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○ ゴッドレス

(NETFLIXテレビドラマ)

ゴッドレス 神の消えた町 GODLESS
2017年 アメリカ Nerflix テレビドラマシリーズ 全7話
製作・監督・脚本:スコット・フランク
製作総指揮:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ロイ・グッド(ジャック・オコンネル)、フランク・グリフィン(ジェフ・ダニエルズ)
アリス・フレッチャー(ラ・ベル町はずれの牧場経営者。ミシェル・ドッカリー)、トラッキー(アリスの息子。サミュエル・マーティ)、アイオビ(アリスの義母。パイユート族。タントゥー・カーディナル)、ビル・マクニュー(ラ・ベルの保安官。失明しつつある。スクート・マクネイリー)、ホワイティ・ウィン(ラ・ベルの保安官助手の若者。二挺拳銃。トーマス・サングスター)、メアリー・アグネス・マクニュー(ラ・ベル前町長未亡人。ビルの妹。メリット・ウェヴァー)、シャーロット・テンプル(ラ・ベルの住人。サマンサ・スール)、キャリー・ダン(ラ・ベルの教師。元娼婦。テス・フレイザー)、マルタ(ドイツ女。画家。クリスティ・サイデル)
ジョン・ランダル(ラ・ベル近く黒人居住区住人。元バファロー・ソルジャー。ロブ・モーガン)、ルイーズ(ジェシカ・スーラ)
A・T・グリッグ(新聞編集者。ジェレミー・ボブ)、ジョン・クック(連邦保安官。サム・ウォーターストン)、J・J・バレンタイン(鉱山会社経営者。クリストファー・フィッツジェラルド)、エド・ローガン(鉱山会社警備係。キム・コーツ)、ピンカートン社の探偵

★ネタバレあり!★

1880年代の西部、ラ・ベルという鉱山町が舞台のドラマ。
オープニングの音楽とタイトルバックの映像が渋い。
ラ・ベルの町は、鉱山で爆破事故があり、働いていた男たち80余名が一度に死亡するという悲劇に見舞われた。女たちと、わずかに残った男たちが町で暮らしている。
町の郊外では、アリスが、亡き夫の後を継いで牧場を経営している。パイユート族だった夫の母アイオビと息子のトラッキーと暮らしているが、町の住人たちとは仲が悪い。
ある日、無法者のグリフィン一味がクリードという町の近くで列車強盗を行い大金を得るが、一味の一人ロイ・グッドが、一味を裏切り、金を奪って逃げる。彼は、アリスの牧場に逃げ込み、かくまわれる。ボスのフランク・グリフィンは、息子のように思っていたロイに裏切られたことに怒り、30人の手下を率いて彼を追う。ラ・ベルの女たちは、町を守るためにグリフィン一味を迎え撃つことを決意し、両者の間で激しい銃撃戦が展開する。
話は、グリフィン一味とロイの戦いとともに、ラ・ベルの町における鉱山会社と町の住人の女たちとの対立が並行して描かれるのかと思ったが、ほぼ前者の話で、後者については対決の顛末は描かれない。それなりの活躍を期待していた、黒人居住区の元バファロー・ソルジャーたちに、全く見せ場がなかったのはかなりがっかりである。
凶悪犯として追われながら、実は地味で実直で心正しいロイは、昔懐かしい西部劇のヒーローらしい若者である。馬の扱いに長けているところもいい。彼とアリス、トラッキー、アイオビとの心の通い合いが三人三様でよい。
事故でなくなった町長の妻で町の保安官マクニューの妹のメアリは、みつあみヘアに男装、銃を持ち歩く女丈夫で、がっちりした体形なのもりりしくてよい。女だらけの町で、元娼婦で今は学校の教師をしているキャリーと恋仲にあり、マルタに嫉妬するところとか、まるで男くさい。ドイツ女のマルタが、また二挺拳銃で銃撃の腕を披露してかっこよい。彼女とピンカートンの探偵がいい仲になってしまうのも微笑ましい。
保安官事務所のホワイティは、好感の持てる若者である。最後の銃撃戦でろくに活躍せず死んでしまうのはたいそう残念である。
フランク・グリフィンは、冷酷非情な無法者で聖職者でロイの父役という、このドラマでもっとも複雑な役回りである。「死に際はわかっている」と言いながら、息子同然のロイに殺されるのは無念か、本望か。(2019.10)

