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西部劇

<1960年代の西部劇 2>
1964年 シャイアン モンタナの西
1965年 キャット・バルー シェナンドー河 
1966年 シエラマドレの決斗 続・荒野の七人 砦の29人 ネバダスミス  プロフェッショナル
1967年 エル・ドラド カスター将軍 大西部への道 戦う幌馬車 墓石と決闘

<1964年>
モンタナの西
 Mail Order Bride / West of Montana
1964年 アメリカ 84分
監督・脚本:バート・ケネディ
原作:ヴァン・コート
出演:ウィル・レーン(バディ・イブセン)、リー・キャリー(ケア・デュリア)、アニー(ロイス・ネトルトン)、マシュー(アニーの息子。ジェームズ・マザース)、ジェイス(リーの悪友。ウォーレン・オーツ)、ランク(リーの悪友。ウィリアム・スミス)、マリエッタ(娼婦。バーバラ・ルナ)、ジェス(保安官。ポール・フィックス)、ハンナ(カンザスシティの酒場のママ。マリー・ウィンザー)
バート・ケネディの監督第一作。復刻版DVDで見る。
西部劇だが、銃撃戦はほとんどなく、人情話のようなラブストーリーのような話である。
元保安官で流れ者のウィル・レーンは、死んだ親友の遺言で、息子が一人前になるまで牧場を管理してほしいと頼まれる。
その息子のリーは、悪友のジェイスたちと酒と女とギャンブルに明け暮れる毎日を送っていた。ウィルはリーの根性を叩きなおそうとするが、リーはウィルに反発し、彼が自分を追い出し、牧場を乗っ取ろうとしているのだと考える。
ウィルは、リーの父親がそうだったように、彼も結婚すればまともになるだろうと考え、花嫁を探す。通販用のカタログに結婚相手を探す女性のリストが載っているのを見つけた彼は、カンザスシティに赴いて、リストの女性を当たっていくが、なかなかふさわしい相手が見つからない。嫁を求めて歩くウィルの足元、ブーツと拍車のカットが何度も挿入される。最後にたどりついた酒場では、女主人のハンナが夫になる男を探していた。彼女はウィルを気に入るが、嫁を探しているのはウィルではなく友人の息子であると知ると、歳が合わないとがっかりしつつも、酒場で雑用をしていた若い女性アニーを紹介してくれるのだった。
アニーは実は結婚経験があり、夫を亡くし、幼い息子のマシューと暮らしていた。ウィルは、アニーとマシューを連れて牧場に戻るが、リーは結婚を拒み、アニーはウィルの独断で連れてこられたことを知る。
リーを金づるとして利用するのがねらいのジェイスらは、形だけ結婚してうまくいっているように見せかけ、ウィルが去ったらアニーを捨てればいいとリーをけしかける。が、リーはアニーが美人で、初めて接する堅気の女性でもあることから、彼女をだます気になれず、正直に状況を話して、偽装結婚の話を持ち掛け、アニーはその計画に乗る。このとき、二段ベッドの上と下で話をする二人のやりとりがとてもいい。
リーは、まっとうになったふりをして、亡き父が作りかけていた家を完成させようとして働き始める。木を切り出し、木材をつくって組み立て、家が少しずつ出来上がっていくとともに、リーとアニーの気持ちもだんだん本物になっていく。
リーのお気に入りの娼婦マリエッタは、彼の気持ちの変化に本人より先に気づき、自分にはもう必要ないからと言って、持っていた結婚指輪のセットをリーにプレゼントするという、泣ける心意気を見せる。
やがて、リーは、ギャンブルの負けを牧場の牛を売って返せというジェイスの話に応じ、夜、ウィルの目を盗んで牛を駅に運ぶことに同意する。ジェイスらはウィルの目をそらすためにほぼ完成しかけていた家を焼き、しかもそこにはマシューが寝ていた。燃える家からマシューを助け出したリーは、ジェイスらが牛を運ぶのを止めようとする。ウィルとともに駅に急ぎ、ジェイスらと対決するのだった。
アニーと二人であれだけ苦労して建ててほぼ完成しかけていた家が焼け落ちている様はかなりショッキングだが、改心したリーは、こともなげに家を建て直すと言って、森に木を切り出しにいく。その姿を見てもう大丈夫だと思ったウィルは、アニーに別れを告げ、牧場を去るのだった。
ここで終われば、哀愁漂う孤独な男の後ろ姿が余韻を残すのだが、次に再びウィルのブーツをはいた足のアップが映る。彼が花束を持ってハンナの店に向かうところで映画は終わる。
リーとアニーの幸せそうな様子を見たウィルは自分も結婚しようと思っていたことがわかるのだ。
大列車強盗」でも、未亡人に無償の貢献をした荒くれ男たちといういい話で終わるところを、未亡人が実は不二子ちゃんみたいな悪女だった、というオチがついて、チャンチャン、と終わるということがあった。
せっかくの哀愁を捨てて、あえてコミカルに終わらす、そこもまた、バート・ケネディのよさだと私は思うのである。(2019.1)

