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西部劇

<1960年代の西部劇 1>
1960年 アラスカ魂 アラモ 片目のジャック 決闘コマンチ砦 荒野の七人 バファロー大隊 燃える平原児 
1961年 コマンチェロ 六頭の黒馬
1962年 西部開拓史 昼下りの決斗 リバティ・バランスを射った男
1963年 マクリントック

アラスカ魂 North to Alaska
1960年 アメリカ 122分
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:サム(ジョン・ウェイン)、ジョージ(スチュアート・グレンジャー)、ミシェル(キャプシーヌ)
ジョン・ウェイン主演のラブ・コメディ。
アラスカで金鉱を掘り当てたサムは、ともに暮らす相棒ジョージの結婚相手にと、町からフランス人女性ミシェルを連れてくる。
ところが、彼自身が彼女に恋をしてしまう。恋の駆け引きでは、無骨な西部男は洗練されたフランス女にまるで歯が立たない。嫉妬のあまり雄叫びをあげるジョ ン・ウェインなど、珍しくて楽しい。(2004.6)


アラモ The Alamo
1960年 アメリカ 190分(ディレクターズカット 199分)
監督・製作:ジョン・ウェイン
主題曲:「はるかなるアラモ」Green Leaves of Summer ディミトリ・ティオムキン作曲  ポール・フランシス・ウェブスター作詞
出演:トラヴィス大佐(ローレンス・ハーヴェイ)、デヴィー・クロケット(ジョン・ウェイン)、ジム・ボウイ(リチャード・ウィドマーク)、ディキンソン大尉(ケン・カーティス)、サム・ヒューストン将軍(リチャード・ブーン)、
ボナム(パトリック・ウェイン)、スミティ(フランキー・アヴァロン)、はちみつ屋(チル・ウィリス)、フィン中尉(グィン・ウィりアムズ)、ジョッコ(ジョン・ディーケス)、ドク(ウィリアム・ヘンリー)、牧師(ハンク・ウォーデン)、ジェスロ(ジェスター・ハリストン)、セギン(ジョセフ・カレイラ)、サンタアナ将軍・大統領(ルーベン・パディラ)
スー・ディキンソン(ジョーン・オブライエン)、リサ・ディキンソン(アイサ・ウェイン)、ネル(ジョッコの盲目の妻。ヴェダ・アン・ボーグ)、フラカ/ロペス夫人(リンダ・クリステル)、
1936年のアラモ砦の戦いを描く。
テキサスがメキシコ領だった時代、アラモ砦に立てこもったアメリカ人と包囲するメキシコ軍との間で壮絶な戦いが繰り広げられた。
ボウイ・ナイフで有名なジム・ボウイをリチャード・ウィドマークが好演している。
個人的には伝令として活躍する少年スミティが印象に残った。(2004.6)