<各話ごとの内容>
第1話 クリードの事件 An Incident at Creede 71分
1884年。無法者グリフィン一味を追う連邦保安官ジョン・クックは、クリードの町の惨劇を目にする。グリフィン一味はクリードの町近くで列車を襲って大金を得るが、一味のロイ・グッドが金を奪い、ボスのフランクを撃って逃走する。フランクは、ロイに撃たれた左腕を切断した後、30人の手下とともにクリードに戻って腹いせに町の住人を皆殺しにしたのだ。ロイは、ラ・ベルの町のはずれにあるアリスの牧場に逃げ込む。
ジョン・クックは、クリードの町の惨劇を目にした後、ラ・ベルの町にやってくる。炭坑の事故により鉱夫80余名が死亡し、町は女だらけとなっていた。亡くなった町長の妻で保安官マクニューの妹であるメアリーがリーダー格。
ロイは、正体を明かさずにアリスの牧場に滞在していたが、保安官マクニューが牧場を訪れた際に自首する。

第2話 ラ・ベルの女たち
 The Ladies of La Belle  70分
クイック・シルバー鉱山会社の社員がラ・ベルの町にやってきて、鉱山の買収を申し出る。メアリーは反対するが、他の女たちは小切手を見せられて説得され、買収を受け入れることに。マクニューは、目を患い、視力を失いつつあるが、単身グリフィン一味の足跡を追う。アリスは、牧場の働き手として、馬の扱いにたけたロイを必要とし、保安官事務所の留守番をしているホワイティを脅して留置所からロイを連れ帰る。

第3話 馬から学ぶ知恵  Wisdom of the Horse  75分
ロイは、アリスの牧場に雇われる。ホワイティとメアリーと町の女たちが、ロイを引き取りに訪れる。アリスと町の住人たちは対立している。馬を安く売るからロイを見逃せというアリスの提案を、メアリは受け入れる。(このとき、ホワイティとメアリが言い合いになり、銃を抜き合うが、メアリの方が早く抜いたため、場は収まる。)
ロイはトラッキーに馬の乗り方を教え、アリスはロイに読み書きを教える。ロイが、馬を怖がるトラッキーに何度も乗馬させるシーンはいい。
一人で保安官事務所にいるホワイティに、メアリが差し入れに来る。わざと遅く抜いたのかというメアリに、ホワイティは無言でほほ笑むのだった。ホワイティは、町から馬で1時間ほどのところにある黒人居住区を訪れ、ルイーズにギターを習う。二人は恋に落ちている。
鉱山会社は、クック保安官のアドバイスに従い、エド・ローガンら警備の男たちを派遣する。エドは銃をみせびらかし、威張っている。
クックは、タオスで新聞編集者のグリッグから話を聞き、グリフィン一味と一晩過ごした移民たちから一味の行き先を聞き、オラグランデに赴くが、そこでグリフィン一家に敢え無く殺される。

第4話 父と息子 Fathers & Sons 68分
グリフィン一味は、天然痘で壊滅しつつある集落の家に立ち寄る。フランクは、手下たちに病人の世話をしていた少女と病人たちを埋葬させる。
グリッグはロイが捕らえられたと聞いてラ・ベルに来る。ホワイティーは、ロイの指名手配のビラを見て、ロイの正体を知る。
アリスとロイは過去を回想する。アリスは、洪水で最初の夫を亡くし、パイユート族の男と結婚したが、彼も失い、息子のトラッキーと義母のアイオビと牧場で暮らしていた。町の人たちは、インディアンと結婚したアリスに冷たかった。ロイは、孤児だった。兄と二人で旅の途中にシスター・ルーに会い、彼女の家でほかの孤児たちと暮らしていた。
ロイは、トラッキーとアイオビとともに狩りに出る。アイオビは優れた狩りの腕前を見せる。
ホワイティは、黒人居住区でルイーズに会う。いい感じの二人はルイーズの父に見られ、ものすごい剣幕で引き離される。集落を追われ、遠くから振り返ると、父親がみんなの前でルイーズを折檻しているのを目撃する。怒ったホワイティは、父親をライフルで撃とうとするが、狩り帰りのロイがそれを止める。ホワイティはロイに感謝し、指名手配のロイ・グッドのビラを見たが、凶悪犯は間違いを犯そうとしていた若者を止めたりしない、と言って見逃す。メアリはなにかとホワイティを気遣う。彼女は、元娼婦で今は教師のキャリーと、恋仲である。
マクニューはクックの死を知ってグリフィン一味の後を追うが、待ち伏せされ、フランクに銃を向けられる。死を覚悟したマクニューだが、フランクは撃たずに去る。