シャイアン Cheyenne Autumn
1964年 アメリカ 160分
監督:ジョン・フォード
出演:トマス・アーチャー大尉(リチャード・ウィドマーク)、デボラ・ライト(キャロル・ベイカー)、ウィッセルズ大尉(カール・マルデン)、スコット少 尉(パット・ウェイン)、軍医(アーサー・ケネディ)、ウィコウスキー軍曹(マイク・マズルキ)、スペイン女(ドロレス・デル・リオ)、レッド・シャツ (サル・ミネオ)、リトル・ウルフ(リカルド・モンタルバン)、ダル・ナイフ(ギルバート・ローランド)、ワイアット・アープ(ジェームズ・スチュワー ト)、内務大臣(エドワード・G・ロビンソン)、ジェフ・ブライア(ジョン・キャラダイン)、スミス(ハリー・ケリーJr)、プラムツリー(ベン・ジョン ソン)
不毛な居留地に押し込められ、病気と飢えに苦しんでいたシャイアン族は、故郷イエローストーンに戻ることを決意する。
アーチャー大尉は、シャイアン族に同情しながらも、彼らを追跡する任務に従わざるを得なかった。
シャイアン族と騎兵隊の間の戦いは、大げさに報道され、内務大臣はシャイアン族の鎮圧を余儀なくされる。
ダッジシティでは市民軍が結成され、保安官ワイアット・アープの努力にも関わらず、事態は混乱の一途をたどっていった。
アーチャーは任務を捨て、彼らの救出に向かう。
迫害される少数民族の悲劇を、任務遂行と良心の間で苦悶する将校の目を通して描く。(2004.6)


<1965年>
キャット・バルー
 Cat Ballou
1965年 アメリカ 97分
監督:エリオット・シルヴァースタイン
出演:キャット・バルー(ジェーン・フォンダ)、キッド・シェリーン/ストローン(リー・マーヴィン)、クレイ(マイケル・カラン)、ジェド(ドウェイ ン・ヒックマン)、ジャクソン(トム・ナーディニ)、フランキー・バルー(ジョン・マーレイ)、ナット・キング・コール
ジェーン・フォンダ主演のコミカルな西部劇。
冒頭コロンビアの自由の女神がジェーンに変身して拳銃をぶっ放すと、西部の町角でナット・キング・コールがキャット・バルーの伝説をゆうゆうと歌ってい る。軽快な出だしが心地よい。
リー・マーヴィンが、酔いどれガンマン、キッドを演じてアカデミー主演男優賞を受賞。
心を入れかえ、黒装束に身を包んでさっそうと登場した彼はたしかにかっこいいが、のんだくれているときのしょぼくれた姿も相当味わい深い。(2004.6)


シェナンドー河 Shenandoah
1965年 アメリカ 105分
監督:アンドリュー・V・マクラグレン
出演:チャーリー・アンダーソン(ジェームズ・スチュワート)、サム(ダグ・マックルー)、ジェイコブ(グレン・コーベット)、ジェームズ(パトリック・ ウェイン)、ジェニー(ローズマリー・フォーサイス)、ボーイ(フィリップ・アルフォード)、アン(キャサリン・ロス)、ネーザン(チャールズ・ロビンソ ン)、ジョン(ジム・マクマラン)、ヘンリー(ティム・マッキンタイア)、ガブリエル(ユージン・ジャクソンJr)
南北戦争を背景に、西部に生きる親子の情を骨太に描いた作品。
農場を営みながら、男手一つで七人の子供を育てあげたチャーリー・アンダーソンは、南北戦争が始まってもずっと中立を保っていた。ところがある日、末っ子 のボーイが南軍兵士と間違えられ北軍の捕虜として連れ去られてしまう。チャーリーは、長男のジェームズ夫妻に家を任せ、残る息子たちとともにボーイを探す 旅に出る。
ジェームズ・スチュワートが、厳しく頼りがいのある西部の父親を演じる。捕虜を運ぶ列車を襲撃するなどかなりむちゃだが、息子のためなら何でもやる父の強 さがよく表れている。
連れ去られた末っ子の少年が、捕虜となった軍人たちと知り合い独自に成長していく過程が描かれるのもよい。(2004.6)