ディレクターズ・カット版をブルーレイ版で見た。
中高生のころにテレビで放映したのを見て、そのあと一部をどこかで見たように思うが、だいぶ忘れていたので、ほぼ初めて見るようなものだった。3時間ちょっとあってかなり長かったが、そのあとについていたいろいろなおまけ、制作や撮影の過程を関係者が語るインタビューや、撮影現場にジョン・フォードが訪ねてきた映像なども興味深くて見てしまった。
テキサス独立戦争中、1836年2月23日から3月6日までの13日間に渡る、メキシコ軍と反乱軍の戦闘を描く。
前半は、アラモの砦での様子、トラビス大佐が嫌なやつでジム・ボウイと仲が悪いことなどと、サンアントニオの町でのデイビー・クロケットの様子、彼の豪快な男ぶりとともに、メキシコ女性のフラカと知り合い、くどき、別れる短い恋の顛末や、彼がテネシー人の男たちを集めてアラモの戦いに加わるまでが描かれる。
後半は、いよいよ戦闘に入る。メキシコ軍に2度の夜襲をかける。一度目は、敵の巨大な大砲をこわす。二度目の夜襲では、霧のたつ河から敵地に入り、敵が確保している多数の牛を奪い、夜明けを待って暴走させ、大量の牛肉を得る。暴走する牛の群れが豪快この上ない。
最後の決戦を迎えるにあたり、デイビーは少年兵のスミティを伝令に出し、敵方のサンタアナ将軍は、アラモ砦にいる女子供の脱出の猶予を与える。
それまで強引だったトラビス大佐は、砦の兵士たちに、自分の隊は残るが、他の隊(クロケットの率いるテネシーの義勇軍と、ジム・ボウイ率いる義勇軍)は砦を出て行っていいと言う。ボウイは、ぶすっとしたまま馬を降りてトラビスの隣に立つ。ボウイ軍の兵士たちとクロケットの兵士らも続い、トラビスとボウイの後ろに並ぶ。クロケットは割と最後の法で馬を降り、二人の横に立つ。
クロケットが、先に下馬せず、部下たちが下りていくのを待って降りるのがいいと思った。
結末がわかっているので、戦闘になるまでの間、アラモの砦で男たちが愉快に豪快にふるまっているのを見ると、胸が痛んだ。特に、ディキンソンの幼い娘リサの誕生日を祝うパーティがよくて、これから起こることを思うと泣けた。
常にいがみあうトラビスとボウイの間に割って入る役割のクロケットは、ちょっと坂本竜馬みたいだ。共和国の理想について語るのも幕末の志士みたいだ。
高慢な指揮官のトラビスを横で支えるディキンソンが地味によかった。かつての同輩らしいが、かたや大佐、かたや大尉であるにも関わらず、同等に話してさとすのがいいと思った。
ボウイに妻の悲報が届く。ソンブレロに手紙を入れて砦の中に投げ入れるのがよかった。
偵察に行ったフィン中尉が、敵の大砲の大きさを示すために、ライフルの銃尻で地面に大砲の筒の絵を描く。後に、トラビスが作戦を説明するために、サーベルの先で、地面に、川とヒューストン将軍の駐屯地とアラモ砦の位置を占める地図を描く。この、地面に書いて説明するというのが、西部劇らしくて好きだ。(2020.5)
セリフ:兵士の一人「別れを言う相手がいないのであなたに。」
 サンタアナ将軍の計らいで決戦前に婦女子は砦から避難する猶予を与えられる。砦に残る男たちが馬車に乗った妻子らと別れを惜しむ中、夫を戦闘で亡くした妻に、家族を持たない一人の兵士がこう言って、別れを告げる。

片目のジャック One-Eyed Jacks
1960年 アメリカ 141分
監督:マーロン・ブランド
出演:リオ(マーロン・ブランド)、ダッド・ロングワース(カール・マルデン)、ルイザ(ピナ・ペリサー)、マリア(ケティ・フラド)、ボブ・エモリー (ベン・ジョンソン)、モデスト(ラリー・デュラン)、ハーヴ・ジョンソン(サム・ギルマン)、ロン(スリム・ピケンズ)、銀行員(エリシャ・クック)、 ドク(ハンク・ウォーデン)
マーロン・ブランド監督・主演の暗く沈んだ雰囲気の西部劇。
仲間の裏切りで投獄された銀行強盗のリオは、脱獄して裏切り者に復讐をしようとする。が、その相手ロングワースは、保安官として町の人々の尊敬を集めてい た。リオは無法者としてひどい仕打ちを受けるが、復讐をあきらめることはなかった……。
タイトルの「ジャック」は、トランプの絵札のJのこと。顔を横に向け表の側の目しか見せていないが、裏にはもう一つ影の顔を持っている、ということ。リオ に「片目のジャック」と呼ばれる保安官ロングワースをカール・マルデンが怪演している。
リオの仲間エモリー役のベン・ジョンソンが紙巻き煙草を巻いて吸っていたのをなぜかよく覚えている。(2004.6)


決闘コマンチ砦 Comanch Station
1960年 アメリカ 74分
監督:バッド・ベティカー
出演:ジェフ・コディ(ランドルフ・スコット)、ナンシー(ナンシー・ゲート)、ベン・レーン(クロード・エイキンズ)、フランク(スキップ・ホメイ エ)、ドビー(リチャード・ラスト)、ジョン・ロウ(ダイク・ジョンソン)
コマンチに連れ去られた人妻に懸賞金がかけられた。自分の妻と間違えて彼女を救い出したコディは、彼女を夫 の元に送り届けようとするが、懸賞金目当ての男たちが邪魔をする。
赤い岩の切り立つ西部で、ランドルフ・スコットが見事な銃捌きを見せてくれる。(2004.6)


