みちのわくわくページ

西部劇 アメリカ、イタリア以外の国の西部劇

<製作年順>
早射ち野郎、 メキシコ無宿、 シャラコ、 女ガンマン・皆殺しのメロディ、 レッド・サン、 グレイフォックス、 EAST MEETS WEST、 スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ、 悪党に粛清を

早射ち野郎
1961年 日本 日活 78分
監督:野村孝
出演:宍戸錠、笹森礼子、吉永小百合、南田洋子、杉山俊夫、下條正巳、金子信雄、高原駿雄、溝井哲夫、上野山功一
日本のどこかに、スウィングドアのあるサロンが建ちサイドウォークのついた西部の町があって、住んでいる日本人も腰に銃を下げているという、徹底した和製ウエスタン。
どう見ても日本の山水である滝の前で、「二十四の瞳」とかに出てきそうな日本の若い女教師に、西部の男ジョーが日活アクション式早口で語りかける。 不思議な体験をした気持ちになる。(2004.6)


メキシコ無宿
日活 1962年 96分
監督:蔵原惟繕
出演:危険屋ジョー(宍戸錠)、ペドロ(アントニオ・メディーナ)、美也子(笹森礼子)、マリア(パトリシア・コンデ)、サルバドール平田/康雄(葉山良二)、フェルナンド(バレンチノ・トルヒヨ)、サンチェス(藤村有弘)、テル(中原早苗)、アンドレア[牧場主](S・バリオス)、エミリオ[アンドレアの息子]
横浜の港町で、「デンジャーマン」(危険な仕事を請け負う男)として知られるジョーは、メキシコから出稼ぎにきている男ペドロと知り合う。
日本で稼いだ金を盗まれて困っていたペドロのために、ジョーはいつもなら断るやばい仕事を二人で引き受けるが、ペドロは大けがを負ってしまう。ペドロは故郷にいる恋人と弟に金を届けてほしいと言って息を引き取る。
ジョーはペドロが命がけで稼いだ金を持ってメキシコに渡る。
勝手の分からない外国で戸惑いながらも、やっとペドロの故郷の村にたどり着いたジョーは、ペドロの元恋人のマリアと幼い弟フェルナンドから、ペドロが殺人者として村を追われたことを知らされるのだった。
敵意に満ちた村人の視線の中で、ジョーはペドロの汚名を晴らそうとして、村を牛耳る農園主アンドレア一家と対立する。
不思議なテイストの映画である。
メキシコに着いてからしばらくは、あきらかに観光映画と化すし、危険屋(この稼業名もすごいが)とはいえ、日本の港町で働くジョーが、村で銃を手にしたとたん、銃を自在に操るガンマンになるのも唐突だ。
ペドロが殺人犯として疑われる証拠となったペンダントが、実は唯一のものではなく、マリアは同じものを他の男にもプレゼントしたことをうっかり忘れていたのだった、というふうに、真相が開かされる過程も実にあっけらかんとしている。
行方不明の兄を捜して日本からやってきた女子学生の美也子の話が絡み、優秀な医学生だった兄が落ちぶれているのだが、この葉山良二演じるドク・ホリディもどきの医者がまたおもしろい。はるばる日本から捜しにきた妹に向かって、「おれはもう康夫じゃない。ここではサルバドール平田だ!」と言い放つ。
言葉は、ジョーはずっと日本語だが、メキシコ人たちは、メキシコ語をしゃべってサンチェスが通訳しているかと思うと、急に吹き替えになってジョーもマリアもどっちも日本語を喋って会話をしているのにどうやら通じてないようだったり、かと思うと後の方では通じていたり、しかも一部急に字幕が入ったりと、かなりめちゃくちゃである。
宍戸錠自身は、あまりこの映画を評価していないと聞いたが、真っ白なシャツをまとった彼はかっこよく、メキシコの強い日射しがよく似合うと思った。(2008.8)


シャラコ Shalako
1968年 イギリス 113分
監督:エドワード・ドミトリク
出演:シャラコ・カーリン(ショーン・コネリー)、イリナ・バザール(ブリジット・バルドー)、フレデリック男爵(ピーター・バン・アイク)、チャールズ・ダゲット(ジャック・ホーキンス)、ウディ・ストロード
狩猟のために西部を訪れたヨーロッパの貴族たちがインディアンに襲撃される。
アパッチとの混血で一行を救う西部の男シャラコを演じるショーン・コネリーは、これが西部劇初出演である。(2004.6)