<1966年>
シエラマドレの決斗
 The Appaloosa
1966年 アメリカ 98分
監督:シドニー・J・フューリー
撮影:ラッセル・メティ
出演:マテオ(マーロン・ブランド)、トリニ(アンジャネット・カマー)、
チューイ・メディナ(ジョン・サクソン)、ラザロ(エミリオ・フェルナンデス)、チューイの手下・やぶにらみの男(アレックス・モントーヤ)
ラモス(山羊や羊を飼う老人。フランク・シルヴェラ)、
パコ(マテオの義弟。ラファエル・キャンポス)、アナ(パコの妻。ミリアム・コロン)、トマス、ライムンド、パキータ、エスメラルダ(パコとアナの子どもたち)

1870年、メキシコ国境近くにあるオホプレエトの町に、ぼろぼろの南軍兵士の制服を着て髪と髭もぼうぼうに伸ばした男マテオがやってくる。教会で懺悔を終えた彼は、メキシコ人の男チューイに馬を売ってくれと持ちかけられる。チューイは川向こうのメキシコの町コカトランのボスで、借金のかたに得た美女トリニがマテオの馬で逃げようとしたので、手下たちに女に逃げられかけた男と思われたくないばかりに意地を張ったのだったが、マテオは頑として断る。
マテオは、川辺の農家に住む農夫のパコと妻のアナ、そして子どもたちに暖かく迎えられる。白人の孤児だったマテオはパコの父に拾われ、家族同様に育てられたのだった。が、チューイたちがやってきて馬を奪っていく。その馬(臀部に目立つぶちがある)は、アパルーサ種でマテオは牧場を始めるため種馬として買ったのだった。マテオは、馬を取り戻すため、単身、国境を超えてチューイの本拠地に乗り込んでいく。
片目のジャック」もそうだったが、マーロン・ブランドは男前だけど陰気な西部男を演じている。ジョン・サクソン演じるチューイは、ラザロ(エミリオ・フェルナンデス)や藪睨みの男(アレックス・モントーヤ)などを子分に従え、人一倍プライドの高い男を楽し気に演じていて、どちらかというとこちらの方が見ていて気持ちがいい。マカロニ・ウェスタン風の悪党一味だが、この作品はマカロニ・ウェスタンブーム前の映画で、ひょっとしてマカロニに影響を与えたのかもしれない。サソリの腕相撲は、メキシコ流のアラカネと呼ばれるものらしい。さんざんひっぱったあげくに、ヒーローがまさかの敗北、お前が刺されるんかい!とつっこみたくなった。
それでもただ暗いだけでもなく、マテオが父の上着を着て袖が短いのに気づいて「親父はこんなに小さかったのか」とパコと亡き父を偲んだり、彼をかばって殺された山羊飼いの老人ラモスの墓場に彼が大事にしていた山羊の頭蓋骨を供えたり、チューイをやっつけて馬とトリニを連れて戻ったマテオを迎えるパコの家族たちが走って川に向かう様子などはいいと思った。(マテオが最初に戻ってきたときも、彼らが草原を走る様子はなぜかローアングルで延々と撮られている。)(2022.6)