荒野の七人 The Magnificennt Seven
1960年 アメリカ 128分
監督 ジョン・スタージェス
出演 クリス(ユル・ブリナー)、ヴィン(スティーブ・マックィーン)、ブリット(ジェームズ・コバーン)、チコ(ホルスト・ブッフホルツ)、オレイリー (チャールズ・ブロンソン)、リー(ロバート・ボーン)、ハリー(ブラッド・デクスター)、カルベラ(イーライ・ウォラック)、長老(ウラジミール・ソコロフ)
メキシコの農民に頼まれて、山賊を倒すために集まった七人のガンマンたち。
黒澤明監督の「七人の侍」と比較され底が浅いなどと言われがちだが、わくわくしながら楽しく観られる娯楽西部劇なので私はかなり気に入っている。
前半の人探し、後半の村での戦いに大きく別れるが、双方においてガンマンひとりひとりの個性が丁寧に描かれている。
ナイフ投げのコバーンの人気が高かったようだが、他のみんなが男気で参加したのに対し、最後まで金儲けを信じて疑わなかったデクスターなどにも好感が持て る。(2003.2)

ひと言:「服を脱いでサボテンの上に飛び降りた男に何故そんなことをしたのか聞いたことがある。・・・そのときはそれでいいと思ったんだとよ。」ヴィン(スティーブ・マックィーンのセリフより
関連作品:「続・荒野の七人」「新・荒野の七人/馬上の決闘(1968年)」「荒野の七人/ 真昼の決闘(1972年)」
マグニフィセント・セブン」(2016年)

バファロー大隊 Sergeant Rutledge
1960年 アメリカ 111分
監督:ジョン・フォード
出演:トム・カントレル中尉(ジェフリー・ハンター)、ラトレッジ軍曹(ウッディ・ストロード)、コーデリア・フォスゲイト(ビリー・バーク)、メアリ・ ビーチャー(コンスタンス・タワーズ)、スキモア(ファノ・フェルナンデス)、シャタック大尉(検察官。カールトン・ヤング)、フォスゲート大佐(裁判官。ウィリス・ボウチイ)、マルクィーン中尉(ジャドソン・ブラッド)、ネリー(メエ・マーシュ)、ルーシー・ダブニイ(トービ・リチャード)、クリス・ハブル(ジャン・スタイン)、チャンドラー・ハブル(フレッド・リビー)、ハンク・ウォーデン
婦女暴行殺人事件の謎を追う法廷ミステリーの形をとった異色西部劇。
物語は、裁判を中心に回想形式で進む。事件の内容や真犯人の造形はかなり現代的である。
騎兵隊の砦で若い娘ルーシーが殺された。死体に毛布をかけるところを目撃された黒人のラトリッジ軍曹が容疑者として逮捕される。彼は無実を主張するが、裁 判は黒人である彼にとって不利に進行していく。
ウディ・ストロードが、キャプテン・バファローと呼ばれる気骨のある黒人軍曹をクールに演じている。彼の無実を信じて弁護を引き受ける上官カントレル役の ジェフリー・ハンターもよい。(2004.6)

久し振りにビデオで見直した。頑固な議長による、適度なルーズさをもった裁判は面白い。時系列順に証言をつ なげ、そこにアパッチとの戦いの様子も交えていて、改めて見るとずいぶん凝ったつくりになっていると思った。
無罪をかちとった後、ウッディ・ストロードのカットがひとつもないのはちょっと欲求不満になる。(2007.11)

久しぶりに録画で見直す。
騎兵隊の軍法会議により少女殺人事件の真相を究明する法廷ものミステリ。西部の光景は、主に人々の回想の中で登場する。中高生のころに初めてテレビでみたときは、ショッキングな犯罪と意外な犯人に驚いた。今見ても現代的な題材を扱っていると思う。(2021.4)

燃える平原児 Flaming Star
1960年 アメリカ 101分
監督:ドン・シーゲル
出演:ペイサー・バートン(エルヴィス・プレスリー)、クリント・バートン(スティーヴ・フォレスト)、ロズリン(バーバラ・エデン)、ネディ・バートン (ドロレス・デル・リオ)、サム・バートン(ジョン・マッキンタイア)、バファロー・ホーン(ロドルフォ・アコスタ)
インディアンの母と白人の父を持つペイサーは、白人社会から拒絶され、インディアンの部落に身を寄せるが、 やがて彼らとも対立することに……。
ロカビリーの帝王エルヴィス・プレスリーが苦悩する混血青年を演じる西部劇。冒頭で2曲の唄を披露するが、あとはアクション満載のタイトな復讐劇となって いる。
原題は、ペイサーの母が息を引き取る際に見た死の「燃える星」のことを指している。風の吹きすさぶ夜の荒野にインディアンの母親がさまよい出ていくシーン は、悲しく美しい。(2004.6)