第5話 銃の名手 Shot the Head off a Snake 51分
ロイの過去が彼の回想で明かされる。兄とともにシスター・ルーに引き取られた二人だったが、兄はロイを置いて旅立つ。ロイは、グリフィン一味に加わり、フランクに育てられる。
メアリは、町にやってきたドイツ人の女性マルタがキャリーの家から出てくるところを見かけ、二人の仲を疑う。
マクニューは、騎兵隊にグリフィン一味の撲滅を要求するが、それどころではないと拒否される。
ロイは、フランク・グリフィンらが自分を追ってラ・ベルにやってくることを知り、アリスらに害が及ぶことを恐れ、牧場を去る決意をする。

第6話 ロイに宛てた手紙 Dear Roy...  41分
ロイが持ち歩いている手紙の謎が明かされる。ロイは、グリフィン一味から奪った金を、シスター・ルーに渡すため、彼女の家を訪れる。シスター・ルーは、ロイがまっとうに働いて金を得たと思って感謝し、古い手紙を渡す。それは、ロイが彼女の元を去ってから1年くらい後に、兄からロイ宛に届いた手紙だった。字が読めなったロイは封をしたまま大事に手紙を持ち歩いていたが、アリスに読み書きを習ったので、手紙を開封し、読む。
ロイは、アリスと一夜を過ごした後、牧場を去る。
グリッグは、ラ・ベルの町についての記事を載せた新聞を出す。記事には、炭鉱の事故で現在町の住人はほとんどが女性であること、町に凶悪犯のロイ・グッドが逃げ込み、女たちが彼をかくまっていると書かれていた。グリフィンを煽り、ロイと彼らの対決を目撃して記事を書こうという企みだ。その思惑通り、記事を読んだグリフィンは30人の手下を連れてラ・ベルに向かい、マクニューも記事を読んで町に引き返そうとする。
アリスとトラッキーは、ロイが置いていった手紙を読む。カリフォルニアに落ち着いて仕事を始めた兄が、ロイにも来るよう呼びかけたものだった。
ピンカートン探偵社の探偵が、マルタを探しに来る。彼女を連れ戻すよう夫の依頼があったのだが、マルタは、夫から逃れるために町へきたのだった。探偵は彼女をみつけるが、マルタは探偵をライフルで撃つ。けがをした探偵を部屋に運び込む手助けをしたメアリは、マルタが画家であること、キャリーをモデルに絵を描いていたことを知り、二人の仲を疑った誤解は解ける。

第7話 再びラ・ベルへ Homecoming  80分
グリフィン一味は、ラ・ベルに迫りつつある。
鉱山会社が雇った警備員らは、グリフィンらが町に来ることを知ると、住民の馬を盗んで逃げる。野営しているところを、ロイに見つかる。マクニューが合流し、ラ・ベルの危機を知ったロイは、町に引き返す。
ホワイティは、黒人の元兵士たちに助けを求めに行く。元バファロー・ソルジャーのランダルらは、ラ・ベルに協力するかどうか協議する。そこへ、グリフィン一味が現れる。集落の男たちは抗戦する間もなく銃撃され死体の山ができる。ルイズは幼い弟らを連れて逃げ、様子を見に来たホワイティに連れられてラ・ベルの町に保護される。
ラ・ベルでは、戦う決心をした女たちが武装し、ホテルにこもって、グリフィン一味を迎え撃つ。
ホワイティは、二丁拳銃で保安官事務所を出たところをナイフで殺られてしまう。
グリフィン一味と町の女たちの壮絶な銃撃戦が繰り広げられる。ロイとマクニューが駆けつけ、二人の見事な銃撃により、一味の男たちはばたばと倒されていく。が、グリフィンは逃げる。
ロイを追って家を出たトラッキーは、逃げてきたグリフィンに出くわす。ロイが駆けつける。トラッキーが見ている中、ロイは、グリフィンを倒す。
トラッキーと牧場に戻ったロイは、アリスに別れを告げる。お互いへの思いを胸に二人は静かに別れを惜しむ。ロイは、一人旅を続け、ついにカリフォルニアに到着、生まれて初めて海を目にするのだった。

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