女ガンマン・皆殺しのメロディ Hannie Caulder
1971年 イギリス 85分
監督:バート・ケネディ
出演:ハニー・コルダー(ラクエル・ウェルチ)、トーマス・ルーサー・プライス(ロバート・カルプ)、エメット・クレメンス(アーネスト・ボーグナイ ン)、フランク・クレメンス(ジャック・イーラム)、ルーファス・クレメンス(ストローザー・マーティン)、ベリー(クリストファー・リー)
夫とともに牧場で暮らしていたハニー・コルダーは、逃亡中の銀行強盗に襲われる。
彼女は、夫を殺し自分をレイプした犯人たちへの復讐を誓った。
通りすがりの賞金稼ぎプライスが、彼女に手を貸すことになり、銃の撃ち方を教える。
やがて二人は犯人を一人ずつ殺していくが、プライスは敵の凶弾に倒れてしまう。ハニーは単身、犯人のいる隠れ家に向かった。
裸体にポンチョというハニーのコスチュームが話題になったらしい。
ハニーがプライスから拳銃の手ほどきを受けるときの細かい描写がいちいちもっともらしくて興味深い。(「撃ったらすぐに動け」とか「相手を見ずに相手を見るんだ」とか。)
クリストファー・リーが銃作りの名人で登場。(2004.6)

タランティーノが、インタビューで、「キル・ビル」はトリュフォーの「黒衣の花嫁」が元になっているのかと聞かれ、「黒衣の花嫁」は見ていない、”ハニー・コルダー”が元かな、と答えたというのはこの作品のこと。

レッド・サン Red Sun / Soleil Rouge
1971年 フランス・イタリア・スペイン 115分
監督:テレンス・ヤング
出演:リンク(チャールズ・ブロンソン)、黒田十兵衛(三船敏郎)、ゴーシュ(アラン・ドロン)、クリスチーナ(ウルスラ・アンドレス)、坂口備前守(中 村哲)
1870年の西部。日米修好のため日本からアメリカ合衆国大統領に贈られた宝刀が、金と共に列車強盗に奪われた。刀奪還の命を受けた護衛の武士黒田は、仲間に裏切られ負傷して取り残された強盗一味のボス、リンクとともに、一味を追う旅に出る。
アメリカ、フランス、日本のスターが共演したイギリス人監督による西部劇。
ロケ地はスペインで、言語はフランス語、アクションシーンでは日本刀が振り回されるというむちゃくちゃぶりだが、でも、内容は、多くの人がアメリカ映画と信じ込んでいるのも無理はないくらい、きちんとした娯楽活劇に仕上がっていると思う。
リンクと黒田の男同士の認め合いは、この手の活劇の王道をいくものだし、ラスト・カットもバックの青空が西部の広大さを物語っているようで清々しい。
アラン・ドロン演じる真っ青な目をした美青年の悪党も印象に残る。(2004.6)


グレイフォックス The Grey Fox
1983年 カナダ 91分
監督:フィリップ・ボーソス
出演:ビル・マイナー(リチャード・ファンズワース)、ケイト(ジャッキー・バロウズ)、ショーティ(ウェイン・ロブソン)
駅馬車強盗のビルが長い刑期を終えて出所すると、世界は19世紀から20世紀に変わっていた。
押し寄せる時代の波に乗れない彼は、かつての仲間を集めて列車強盗を企てるが無惨に失敗。
カナダに逃れたビルは、カナダの列車を襲って大金を手に入れ、身をかくした町で写真家のケイトと知り合い、恋に落ちる……。
西部劇で長年スタントをつとめた老優ファンズワースが、気骨のある古き西部の男を好演。
ビルは、出所して、久しぶりにコルトを手にするのだが、このときの、銃の重みを感じながらこきこきと手の中で銃を弄ぶ感じがとてもいい。(2004.6)


