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日本映画(2009年)

<見た順(降順)>
TAJOMARU、  クローズZEROU、 ONE PIERCE FILM ワンピースフィルムSTRONG WORLD、 カムイ外伝、 BALLAD 名もなき恋のうた、 20世紀少年 最終章 ぼくたちの旗

TAJOMARU
2009年 日本 公開:ワーナー 131分
監督:中野裕之
出演:畠山直光/多襄丸(小栗旬)、阿古(柴本幸)、桜丸(田中圭)、道兼(どうけん。やべきょうすけ)、盗賊(綾乃剛)、畠山信綱(池内博之)、栗山秀隆(本田博太郎)、景時(近藤正臣)、御所様/足利義政(萩原健一)、多襄丸(松方弘樹)
録画で見る。映画「羅生門」、引いては芥川龍之介の小説「藪の中」に登場する盗賊“多襄丸”を主人公としながら、オリジナルのストーリーによって展開する時代劇。
室町時代、代々管領職を務める名門畠山家の次男直光は、兄信綱と幼馴染の阿古姫と3人で楽しく子ども年時代を過ごしていた。ある日芋を盗んで捕らえられた少年を桜丸と名付け、家臣とする。
やがて3人は成長し、将軍義政は、故大納言の娘阿古と結婚する直光に管領職を継ぐよう命じる。嫡男の信綱は、家督を継ぐためと内心阿古を慕っていたこともあって阿古を凌辱する。阿古を愛する直光は、彼女を連れて出奔する。と、ここまでは普通の展開なのだが、このあと、物語は、桜丸の突然の反逆と、多襄丸という盗賊の乱入により意外な方向に向かう。
桜丸は直光に付き従っていた老家臣景時を斬り、主の信光も暗殺しその代理となる。彼は、幼いころ義政に目をつけられ稚児として屈辱に耐え彼の寵愛を受けていたのだった。
一方、当てもなく山をさまよう直光と阿古は、盗賊の多襄丸に出くわす。多襄丸に襲われた阿古は、直光を罵倒して姿をくらまし、直光は多襄丸を刺すが、瀕死の多襄丸は、受け継がれてきた大刀を直光に渡し、「新・多襄丸」となるよう言い残して死ぬ。(松方演じる多襄丸の最後が熱い。)
多襄丸に襲われた阿古が急に開き直って悪女のような態度を見せ、呆然とする直光とあたふたとする多襄丸の場面はなかなかおもしろかった。後半に出てくるお白洲での裁きのシーンとともに、映画「羅生門」を意識したうえで、独自にツイストさせているところである。
松方、萩原、近藤、本田とベテラン陣に囲まれ、小栗旬と田中圭の若い二人ががんばっているが、阿古の悪女ぶりが演技だったという種明かしは普通すぎておもしろくなく、やたら人が死ぬがぶっとんだ展開にはならず、新多襄丸と桜丸の一騎打ちで収束してしまい、何かもうひとひねりほしかったようにも思う。(2020.2)


クローズZEROU
2009年 日本(公開 東宝) 133分
監督:三池崇史
原作:「クローズZERO」高橋ヒロシ
出演:<鈴蘭>滝谷源治(小栗旬)、芹沢多摩雄 (山田孝之)、辰川時生(桐谷健太)、牧瀬隆史(高橋務)、田村忠太(鈴之助)、伊崎舜(高岡蒼甫)、戸梶勇次(遠藤要)、筒本将治(上地雄輔)、板東秀人(渡辺大)、桐島ヒロミ(大東 俊介)、本城俊明(橋爪遼)、杉原誠(小柳友)、三上学(伊崎右典)、三上豪(伊崎央登)、リンダマン/林田恵(深水元基)、
<鳳仙>鳴海大我(金子ノブアキ)、的場闘志(阿部亮平)、熊切力哉(大口兼悟)、芝山隼人(蕨野友也)、漆原凌(綾野剛)、美藤竜也(三浦春馬)、美藤真喜雄(故人。川西に殺害される。山口祥行)
<鈴蘭→鳳仙→鈴蘭>鷲尾郷太(波岡一喜)
片桐拳(やべきょうすけ)、川西昇(阿部進之介)、滝谷英雄(岸谷五朗)、矢崎(遠藤憲一)、マスター牛山(松重豊)、逢沢ルカ(黒木メイサ)
テレビ放映を見る。
1作目にも増して、ただひたすら男子高校生がケンカする話である。
群雄割拠の鈴蘭を制圧した源治だったが、校内はまとまりがなく、源治の統率者としての能力は疑問がもたれている。
そんな中、鳳仙学園との間でトラブルが発生、両校のバトルが繰り広げられる。
かなりの時間を使っての最後の決戦は、小栗旬初め男前の子たちがみんなひどい形相になって奮闘して、なかなか天晴れだった。
鳳仙のトップ、鳴海は敵ながら男気のある奴として描かれているし、源治にたばこの火をつけてやるとこなどしびれる設定なのだが、どうもあまり強そうに見えなかった。
イケメンでめちゃくちゃ強い(ことになっている)綾野剛と三浦春馬は、お約束という感じが出てしまっていて、そんなに良くも悪くもなかった。
やはり、1作目に引き続き、このシリーズでいいのは山田孝之ではないかと私は思う。(2014.4)