続・荒野の七人 Return of the Seven
1966年 アメリカ 95分
監督:バート・ケネディ
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:クリス(ユル・ブリナー)、ヴィン(ロバート・フラー)、チコ(ジュリアン・マテオス)、マヌエル(バージリオ・デクセイラ)、コルビー(ウォーレ ン・オーツ)、ルイス(ジョーダン・クリストファー)、フランク・ライカー(クロード・エイキンズ)
ロルカ(エミリオ・フェルナンデス)、神父(フェルナンド・レイ)
荒野の七人」の続編。
前作と同じ役名、同じ役者なのはクリス役のユル・ブリナーのみ。ヴィンとチコはおなじ役名だが、役者は違っている。ヴィンを演じるのは、TVシリーズ「ラ ラミー牧場」でジェス・ハーパー役を演じたロバート・フラー。チコは、前作でガンマンから足を洗い村に落ち着く決心をしたが、やんちゃな若僧の部分はすっ かりなりをひそめ、真面目な農民の青年に激変している。
あらたに加わったガンマンには、ウォーレン・オーツやクロード・エイキンズなどの顔ぶれがいる。
話は前回と同様。横暴な地主に立ち向かうため農民たちがガンマンを雇う。流れ者の若者、馬泥棒、殺し屋、囚人などが集められ、極悪非道なボス、ロルカと対 決する。(2004.6)


砦の29人 DUEL AT DIABLO
1966年 アメリカ 105分
監督:ラルフ・ネルソン
音楽:ニール・ヘフティ
出演:ジェス・レンズバーグ(ジェームズ・ガーナー)、トーラー(シドニー・ポワチエ)、スコティ・マカリスター少尉(ビル・トラヴァース)、エレン・グレーンジ(ビビ・アンデショーン)、ウィル・グレーンジ(デニス・ウィーバー)、ファーガソン軍曹(ウィリアム・レッドフィールド)、クレイ・ディーン保安官(ジョン・クロウフォード)、チャタ(ジョン・ホイト)
元騎兵隊のスカウト、ジェスは、インディアンの妻を何者かによって殺され、その犯人を探していた。一方、騎兵隊のマカリスター少尉は、食料などの物資を運んでコンチェ砦に行くことになったが、率いる一行はほとんどが新兵で頼りなかった。ジェスと、元軍曹で今は羽振りの良い商人となっているトーラー、コマンチに誘拐され戻ってきたばかりのエレンと、その夫でやはり商人であるグレーンジが、彼らに同行する。エレンは、コマンチの酋長チャタの息子との間に子どもをもうけていて、その子のことが気になっていたのだった。夫のグレーンジは、そんなエレンを受け入れることができず、インディアンを憎悪していた。
それぞれの思惑を持ったまま、彼らは道中でコマンチの襲撃を受け、壮絶な戦いに巻き込まれていく。
「マクロード警部」で知られるデニス・ウィーバーが、悲惨な最期を迎える、心の狭い陰険な男を演じている。
西部の荒野で切り広げられる襲撃シーンは迫力があるが、全体的に重苦しく陰惨な雰囲気の映画である。
また、邦題はだいぶいい加減である。一行が29人だったのは、ほんの出だしだけで、砦に向かう途中で戦いとなるので、結局砦には到着しないのだった。(2011.12 知人にビデオを借りて見る)


ネバダスミス Nevada Smith
1966年 アメリカ 132分
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:マックス・サンド[ネバダ・スミス](スティーブ・マックィーン)、ジョナス・コード(ブライアン・キース)、ピラー(スザンヌ・プレシェット)、 ザカルディ神父(ラフ・バローネ)、トム・フィッチ(カール・マルデン)、ポードリー(アーサー・ケネディ)
両親を殺され復讐にとりつかれた若者が、仇を討つ旅を続けるうち、やがてそのむなしさに気づいていく。
復讐に燃えるあまり、刑務所にまで仇を追っていくマックスの執念には鬼気迫るものがある。
マックスに銃を教える銃商人コードや、彼の心を開く神父など脇役がよい。
マックスは後にネバダ・スミスと名を変え、映画界に入る。本作は、実話に基づいた小説「大いなる野望」(ハロルド・ロビンソン作)の一部を脚色したもの。(2004.6)


プロフェッショナル  THE PROFESSIONALS
1966年 アメリカ  118分
監督:リチャード・ブルックス
出演:リコ・ファーダン(リー・マーヴィン)、ビル・ドルワース(バート・ランカスター)、ハンス・エスレガード(ロバート・ライアン)、ジェイク(ウッディ・ストロード)、マリア(クラウディア・カルディナーレ)、ラザ(ジャック・パランス)、グラント(ラルフ・ベラミー)、オルテガ(ジョー・デ・サンテス)、チキータ(マリエ・ゴメス)