コマンチェロ The Comancheros
1961年 アメリカ 104分
監督:マイケル・カーティス
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ジャック・カッター(ジョン・ウェイン)、ポール・リグレット(スチュアート・ホイットマン)、パイラー・グレイグ(アイナ・バリン)、グレール (ネヘミア・パーソフ)、アメラグ(マイケル・アンサラ)、クロー(リー・マーヴィン)、ホースフェイス(ジャック・イーラム)、トーブ(パット・ウェイ ン)、ヘンリー大佐(ブルース・キャボット)
テキサス・レンジャーのカッター大尉は、コマンチ族に武器の密売をしている白人の集団コマンチェロの討伐を 命じられる。彼は、かつて護送中に逃亡されたお尋ね者の賭博師リグレットと再会、彼とともにコマンチェロの本拠地に乗り込んでいく。
スチュアート・ホイットマンが、次第に西部になじんでいく貴族出身の賭博師役で出演、ジョン・ウェインとの丁々発止が楽しい。
夕闇の中、リグレットが墓を掘り、カッターが花を供えてたちつくすシーンが美しかった。
リー・マーヴィンがコマンチェロのメンバーで顔を見せている。(2004.6)


六頭の黒馬 SIX BLACK HORSES
1961年 アメリカ 80分
監督:ハリー・ケラー
脚本:バート・ケネディ
出演:ベン・レーン(オーディ・マーフィ)、フランク・ジェシー(ダン・デュリエ)、ケリー(ジョーン・オブライエン)、ウィル・ブーン(ジョージ・ウォリス)、ムスタンガー(ロイ・バークロフト)、パンチャー(ボブ・スティール)、コヨテロ族リーダー(ヘンリー・ウィルズ)、葬儀屋(フィル・チェンバース)、メキシコ人のダンサー(チャリータ)
「荒野の追跡」から7年後だが、これもオーディー・マーフィとダン・デュリエが演じる二人の西部男の友情と対立を描いている。
ベンは、旅の途中、馬泥棒と誤解され、吊るし首にされるところをフランクに助けられる。二人は、ベルデッドの町で、美女のケリーに、インディアンの住む岩山や荒野を抜けてデル・コブレへ行く旅に護衛として雇われる。
タイトルの6頭の黒馬は、フランク(デュリエ)が、葬列を見ながらベンにする話に出てくる。彼は、自分が死んだら立派な棺桶に入れて6頭の黒馬に引かせて墓場まで運ばせるのだという。この言葉は、予言のようにラストへ続く。
ベンが闘犬に使われていたコリーを助けてから、なつかれてまとわりつかれ、馬に乗るときもいっしょなのがかわいい。(2020.5)

西部開拓史 How the West Was Won
1962年 アメリカ 165分
監督:ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャル
音楽:アルフレッド・ニューマン
主な出演:イヴ・プレスコット(キャロル・ベイカー)、ゼブ・ロウリングス(ジョージ・ペパード)、リリス(リリー)・プレスコット(デビー・レーノルズ)、アガサ・ク レッグ(セルマ・リッター)
レーション:スペンサー・トレーシー
1830年に西部にやってきた一家の三代にわたる物語をオムニバス形式で描く西部開拓大絵巻。(以前見たの は短縮版だったのか、三部形式で、第二部と第五部は見た記憶がない。)
第一部で、ジェームズ・スチュワートが、無骨なハンターを演じて好感を持つ。のちに彼の喋り方を息子のゼブを演じるジョージ・ペパードが「親父だったらこ う言ったよ」という感じでものまねをしてみせるシーンがほほえましい。
第三部は、ジョン・ウェインとハリー・モーガンが野外で戦争について語る件りが美しい画面とともに印象に残る。
第四部は、ジョージ・ペパードが列車アクションでどきどきさせてくれた。
以下に各エピソードのあらすじを記す。

