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映画映画(〜2000年) や行

<タイトルあいうえお順>
野獣教師(1996)、 野獣を消せ(1969)、 やくざの墓場 くちなしの花(1976)、 ユリイカ(2000)、 要塞警察(1976)

野獣教師 The Substitute
アメリカ 1996年 115分
監督 ロバート・マンデル
出演 トム・べレンジャー、ダイアン・ヴェノーラ、アーニー・ハドソン
失業中の傭兵(ベレンジャー)が、恋人の高校教師に代わって、暴力のはびこるマイアミの高校に潜入、型破りな教師になりすます。が、その高校では闇のルートに通じる黒幕が不良高校生グループを使って麻薬の売買を行っていた。彼は傭兵仲間を誘い、悪の組織に立ち向かう。夜の校舎を舞台に壮絶な死闘が繰り広げられる。
主人公の同僚の教師や善良な生徒、仲間の傭兵などは一人一人個性がちゃんと出ているのだが、悪い奴はたとえ高校生だろうと徹底して悪く、彼等なりの性格も事情もあったものじゃない。不良グループのリーダーとはもうちょっと話し合って欲しかった気もする、とりあえず”教師”なんだから。
トム・ベレンジャーのクールな魅力が堪能できます。(2003.6)


野獣を消せ
1969年 日本  日活  84分
監督:長谷部安春
出演:浅井徹也(渡哲也)、山室恭子(藤本三重子)、矢田(藤竜也)、能呂(尾藤イサオ)、佐土(川地民夫)

渡哲也追悼でDVDで見る。
アラスカ帰りのハンター浅井が、妹を襲って自殺に追いやった若者無法者グループと対決する。
グループに襲われていたところを浅井に助けられた恭子が、悪者っぽい大物政治家の娘だが、政治家はあまり関わってこない。
若者無法者グループの、藤、尾藤、川地がいい。(2020.10)

やくざの墓場 くちなしの花
1976年 日本 東映  96分
監督:深作欣二
脚本:笠原和夫
出演:黒岩竜(渡哲也)、松永啓子(梶芽衣子)、岩田五郎(梅宮辰夫)、若本英夫(矢吹二朗)、
梶山刑事(川谷拓三)、日高警部補(室田日出男)、赤間署長(金子信雄)、野崎副本部長(成田三樹夫)、木村本部長(大島渚)

渡哲也追悼上映会で見る。渡は角刈りにサングラスで黒岩という名だが、「大都会」ではない。
「仁義なき戦い」シリーズを彷彿とさせる音楽、ナレーション、手持ちで揺れる画面に始まり、「仁義の墓場」のような型破りな刑事が登場して、「県警対組織暴力」を思わせる警官とヤクザの関係が描かれる。
が、警官とヤクザの関係は、「県警対組織暴力」ほど複雑でハードではない。黒岩は破天荒だが、弱小暴力団西田組の幹部岩田と殴り合って友情が芽生え、刑事でありながらヤクザと兄弟分の盃を交わす。ありえない展開ながら二人の関係は明快でストレートで、「県警対組織暴力」のように、友情が芽生えてはいけない二人の間に友情が芽生えてしまったというような葛藤やその後の対立の苦さなどあまり感じられない。一方、黒岩の上司の警察幹部は広域暴力団山城組と癒着し、西田組をつぶしにかかる。敵味方の筋がはっきりしていて、悪に立ち向かう黒岩の悲壮な戦いぶりがかっこいい。主題歌「くちなしの花」が流れて終わるために、タイトルバックをラストに持ってきたというが、これがしてやられたりと思いつつ、沁みる。歌謡映画という感じでいい。(2020.10)