関連映画:クローズZERO(2007)

ONE PIECE FILM ワンピースフィルム STRONG WORLD
ワンピース2009年 日本(東映) 113分
監督:境宗久
制作総指揮・原作:尾田栄一郎「One Piece]
主題歌:Mr.Children「fanfare」
声の出演:モンキー・D・ルフィ(田中真弓)、ロロノア・ゾロ(中井和哉)、ナミ(岡村明美)、ウソップ(山口勝平)、サンジ(平田広明)、チョッパー (大谷育江)、ニコ・ロビン(山口由里子)、フランキー(矢尾一樹)、ブルック(チョー)、金獅子のシキ(竹中直人)、海賊キタジマ(北島康介)
劇場版第10作で、ストーリーは原作者の書き下ろし。漫画しか読んでいないので、映画というかアニメを見るのは初めてである。
ルフィたちの海賊船サニー号の頭上に突如空飛ぶ謎の船が出現。
船は、「ふわふわの実」を食べて重力を自由に操る能力を得た大物海賊シキのものだった。
シキは、友好的なそぶりでルフィたちに近づいたが、優秀な航海士を得るためナミをさらい、他のメンバーたちを空中の群島にちりぢりに振り落とした。
島々は、シキが能力を用いて空中に浮かべたもので、シキの支配下にあった。
独自の進化を遂げた島の動物たちは、シキが科学者に命じて島の固有種である草花のエキスを調合して作らせた薬によって、凶暴化していた。
シキの宮殿と村だけは、特殊なにおいを放つ木を周囲に植えることによって、怪獣たちから守られているのだった。
シキは、海賊王ロジャーに敗れ、海軍に捕らえられていたが、脱獄し、20年かけて進めてきた計略を実行しようとしていた。それは海軍への復讐を兼ねたイーストブルー(東の海)の破壊だった。
ナミを救出し、故郷イーストブルーへの攻撃を阻止するため、麦わらの一味が、強敵金獅子のシキに立ち向かう。
映画が始まるや否や、普段から知ってるワンピースでありながら、番外編とも言える本作の物語世界があれよあれよという間に組み立てられていく様はお見事。
強大化し凶暴化した島の怪獣たちとの戦いに始まって、岩や土を自在に操るシキとの村での戦い、シキとその子分たちとシキが招集した海賊たちと怪獣たちとルフィたちが入り乱れてのクライマッ クスの戦いと、話は一気に進む。一味は一時ばらばらになるものの、半ばあたりで集結するので、展開はストレートでわかりやすい。
シキと子分たちのやりとりは適度にお笑いが入っていて愉快だが、特にドクターの足音をおならの音にしたのは秀逸だ。
麦わらの一味は、船上、島内、殴り込み、エンディングと頻繁に衣装を換えていてそれがまた楽しい。特に8人がスーツ姿でシキの宮殿に乗り込むところは、ねらい通りと思いつつも、やはり胸がすく。本編では銃器を使うことがないと見受けられる麦わらの一味だが、ここでは全員が銃器を手に二丁拳銃で連射。すぐ弾がつきていつもの戦法に入るのだが映画ならではの試みか。
クレジットのタイトルバックでは、白ひげやエースやシャンクスが姿を見せ(静止画だが)、どこまでもサービスが行き届いているのだった。(2009.12)

漫画:ONEPIECE ワンピース(41巻)

カムイ外伝
2009年 日本(松竹)120分
監督:崔洋一
原作:白土三平
脚本:宮藤官九郎 、崔洋一
出演:カムイ(松山ケンイチ/[少年時代]イ・ハソン)、スガル/お鹿(小雪)、半兵衛(小林薫)、サヤカ(大後寿々花)、水谷軍兵衛(佐藤浩市)、アユ (土屋アンナ)、絵師(PANTA)、吉人(金井勇太)、大頭(イーキン・チェン)、ミクモ(芦名星)、不動(伊藤英明)
★ネタばれあります★
17世紀の日本。非人の子として生まれ、生きるために忍びとなったカムイは、自由を求めて忍びを抜け、かつ ての仲間から追われる身となる。
さすらいの旅を続けるカムイは、ある日、領主の馬の足を切り落として持ち去った男に興味を抱く。男は漁師の半兵衛で、良質の釣り餌を作るための最適な材料として、命がけで馬の蹄を手に入れたのだった。嵐に遭い、漁村に流れついたカムイは、半兵衛一家に救われる。半兵衛の妻お鹿は、やはり抜忍で、幼いころのカムイに会っていた。カムイの正体を見抜いたお鹿はカムイを敵と疑うが、他の家族らはカムイを暖かく迎え、カムイは次第に漁村でのなごやかな生活にな じんでいく。
やがて、領主の馬を手にかけた犯人として、半兵衛は城の捕り手たちに捉えられる。カムイとお鹿は半兵衛を助け出し、一家は島に逃れる。島の周りには人喰い鮫がうようよといて島人たちを悩ませていたが、渡衆と呼ばれる海賊のような男たちが島を訪れ、鮫退治を申し出る。
白戸三平の劇画から入る導入部、林の中で追っ手を迎え討つカムイ、半兵衛との出会い、漁村での暮らし、半兵衛の救出と逃亡、渡衆との出会い、カムイに思いを寄せる半兵衛の娘サヤカとの月日貝の約束、そしてラストの悲惨を極める展開と壮絶な対決シーンへと、物語は、おもしろいように進むはずなのだが、いまひとつ気 持ちが高ぶらないのは、演出があっさりしすぎているせいか。
主役の松山ケンイチはもちろん(最初からとにかく走る!)、役者陣はいい。豪快で実直な漁師半兵衛役の小林薫、尊大で小心な領主役の佐藤浩市が好演しているが、うれしい驚きは、渡衆の頭領不動を演じる伊藤英明。男前のダークな役がはまっている。