1917年、メキシコ革命時。テキサスの油田の持ち主グラントは、革命軍のリーダー、ラザに誘拐された妻マリアを連れ戻すため、戦いのプロの男たちを雇う。射撃の名手リコをリーダーに、爆破のプロ、ビル、馬の専門家ハンス、追跡と狩猟が得意なジェイクの4人が集まる。
4人は革命軍のアジトを見つけ、そこにいるマリアを発見する。が、実は、マリアとラザは恋人同士で、あこぎなのはグラントの方なのだった。
メキシコを舞台にした、能天気でゆるめで痛快な西部劇である。(2022.2)

<1967年>
エル・ドラド
 El Dorado
1967年 アメリカ 126分
監督:ハワード・ホークス
出演:コール・ソーントン(ジョン・ウェイン)、J・P・ハラー(ロバート・ミッチャム)、ミシシッピ[アラン・ベデルリオ・トレフォン](ジェームズ・ カーン)、ブル(アーサー・ハニカット)、モーディー(シャーリーン・ホルト)、ジョーイ(ミシェル・ケアリー)、ケヴィン・マクドナルド(R・G・アームストロング)、ジェイソン(エドワード・アズナー)、ネルス・マクロード (クリストファー・ジョージ)
テキサス州エル・ドラドの町の保安官ハラーは、女に振られ飲んだくれる毎日を送っていたが、流れ者のガンマン、ソーントンの力を借りて悪質な牧場主と対決 する。ミッチャムのあまり気張らない演技が見ていて楽しい。飲んだくれたこきたない状態からの変貌ぶりもみごと。
二人の仲間に加わる青年ミシシッピを演じるジェームズ・カーンは、ナイフを投げ、走る馬の下にヘッドスライディングし、散弾銃をぶっ放すという活躍をして みせる。
ラッパを吹く老人ブルじいさん役のハニカットもいい味を出している。
ホークス西部劇三部作の二作目。ほかは「リオ・ブラボー」「リオ・ロボ」。(2004.6)

録画で見る。昔、高校生のころにテレビで一度見て以来である。
ソーントン、J・P、ミシシッピ、アルがそれぞれ、「リオ・ブラボー」のチャンス、デュード、コロラド、スタンビーの役どころだが、アル中になるのは保安官である。
クリストファー・ジョージが、マクドナルド一家の水場をねらう悪役のボスのジェイソンに雇われるガンマン役で登場、顔に傷のある名うての早撃ち野郎を渋く演じている。
後半の舞台は、ほとんどエル・ドラドの町の中。酔ったJPが酒場でばかにされてすごすごと保安官事務所に引き返した後、騒ぎを起こしたジェイソンの手下3人が教会に逃げ込み、ソーントンとミシシッピとJPが追い、鐘を鳴らしながらの銃撃戦の後、足の悪い1人が今度は酒場に逃げ込んで、さっきあざ笑われたJPが汚名挽回にと表から酒場に乗り込んで相手をやっつけて、保安官事務所に戻ったと思ったら、マクドナルドの娘ジョーイが兄の死に関わったソ−ントンを撃とうとしていて、それをミシシッピが見つけて、さらに夜の見回りをして、と一晩のシーンがえんえんと続いて、たいしたメリハリもないのに、でもなぜか楽しく見られるのが不思議。
ミシシッピが、父親代わりだった老賭博師の形見の古い帽子を大事にかぶっていて、彼が好きだったという歌の歌詞に「エル・ドラド(黄金郷)」という言葉が出てくるのがよかった。(2019.11)


カスター将軍 Custer of the West
1967年 アメリカ 144分
監督:ロバート・シオドマク
出演:ジョージ・A・カスター(ロバート・ショウ)、リビー(メアリ・ユーア)、レノ少佐(タイ・ハーディン)、ベンティン中尉(ジェフリー・ハン ター)、マリガン軍曹(ロバート・ライアン)、シェリダン将軍(ローレンス・ティアニー)、シッティング・ブル(キーロン・ムーア)
1876年、アメリカ、モンタナ州リトル・ビッグ・ホーンで騎兵隊とスー族との間に行われた壮絶な戦いを描く西部史劇。
カスター将軍率いる第七騎兵隊の小隊は全滅し、カスターはのちに英雄とされた。
が、この作品では、南北戦争後の平穏な軍隊生活になじめず暴走する彼の狂信的な一面が描かれていたように思う。(2004.6)