EUREKA ユリイカ
2000年 J−WORKS 217分
監督:青山真治
出演:沢井真(役所広司)、田村梢(宮崎あおい)、田村直樹(宮崎将)、秋彦(斉藤洋一郎)、犯人(利重剛)、シゲオ(光石研)、松岡刑事(松重豊)、弓子(国生さおり)
九州の田舎で起こったバスジャック事件。乗客と犯人が射殺され、生き残った運転手の沢井と2人の子ども、直樹と梢の兄妹は心に深い傷を負う。2年後、沢井は2人きりで暮らす兄妹を訪ねる。従兄弟の秋彦が加わり、4人は共同生活を始める。やがて、沢井は、ちまたで起こっている連続殺人事件の犯人の容疑者として警察に連行されるが、証拠不十分で釈放になる。沢井は、中古のバスを買い受け、3人とともに旅に出る。広々とした阿蘇の草原の斜面をえんえんと登っていく4人。干し草ロールの転がる阿蘇の田園地帯をドライブする4人。最後は、巨大なカルデラを見渡せる外輪山の名所大観峰へ。
画面を横切っていく自転車やバスを端から端まで追う。作業をする人をあるいは終えた人をえんえんと映す。その間を敢えて詰めない。事件の被害者、青少年の犯罪、心の傷との折り合いなど、テーマは重いのだろうが、とにかく久々に「時間」を堪能した気がする。(多忙だったり短気だったりするとちょっと苦しいかもしれない。)
耳障りなところが妙に不快ではない秋彦という存在が、なんだかかなり独特。 刑事役の松重豊の顔も好き。でも、あの兄妹は、事件前から無口だったなと思った。(2006.6)

2000年のカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞。
3時間半を越える長尺のため、なかなか見る気になれなかったのだが、今回、阿蘇の草原再生の仕事で、阿蘇に関する文献資料のデータベースを作成することになり、阿蘇が出てくる映画ということで本作品をリストに加えることになり、観た。(全体の4分の1くらいは阿蘇で撮影したという監督の言を人づてに得た。)


要塞警察 Assault on Precinct 13
1976年 アメリカ 90分
監督・脚本・音楽:ジョン・カーペンター
出演:ビショップ警部補(オースティン・ストーカー)、ナポレオン・ウィルソン(ダーウィン・ジョストン)、リー(ローリー・ジマー)、ウェルズ(トニー・バートン)、ローソン(マーティン・ウェスト)、ストーカー(チャールズ・サイファーズ)
テレビ放映版を見る。
アメリカ、カリフォルニア州の町。
武装したストリートギャング「グリーンサンダー」のメンバーたちは、6人の仲間を警察に射殺され、報復のための血の誓いをたてる。
その夜、立ち退き区域にある13分署には、移転のため、わずかな人員しか残っていなかったが、州刑務所に護送途中の囚人に病人が出て、留置所に囚人たちを一時収容することになった。
そこにショック状態の一人の男(ローソン?)が、逃げ込んでくる。彼は、 幼い娘をグリーンサンダーのメンバーに殺され、犯人を追って射殺したが、逆に彼らの仲間に追われ、13分署に助けを求めてきたのだ。
グリーンサンダーの一味は、13分署を取り囲み、襲撃を開始する。すさまじい一斉射撃を受け、署内の人間はあわてふためく。
警部補になったばかりの黒人警官ビショップは、圧倒的な人数と武器を持つ敵に対抗するため、凶悪犯ナポレオンらを留置所から出し、銃を渡してともに戦うことにする。
「座るのが下手になった。」「たばこあるか?」「だからナポ レオンなん だ。」などのきどったセリフを吐きまくるナポレオンがとにかくクール。大量殺人を犯したということ以外、彼がどんな状況でどんな罪を犯したかは語られない。
やけに肝のすわった女事務員リーやおしゃべりな黒人の囚人ウェルズもなかなかいい。
有名な俳優は出ていないし、華があるとは決して思えないのだが、でもおもしろい。サイレンサーつきの銃による銃声のない一斉射撃が怖い。
監督は「リオ・ブラボー」がやりたかったという話を他のサイトで読んだが、最初にブッシュがナポレオンに銃を投げ渡す場面や、アセチレンによる爆破シーンなど、そう思って見るとけっこう「リオ・ブラボー」を思い出す。
ゾンビのようなストリートギャングの群れ(ブラインドを上げないで、わざわざ狭い隙間から顔を出して無理矢理中に入ってこようとする)、ゆっくり近づいてくる車、パトカーの車体に落ちる血のしずく、耳に残る不穏な音楽など、カーペンターのホラー映画の要素が堪能できる。(2006.3)

リメイク:「アサルト13 要塞警察

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