飯綱落とし、変異抜刀霞斬りなど、忍術の呼び名や解説が出てくるのは、昔テレビで見た「サスケ」を思い出させてくれ てなつかしかった。ところで、カムイも不動も刀の持ち方が逆手なのが気になった。原作を読んでなくて忍者のこともほとんど知らないのだが、忍者は、長い日本刀ではなく、ああいう短めの刀(匕首?)をああいうふうに持つものなのだろうか。(2009.9)

BALLAD 名もなき恋のうた
2009年 日本(東宝) 132分
監督:山崎貴
原案:原恵一(映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」)
出演:井尻又兵衛(草なぎ剛)、廉姫(新垣結衣)、川上真一(武井証)、川上暁(筒井道隆)、川上美佐子(夏川結衣)、文四郎(吉武怜朗)、仁右衛門(吹 越満)、お里(斉藤由貴)、彦蔵(波岡一喜)、儀助(菅田俊)、春日城主康綱(中村敦夫)、吉乃(香川京子)、大倉井高虎(大沢たかお)、安長(小澤征 悦)
アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版の傑作「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパ レ!戦国大合戦」を実写でリメイクした作品。
小学生の真一とその両親が戦国時代(天正2年)にタイムスリップし、春日の国で合戦に巻き込まれる。真一の目を通して、壮絶な合戦の様子や、城主の娘廉姫と武将又兵衛の純愛が描かれる。
山崎監督は、「ジュブナイル」「リターナー」などタイムスリップものの作品を手がけていて、時間ネタ好きの私としては、次回作を楽しみにしている監督のひとりである。「ALWAYS 3丁目の夕日」 も今とは違う年代の雰囲気を味わえる作品でよかったのだが、「ALWAYS 続・3丁目の夕日」では、後半の展開の人々のあまりといえばあまりな善人ぶりやいわずもがなの台詞が気になってしまった。
で、本作はというと、とにかく甘い。

(★以下ねたばれあります!)
タイトルからもわかるように一番のテーマである廉姫と又兵衛の恋の描き方が甘い。二人がお互いに相手を思っていることは最初から一目瞭然で、分かる人には分かる秘めたる思いという感じがない。又兵衛の帰還を知り、彼を迎えるため、城中を延々と走っていく廉姫の長回しカットはよかったが、全体的には、近くにいるのにお互いに思いを伝えられない二人のもどかしさが充分に溜めて描かれていないので、盛り上がりに欠ける。
合戦のシーンはよく、火縄銃の攻撃は興味深く見たし、最後が敵方の殿の大倉井と又兵衛の槍の一騎打ちになるのもいい。が、小学生の子どもに泣きつかれたからと言って、敵の大将の首をとらない武将がいるものだろうか。実写で撮ってはみたが、やはりこれは子ども向けの映画だということか。しかし、雑兵はばったばったと斬り倒しているのだから、残酷なシーンは見せたくないと言うわけで もないだろうし。そのへんがちぐはぐで中途半端に思えた。
タイムスリップものとしても、なんだかいまひとつ。戦国時代の人たちが携帯電話を珍しがるところはテレビのCMにしか見えないし、カメラを珍しがるところもまるで新鮮みがない。タイムスリップねたとして特に膝を打つような伏線も見られない。最後の銃声など、もう少し時間ネタSFらしい秀逸な理屈がつけられな いものか。
配役がよいなと思うところはあった。
原作のアニメでは、又兵衛は「鬼の井尻」とは別に「青空侍」とも呼ばれていたと思う。腕のたつ武将でありながら、戦っていないときはぼーっとして青空ばかり見ている。草なぎ剛という配役を聞いて、合っていると思ったし、実際、彼の武将はなかなかいいと思った。さすがにタイトルを「青空侍」とするわけにはいかんのだろうと思って「バラッド」という横文字のタイトルを受け入れたのだが、しかし、本編にも「青空侍」という言葉は出てこなかった。
廉姫役の新垣、敵役の大沢たかお、文四郎役の吉武怜朗、城主の中村敦夫も悪 くなかったが、わたしは、真一の父、暁を演じた筒井道隆がよいと思った。戦国時代、戦いのさ中の城中でぼうーっと突っ立てる現代の若いお父さんという感じがよかった。(2009.10)

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