた謎の黒づくめの覆 面の男黒蜘蛛も関わってくる・・・。
いつになく元気のない小魚児が、花無缺とともにいる鉄心蘭を見て心を傷めたりするのがいじらしいが、徐々に本来のしたたかさを取り戻してきてくれてうれし い。さまざまな人間が再登場し、江別鶴打倒へ向けての動きに期待が高まる。(2008.8)


マーベラス・ツインズB双子の運命
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)
GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:燕南天、邀月宮主、憐星宮主、江楓、花月奴、
司晨客、黒面君、献果神君、迎客神君、沈軽虹(ちんけいこう。三遠鏢局の総鏢頭)、杜殺、哈哈児、李大嘴、屠嬌嬌、陰九幽、万春流(悪人谷の医者)
小魚児と花無缺の出生の秘密が明かされる。燕南天の豪傑振りが気持ちよく、義兄弟の江楓を思う気持ち に泣かされる。悪人谷の面々は、個性的で怖ろしくも愉快だ。
14年前。「玉郎」と呼ばれる美貌の貴公子江楓は、移花宮の統率者、邀月宮主の求愛を振り切って、宮女の花月奴と結ばれ、逃亡を図る。が、二人は追っ手に 捕まり、惨殺される。花月奴は、死の直前に双子の男子を出産。赤子の一人は移花宮に連れ去られ、残されたもう一人は江楓と義兄弟の契りを交わした英雄、燕 南天の手に渡る。彼は、裏切り者を追い、赤子を連れて悪人谷に乗り込むが、十大悪人の手に落ち、廃人となる。子どもは、十大悪人の杜殺、哈哈児、李大嘴、 屠嬌嬌、陰九幽と医者万春流らに育てられる。彼等の手練手管を教え込まれ育った少年は、14年後、悪ガキの小魚児となる。悪人たちは、彼のやんちゃぶりに 手を焼き、彼を悪人谷から旅立たせるのだった。(2008.8)


マーベラス・ツインズA地下宮殿の秘密
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)
GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児(14才)、鉄心蘭(15才)、花無缺(14才)
沈軽虹(ちんけいこう。三遠鏢局の総鏢頭。貴重な荷物の運搬に際してその警護を職とする。)、献果神君、蕭咪咪、軒轅三光、神錫道長、江別鶴、江玉郎
崖から落ちて死んだと見せかけて花無缺から逃れた小魚児だったが、猿たちに崖の途中の洞窟に追いやら れる。そこには、三遠鏢局の総鏢頭である沈軽虹と十二星相の献果神君がいた。彼等は十何年もの間、洞窟に閉じこめられていたのだ。突如現れた妖女蕭咪咪の 誘いで、彼等は崖から飛び降りる。小魚児は蕭咪咪の罠にはまり、彼女が暮らす地下の部屋に連れて行かれる。そこでは「妃」と呼ばれる美少年達が彼女の虜と なっていた。虜の一人、江玉郎とともに、小魚児は脱出を謀り、さらに地下深くにある地下宮殿に入り込む。そこには、多くの死体と様々な宝とあらゆる武芸の 技を手ほどきした秘伝書が隠されていた。蕭咪咪に鎖で手と手をつながれたまま、小魚児と江玉郎は、秘伝書を持って地下宮殿から脱出する。が、地上に出たと ころで十大悪人の一人、悪賭鬼の軒轅三光に出くわす。小魚児は、彼との賭けに負けた神錫道長を助け、軒轅三光の好感を得る。
江玉郎の家に身を寄せた小魚児は、天下の大侠として知られる彼の父江別鶴の人となりに疑問を抱く。やがて、花無缺と鉄心蘭が江別鶴の家にやってくる。再会 に動揺する小魚児。彼の命を奪おうとする花無缺。鉄心蘭の捨て身の防御により死を逃れた小魚児は、逃走しながら初めておのれの弱さを思い知るのだった。(2008.8)


マーベラス・ツインズ@謎の宝の地図
古龍著「絶代双驕」(1967年)
河合章子訳(2008年)
GAMECITY文庫((株)コーエー)
登場人物:小魚児(14才)、鉄心蘭(15才)、張菁、慕容九妹、黒蜘蛛、碧蛇神君、黄牛、白羊、花無缺(14才)
「悪人谷」で悪人たちの手によって育てられた14才の少年小魚児は、谷を後に旅に出る。
途中出会った少女鉄心蘭から宝の地図を譲り受けた彼は、地図を狙う奇怪な面々から襲われるはめに陥るが、悪人谷で培った策謀術数や武道の技で敵 に対抗する。
やがて、小魚児は、万人が恐れる移花宮の正統継承者である優雅な美少年、花無缺と出会う。彼は、何故かその主から小魚児殺害の命を受けていた。
前半で登場する張菁が早くもあまりにも強いところを見せてしまうので、その後続々現れる悪漢たちもやたらすごすぎて、戦いは却って平板な感じがしてしま う。常に軽口をたたき、物怖じしない小魚児の小生意気な態度をどう感じるかで好き嫌いが決まりそう。双子の因縁や入り乱れる英雄や悪漢に興味が湧けば、今 後の展開が楽しみな読みものとして次巻を待ちたくなる。(2008.7)

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