EAST MEETS WEST
1995年 日本、松竹 124分
監督:岡本喜八
出演:上條健吉/ジョー(真田広之)、為次郎/トミー(竹中直人)、ジョン万次郎(岸部一徳)、勝麟太郎(仲代達也)、木村摂津守(高橋悦史)、小栗豊後守天本英世)、福沢諭吉(橋爪淳)、サム(スコット・バッチッチャ)、ナンタイ(アンジェリク・ローム)、ハーディ(ジェイ・カー)、ハッチ(リチャード・ネイソン)
幕末の日本からアメリカに渡った使節団。
その中には、開国派の大使をねらう攘夷派の刺客上條と、甲 賀忍者 為次郎が入り込んでいた。使節団は強盗に襲われ、上條は父の仇討ちのために、為次郎は盗まれた三千両奪還のために、敵を追って西部に赴く。
列車で、西部の町で、荒野で、真田広之がアクションを披露。(2004.6)


スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ
「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」制作委員会 2007年 121分
監督:三池崇史
主題歌:「ジャンゴ〜さすらい〜」歌:北島三郎、作曲:ルイス・エンリケス・バカロフ、作詞:MAKOTO°
ガン・エフェクト、ガンプレイ指導:ビル横山
出演:ガンマン(伊藤英明)、ルリ子(桃井かおり)、保安官(香川照之)、平清盛(佐藤浩市)、重盛(堺正人)、宗盛(田中要次)、源義経(伊勢谷友介)、弁慶(石橋貴明)、与一(安藤政信)、静(木村佳乃)、アキラ(小栗旬)、平八(内田流果)、トシオ(松重豊)、村長(石橋蓮司)、先住民族(塩見三省)、ピリンゴ(クエンティン・タランティーノ)、ピリンゴに絡むガンマン(香取慎吾)、冒頭で眉間を打たれて死んでいるガンマン/ブラディ弁天回想シーンでファニング(扇ぎ撃ち)をするガンマン/ファニングをする白組のメンバー(ビル横山)
壇ノ浦での源平合戦から100年後。
「根畑(ねばた)」の村では、村に隠されたといわれる埋蔵金をねらって平家の子孫(赤組)と源氏の子孫(白組)が対立していた。
住人の多くが逃げ出し、無法地帯と化した村へ、ひとりのガンマンがやってくる。
これは、黒澤明監督の「用心棒」(1961年)を翻案して作られたマカロニ・ウェスタン「荒野の用心棒」(1964年)の続編「続・荒野の用心棒」(1966年)をベースにした、小道具も言語もめちゃくちゃな和製ウェスタンである。
村にふらりとやってきたよそ者が、対立する悪の2大陣営を噛み合わせて共倒れにするという基本的な筋だては、本作ではあまり明瞭ではない。両陣営の対立は放っておいても激化の傾向にあり、ガンマンは両陣営をけしかけることに関してさほど積極的ではない。
そこに伝説の女ガンマン、ブラディ弁天と彼女の師である凄腕ガンマン、ピリンゴの話が絡んできて、タランティーノが「キル・ビル」づくりにあたって意識したという「女ガンマン・皆殺しのメロ ディ」(本ページ上部参照)のような内容が加わる。

コフィン 縦書きの手書きの漢字が並ぶクレジットロールは、東映や日活の往年の映画のオープニングのようでなつかしい。元踊り子の未亡人静は、日活アクションのナイトクラブのダンサーのような妖しげなダンスを披露し、どっちの陣営につくか迷う保安官は、「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムのような二重人格をコミカルに演じてみせる。ガンマンが子どもに男の生き方を説くあたりでは突然「シェーン」のようになる。
リアクションに困るギャグがしばしばあり、日本人たちが喋る英語にはやはり最後まで違和感がつきまとう。(トシオが「ルリ子」と名前を呼ぶときだけ日本語の響きになるのだが、それを聞くとほっとする。) 登場人物のほとんどが血まみれ泥まみれになり、拳銃とガトリング銃と日本刀を交えてぎとぎとの戦いを繰り広げる。義経は日本刀で弾丸をはじき返し、ガンマンは拳銃を十手のように使って刀を受ける。 が、アクションシーンについては、そのけれん味ばかりに気をとられない方 がよいと思う。ガトリング銃を乱射する佐藤浩市、くるくると拳銃を回す伊藤英明、二丁拳銃を手に走る桃井かおりほか俳優たちのアクションは、見ていてわくわくする。拳銃殺陣師ビル横山の指導によるガンプレイは、見応えのあるものに なっている。 スキヤキ・ウェスタンとタイトルにあるように、スキヤキ好きのピリンゴが味付けや具にこだわったりもするのだが、映画自体は、スキヤキ本来の具だけでなく、なんかの揚げものとか他にもよくわからないものが、節操なくぶち込まれている感じがする。異物はよけて食べればいいのかもしれないが、入っているものを全部喰らわないと、この映画を味わったことにはならないようにも思う。やんちゃぶりを堪能するにはそれなりの体力が必要だ。
ラストに流れる北島三郎の歌が心地よい。朗々とした演歌の大御所の声が日本語で「ジャンゴ」を歌い上げるのを聞けば、胃にたまった油分がすっきり流されていくような気分になる。(2007.9)