<第一部 River 河>
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:ゼブロン・プレスコット(カール・マルデン)、ライナス・ローリングス(ジェームズ・スチュワート)、ドラ・ホーキンス(ブリジッド・バズレ ン)、ジェブ・ホーキンス(ウォルター・ブレナン)、レベッカ・プレスコット(アグネス・ムーアヘッド)、賊(リー・ヴァン・クリーフ)
1830年代末。ゼブロン・プレスコットは、妻と二人の娘をつれ開拓民として西部にやってきた。長女のイーヴは、ビーバーの狩猟者ライナスに恋をする。無法者との戦いのあ と河の急流で両親を失ったイーヴは、ライナスとともに西部で生きる決心をするが、次女のリリスはセントルイスの町に向かう。
<第二部 The Plains 平原>
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:クレヴ・ヴァン・ヴァレン(グレゴリー・ペック)、ロジャー・モーガン(ロバート・プレストン)
10年後。セントルイスでキャバレーの歌手になっていたリリスは、死んだパトロンの金鉱を相続したという知らせを受け、幌馬車隊で西へ向かう。彼女の金を ねらう賭博師ベイレンが同行する。インディアン襲撃などの苦難を経て辿り着いた金鉱はすっかり掘り尽くされていた。一度はリリスを捨てたベイレンだった が、彼女を忘れることができず、二人はサンフランシスコを目指す。
<第三部 The Civil War 南北戦争>
監督:ジョン・フォード
出演:シャーマン将軍(ジョン・ウェイン)、グラント将軍(ハリー・モーガン)、ピーターソン(アンディ・デヴァイン)、エブラハム・リンカーン(レ イモンド・マッセイ)
南北戦争時代(1861〜65年)。ライナスとイーヴの間には二人の息子が生まれた。ライナスは志願兵として戦場に赴いた。長男のゼブも入隊し、やがて父の戦死を知る。北軍の 野営キャンプではグラント将軍とシャーマン将軍が戦局について語り合っていた。ゼブは、将軍をねらう南軍兵士を銃剣で刺殺する。やがて終戦となり、ゼブは 騎兵隊に留まる決心をする。
<第四部 Railroad 鉄道>
監督:ジョージ・マーシャル
出演:ジェスロ・スチュワート(ヘンリー・フォンダ)、マイク・キング(リチャード・ウィドマーク)
1868年。中尉となったゼブは、大陸横断鉄道の建設工事をインディアンの襲撃から守る任務についていた。建設所長のマイクは、バファロー・ハンターの ジェスロの忠告を無視してインディアンの土地に無理矢理線路を通そうとしたため、戦いが起こる。インディアンを欺くことに荷担したことを悔やむゼブは軍を やめる決心をした。
<第五部 The Outlaws 無法者>
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:ラムジー保安官(リー・J・コッブ)、ジュリー(キャロリン・ジョーンズ)、チャーリー・ガント(イーライ・ウォラック)、ガントの手下(ハ リー・ディーン・スタントン)

1880年代末。未亡人となったリリスはアリゾナに移住し、保安官をしている甥のゼブと再会する。ゼブは、列車強盗のガントを追っていたが、激しい銃撃戦 の末に勝利を勝ち取る。

昼下りの決斗 RIDE THE HIGH COUNTRY
1962年 アメリカ 94分
監督:サム・ペキンパー
出演:ギル・ウェストラム(ランドルフ・スコット)、スティーヴ・ジャッド(ジョエル・マクリー)、エルサ(マリエット・ハートレー)、ヘック(ロン・スター)、トリヴァー判事(エドガー・ブキャナン)、ジョシュア(R・G・アームストロング)、ジミー・ハモンド(ジョン・デイヴィス・チャンドラー)、ヘンリー・ハモンド(ウォーレン・オーツ)、エルダー・ハモンド(ジョン・アンダーソン)、ビリー・ハモンド(ジェームズ・ドルーリー)、シルバス・ハモンド(L・Q・ジョーンズ)
友人にいただいたDVDで見る。
昔馴染みの二人の老ガンマンが、若い娘の結婚騒ぎから争いに巻き込まれていく。
ギルは、若い男ヘックと組んで金鉱の金の強奪をもくろんでいる。昔馴染みの元保安官スティーブが金を運ぶ仕事を引き受けたのでそれに加わり、仕事の途中で強奪の話を持ち込もうとする。
鉱山に金を取りにいく際に立ち寄った中継所で父と暮らす娘エルサは、厳格すぎる父との暮らしに嫌気がさし、そんなに好きでもない坑夫ジミーと結婚するため、鉱山に向かう一行に加わる。が、ジミーにはほかに3人の兄弟がいて、兄弟は4人とも野獣のような男たちであった。エルサはジミーらから逃れようとし、彼女に気のあるヘックが助けようとする。
エルサを連れての帰り道、ギルは金の強奪をもちかけるが、頑固な正義漢のスティーヴは、頑として受け付けず、逆にギルとヘックを捕らえようとする。
4兄弟が追ってきて、両陣営の対決となる。
卑怯な手を使おうとする兄弟をいさめる兄貴がいて、4兄弟もそれなりの男気を見せる。
頑固なスティーブと、裏切ろうと思いつつも友を見捨てられないギル、二人の老ガンマンの友情が、最後の別れのシーンに集約される。(2018.1)