ラスト・サムライ」「オー シャン・オブ・ファイヤー」では、この事件の後、第七騎兵隊の生き残った部隊が引き起こした「ウッデンド・ニーの虐殺」(1890年)が描かれ、 そこに居合わせたことがともに主人公の心の傷となっている。
関連作品:「壮烈第七騎兵隊」(1941年アメリカ、監督:ラオール・ウォルシュ、主演:エロール・フリン)

大西部への道 The Way West
1967年 アメリカ 125分
監督:アンドリュー・V・マクラグレン
出演:ディック・サマーズ(ロバート・ミッチャム)、ウィリアム・タドロック(カーク・ダグラス)、ライジー・エヴァンス(リチャード・ウィドマーク)、 ベッキー・エヴァンス(ローラ・オールブライト)、ブラウニー・エヴァンス(マイケル・マクグレヴィー)、マーシー・マクビー(サリー・フィールド)、マ クビー(ハリー・ケリーJr)、ウェザビー牧師(ジャック・イーラム)
19世紀半ば、不況の東部から逃れてオレゴンで新天地を開こうと旅立った幌馬車隊の人々を描く。
希望に燃えて出発した一行だったが、旅が長引くに連れ様々な亀裂が生じてくる。
一行の指揮者タドロック、ガイド役のサマーズ、開拓民として家族をひきつれていくライジーという主要の三人がそれぞれに持ち味を出している。
頼りになる父親ライジーを演じるウィドマークが一番いいところを見せていたように思う。
カーク・ダグラスは冷酷で傲慢なリーダーを演じ、やがて意外なことに。(2004.6)


戦う幌馬車  The War Wagon
1967年 アメリカ  101分
監督:バート・ケネディ
出演:トウ・ジャクソン(ジョン・ウェイン)、ローマックス(カーク・ダグラス)、レヴィ・ウォーキング・ベア(カイオワ族。ハワード・キール)、ビリー・ハイアット(爆破屋。ロバート・ウォーカーJR)、ウェス・フレッチャー(運び屋。キーナン・ウィン)、ローラ(フレッチャーの若妻。ジョアンナ・バーンズ)、ホーグ保安官代理(ジーン・エバンス)、
ピアース(ブルース・キャボット)、ハモンド(ブルース・ダン)

DVD上映で見る。
タイトルとなっている馬車は原題の通りワゴンだが、「幌」馬車ではない。悪徳実業家のビアーズが強盗の襲撃に備えてつくらせた装甲車のような鉄の馬車を指す。
ビアースに牧場土地家屋を奪われた男ジャクソンが、ガンマンのローマックス、カイオワ族のウォーキング・ベア、爆薬専門家の若者ビリー、運び屋のフレッチャーなど、それぞれの専門家を集めて馬車の襲撃を企てる。
ジャクソンは赤いシャツ、ローマックスは黄色のベスト、ビリーは緑のシャツ、ベアの身内カイオワ族はいろとりどりの装束、サルーンにはピンクの看板とはなやかな衣装の女たちと、画面はカラフルだ。
装甲馬車のほか、ビアースはガトリング銃を用意していたり、橋の爆破のためにジャクソンらがビアースの倉庫からニトログリセリンを盗んだりと、武器もいろいろと派手である。
老人のフレッチャーの若い妻ローラはフレッチャーが借金のかたに手に入れた女性だが、ビリーは彼女に恋をして若い二人のロマンスも加わる。
酒場での殴り合いもあるし、橋の爆破もあるし、ごたごた混じった軽快なコメディタッチのウエスタンである。
跳び箱を飛ぶようにぴょんとジャンプするローマックスの馬の乗り方がおもしろい。ラストは、乗り損ねて落下し、馬の下から顔を出した彼のアップで終わるのも楽しい。(2020.10)