ひと言(No.29):「迷いもなく 涙もなく はぐれ月夜に生きる」

悪党に粛清を THE SALVATION
2015年 デンマーク・イギリス・南アフリカ 93分
監督:クリスチャン・レヴリング
出演:ジョン(マッツ・ミケルセン)、マリー(ナナ・オーランド・ファブリシャス)、クリステン(トーク・ラース・ビーケ)、ピーター(ミカエル・パーシュブラント)、ボイチェク(アレクサンダー・アーノルド)、
ヘンリー・デラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)、ポール・デラルー(マイケル・レイモンド・ジェームズ)、コルシカン(エリック・カントーナ)、マデリン(エヴァ・グリーン)、
キーン町長(ジョナサン・プライス)、マリック保安官(ダグラス・ヘンシュオール)
★あらすじの説明あり★
デンマーク製の西部劇。
兄のピーターとともに、デンマークからアメリカ西部へ移ってきたジョンは、妻のマリーと幼い息子のクリステンを呼び寄せ、7年ぶりの再会を果たす。しかし、農場へ向かう途中、2人の男に襲われ、妻子は殺されてしまう。ジョンは、怒りにまかせて犯人たちを撃ち殺すが、その内の一人ポールは、町を牛耳る悪党デラルー大佐の弟だった。デラルーに捕えられたジョンは、激しい暴行を受け殺されかかるが、ピーターによって救い出される。が、ピーターも彼らに殺されてしまい、ジョンは、復讐を果たすため、悪党たちの粛清に向かう。
復讐をメインに据えたハードな西部劇である。妻と子を殺したポールをジョンが殺したせいで、町の人たちはデラルーに町の住人2人の命を差し出さねばならず、保安官はジョーに対し、妻子を殺されたことは気の毒だが殺した相手が悪かったとにべもない。姫と呼ばれるポールの妻マデリンは、インディアンに家族を殺され、舌を抜かれて話すことができない、ポールに拾われたのだが、ポールの死後はデラルーがむりやり自分のものとする。祖母を犠牲にされた雑貨屋の少年ボイチェクが、唯一ジョンに協力を申し出るが、彼もまた激しい銃撃戦で命を落とす。
スタイリッシュで趣味がよく、いまどき天晴れな、ぶれない西部劇である。
寡黙な元兵士のジョンを演じるマッツ・ミケルセンは、渋くてかっこよくて、銃を持った立ち姿もいい。
だが、私は、どうも真面目すぎて面白みに欠けると思った。ジョンもピーターもマデリンもデラルー他の人たちも悪くないのだが、西部に生きる者の心持や気概が伝わってこなかった。それはハードボイルドだからということではなく、スタイルを追うことに捉われすぎて、彼らの中身まで描く余裕がないように思えた。ちょっとした細部につながりを持たせることで、俄然、人は生き生きとして見えるものなのだが、そういうことはなかった。
ロケをした南アフリカの空気は湿っていて、アメリカ西部のようにからっとしていない。白昼の太陽もいまひとつギラギラ感に欠けるように思えた。それはしかたないとしても、より西部っぽくするために、タンブルウィード(アフリカにもあるそう)の10個や20個持ってきて、敢えてどんよりとした空の下で転がすくらいの遊び心でもあればなあと思ってしまうのだった。(2015.7)

このページのトップへもどる
「西部劇」トップページへもどる

トップページに戻る