リバティ・バランスを射った男 The Man Who Shot Liberty Valance
1962年アメリカ 白黒・123分
監督:ジョン・フォード
出演:トム(ジョン・ウェイン)、ランス(ジェームズ・スチュワート)、リバティ・バランス(リー・マーヴィン)、ハリー(ベラ・マイルズ)、ピーボディ (エドモンド・オブライエン)、アップルヤード保安官(アンディ・デヴァイン)、ポンピー(ウディ・ストロード)、スターバックル(ジョン・キャラダイ ン)、リース(リー・ヴァン・クリーフ)
東部から西部にやってきた若き法律家のランスは、無法の町に法と秩序をもたらそうと健闘する。
彼は銃を憎みながらも、やがて町の無法者リバティ・バランスと一騎打ちの戦いをするはめに陥ってしまう。
リー・マーヴィン演じるリバティ・バランスが、強烈な存在感を放つ。カウボーイ・ハットのひもをあごの下にだらりとたらし、汗と垢にまみれていそうな面構えがいかにも凶悪である。
誰が見ても勝ち目のなさそうだったランスが見事にリバティ・バランスを撃ち倒し、彼は一躍町の英雄となる。
が、実際にもの影から彼をしとめたのは、牧場主のトムだった。真実を告げることなく、影の存在のまま死んでいく西部の男トムをジョン・ウェインがひたすら 渋く演じている。ランスに真実を告げたときの彼がくゆらす煙草の煙がそこはかとない哀愁を漂わせて、心にしみる。

このひと言:「ここは西部です。事実が伝説を違っていても伝説をとります。」(シンボーン・スター新聞社の記者)

マクリントック  McLINTOCK!
1963年 アメリカ 126分
監督:アンドリュー・V・マクラグレン
出演:ジョージ・ワシントン・マクリントック(ジョン・ウェイン)、キャサリン・マクリントック(モーリン・オハラ)、レベッカ・マクリントック(ステファニー・パワーズ)、デブリン・ウォレン(パトリック・ウェイン)、ルイス・ウォレン(イヴォンヌ・デ・カーロ)、ドラゴ(チル・ウィリス)、ベン・セージ(ブルース・キャボット)、カーリー・フレッチャー(ハンク・ウォーデン)、ジェイク・ビーンバーム(ジャック・クルッシェン)、カスバート・ハンフリー知事(ロバート・ローリー)

ジョン・ウェインとモーリン・オハラの、「静かなる男」西部コメディバージョンといった風情の、豪快なホーム・ラブ・コメディ。
西部の大牧場主マクリントックのもとに、別居していた妻キャサリンが2年ぶりにやってくる。キャサリンは、学校を卒業して帰郷してくる娘レベッカを自分のもとに引き取りたいと考えているのだった。些細な誤解から意地の張り合いが高じて喧嘩中の二人だが、心の中ではお互い惹かれあっているので、二人のやりとりは滑稽で微笑ましい。
大乱闘の末、マクリントックもその妻のキャサリンも泥だまりに滑り落ちて全身泥まみれになったり、下着姿のキャサリンをマクリントックが追い回して、町中の人たちがそれを見て囃し立てたり。
インディアンの受難が描かれ、マクリントックはインディアンの味方であるが、彼らへの協力は彼らを逃すにとどまる。武器を得た彼らにはこの後悲惨な戦いが待ち受けていることが予想されるので、そこに関してはあまり手放しで笑えないのだった。(2018.3)

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