墓石と決闘 Hour of the Gun
1967年 アメリカ 102分
監督:ジョン・スタージェス
脚本:エドワード・アンハルト
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ワイアット・アープ(ジェームズ・ガーナー)、ドク・ホリディ(ジェーソン・ロバーズ)、アイク・クラントン(ロバート・ライアン)
バージル・アープ(フランク・コンヴァース)、バージルの妻子、モーガン・アープ(サム・メルヴィル)、ホレス・サリヴァン(トゥムストーンの弁護士。チャールズ・エイドマン)、オクタビアス・ロイ(トゥムストーン商工会議所。アルバート・サルミ)、ハーマン・スパイサー(判事。ウィリアム・シャラート)、ドク・グッドフェロー(カール・スウェンソン)、
シャーマン・マクマスターズ(ツーソンの保安官。モンテ・マーカム)、テキサス・ジャック・バーミリオン(ウィリアム・ウィンダム)、ターキー・クリーク・ジョンソン(ロニー・チャップマン)
スティルウェル(ロバート・フィリップス)、ピート・スペンス(マイケル・トーラン)、カーリー・ビル・ブローシャス(ジョン・ボイト)、アンディ・ウォルショー(スティーヴ・イナット)、ラティゴ(ジョージ・ラセク)、ブライアン(郡保安官。ビル・フレッチャー)、
ハリー(床屋)、床屋の奥さん
1881年にクラントン一家とアープ兄弟の間で行われたOK牧場の決闘の後日談。
生き残ったアイク・クラントンは、アープ兄弟に復讐するため仲間を集める。ワイアット・アープは、ドク・ホリディの助けを得て、アイクと対決するが。
戦いに赴く男たちを静かに押さえたタッチで描く。
ドク・ホリディ役のジェーソン・ロバーズがいい味を出している。(2004.6)

大分前に二番館でみてあまり面白くなかったが、周囲の知人たちには評判がよく、それでもう一回見たがやはり面白くなかった。で、今回、BSで放映したので、何十年ぶりかで見直してみたら、これが面白かった。
1881年10月26日、アリゾナ州トゥムストーンで実際にあったOK牧場の決闘の後日談である。
「荒野の決闘」「OK牧場の決闘」は、クライマックスの決闘で決着がついて終わった。この映画は、決闘に勝ったにも関わらず、そのあと延々と続く、ワイアット・アープら対アイク・クラントン一味の因縁の戦いというか殺し合いが描かれる。決闘の後は、裁判となる。町の保安官のアープらが訴えられ、クラントン側にいる郡保安官のブライアンはアープらに不利な証言をするが、判事はその証言が事実にそぐわないとし、アープらは無罪となる。保安官選挙では、アープの弟モーガンとクラントンの手下スペンスが立候補し、モーガンが当選するが、クラントン一味によって暗殺されてしまい、スペンスが保安官となる。裁判や、町の商工会議所のメンバーたちとの作戦会議や、クラントンの買収工作など、駆け引きの部分も多い。派手な銃撃戦はなく、クラントン一味は、待ち伏せや不意打ちで襲撃してくるし、アープは自分より銃の腕が落ちる相手を1対1の撃合いに持ち込んで撃ち殺したりする。地味で暗い話なうえに、似たような格好の西部の男たちがわんさか出てきて、誰が誰でどっち側の人間がわからないまま話が進んでいくので、前に見たときはつまらなかったのだろうと思う。が、人の名前と顔と所属を把握したうえで、西部における理不尽な法律の状況や、法を優先しようとしながら弟の復讐の念に駆られて、連邦保安官の任命状を盾に指名手配された4人の男たち(弟のバージルの足を撃ち、モーガンを殺した男たち)を逮捕せず射殺してしまったアープの心情を慮って見ると、かなり見応えがある。4人の男たちを追うため、3人の男たち(シャーマン、ジャック、ジョンソン)がアープとドクに付き合って仲間に加わるが、アープが一人で4人を殺してしまったためほとんど活躍することもなく賞金を得ることもなくただ去っていく展開なども、多分、以前みたときはなんだこれと思ったのだろうが、空振りに終わった3人の男たちもそれぞれに味があって、これはこれでいいと思った。以前見たときから、ジェーソン・ロバーズのドク・ホリデーはよかったという印象があったのだが、やはりよかった。アープと行動を共にし彼の心の変化を知って激しく批難し、でも病身をなげうって結局彼につきあう、男の友情にじんと来た。
ロバート・ライアンの悪いボスぶりもさすがの貫禄だった。(2020.11)

OK牧場の決闘とワイアット・アープ関連作品:「荒野の決闘」「OK牧場の決闘」「トゥムストーン」「ワイアット・アープ

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