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○映画(〜2000年) か行

<あいうえお順>
隠し砦の三悪人(1958)、 風とライオン(1975)、 合衆国最後の日(1977)、 カルメン故郷に帰る(1951)、 カントリー・サンデー 皆殺しの讃美歌(1974)、 祇園の姉妹(1936)、 喜劇・女売り出します(1972)、 ギターを持った渡り鳥(1959)、 君よ憤怒の河を渉れ(1976)、 キャリー(1976)、 侠女(1957)、 銀嶺の果て(1947)、  倉沢まりや 本番羞恥心(1995)、 グラディエーター(2000)、 グレン・ミラー物語(1954)、 刑事マディガン、 現代やくざ人斬り与太(1972)、 拳銃(コルト)は俺のパスポート(1967)、 恋と太陽とギャング(1962)、 高度七〇〇〇米 恐怖の四時間(1959)、 神戸国際ギャング(1975)、地上より永遠に(ここよりとわに)(1953)、 ゴジラ(1954)、 ゴーストハンターズ(1986)

風とライオン THE WIND AND THE LION
1975年 アメリカ 119分
ライズリ(ショーン・コネリー)、イーデン・ペディカリス(キャンディス・バーゲン)、ウィリアム・ペディカリス(サイモン・ハリソン)、ジェニファー・ペディカリス(ポリー・ゴッテスマアン)、セオドア・ルーズベルト大統領(ブライアン・キース)、ジョン・ヘイ国防長官(ジョン・ヒューストン)、グメール(ジェフリー・ルイス)、ワザンの族長(ナディム・サワラ)、ジェローム大尉(スティーヴ・カナリー)
知人主催のミニ映画館でのDVD上映会で鑑賞。
1904年、モロッコの港町タンジール。アメリカ人の未亡人イーデンとその子供たちウィリアムとジェニファーは、リフ族の首長ライズリーらに拉致され、砂漠の野営地に連れていかれる。
人質救出の名目でアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトは艦隊を派遣する。
砂漠の英雄と銃器好きの癖のあるルーズベルト大統領の、一度も相まみえない、それでいて相手に一目置いた対決が、なんとも見ごたえがある。(2021.4)

合衆国最後の日 TWILIGHT'S LAST GLEAMING
1977年 アメリカ 125分
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ウォルター・ウェイジャー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ローレンス・デル将軍(バート・ランカスター)、ウィリス・パウエル(ポール・ウィンフィールド)、アンジー・ガルヴァス(バート・ヤング)、マーティン・マッケンジー将軍(リチャード・ウィドマーク)、大統領デヴィッド・スティーブンス(チャールズ・ダーニング)、ザック・ガスリー国防長官(メルヴィン・ダグラス)、レンフリー国務長官(ジョセフ・コットン)、ジェームズ・フォレスト(大統領の世話係。ロスコー・リー・ブラウン)、ラルフ・ウィッテイカーCIA長官(リーフ・エリクソン)、フォックス少佐(エド・ビショップ)、バーンスタイン(チャールズ・エイドマン)、タウン大佐(リチャード・ジャッケル)
渋谷ユーロスぺスで見た。
高校生のころ公開され、当時やたら気になって何度もポスターの前で立ち止まったのだが、機会がなくて見られなかった。ポスターの写真から、アメリカに仕掛けられるテロ行為を政府側のランカスターが必死に防ぐ話だと勝手に思っていたのだが、テロ行為を働くのは、ランカスターの方だった。
もと空軍大佐のデルは、囚人仲間とともに刑務所を脱走し、ミサイル基地に潜入。ソ連への核ミサイル発射を楯に、大統領に対し、ベトナム戦争に関わる国家機密の公開を迫る。
デルの動機が個人的な名誉回復だけでなく、愛国者としての行為であることが、今とちがうと感じた。チームを組む囚人仲間の対照的な二人ポール・ウィンフィールドとバート・ヤングが、それぞれよかった。大統領の悩める感じがすごくよかった。
分割画面で緊迫感がすごい。
逃走を試みたランカスターとウィンフィールドが、人質の大統領とぐるぐる回りながら建物から出てくるところが秀逸。(2012.10)


カルメン故郷に帰る
1951年 日本 松竹 86分
監督:木下恵介
出演:リリィ・カルメン(高峰秀子)、マヤ朱美(小林トシ子)、
校長先生(笠智衆)、田口春雄(佐野周二)、田口光子(井川邦子)、青山正一(坂本武)、青山ゆき(望月美恵子(望月優子))、丸十/丸野十造(見明凡太朗(大映))、小川先生(佐田啓二)
日本初の総天然色映画らしい。ロケ地は浅間山山麓。
都会に出てダンサーになった娘リリィ・カルメンが、ダンサー仲間の友人マヤ朱美を連れて故郷に帰ってくる。
校長先生や村のみんなは、芸術家になって帰ってくるリリィを歓迎するが、二人は実はストリッパーである。実家の父親は恥じ、姉はおもしろがる。村で唯一の芸術家っぽい春雄は、戦争で負傷し、妻の光子が馬子をして生計を立てている。小学校の校庭で、春雄が作曲した歌をピアノを弾きながら披露し、笠智衆の校長先生が拝聴するところは、ほのぼのする。リリイが、春雄のことを芸術がわかる唯一の村の住人ということで話をするのもおもしろい。
金貸しの丸十こと丸野は、二人のダンスライブを計画し、村の男たちは盛り上がる。
原色の派手な衣装に身を包んで意気揚揚と故郷に戻ってきたリリィが田舎の町で引き起こす騒動。暗さや深刻さとは無縁の、軽快(軽薄?)なノリが楽しい。(2020.5)

カントリー・サンデー 皆殺しの讃美歌 SUNDAY IN THE COUNTRY
1974年 アメリカ・カナダ  日本公開2017年 シネマノヴェチェント 90分
監督:ジョン・トレント
出演:アダム・スミス(アーネスト・ボーグナイン)、ルーシー(ホリス・マクラレン)、リロイ(マイケル・J・ポラード)、ディネリ(ルイス・ゾーリッチ)、アッカーマン(セック・リンダ―)、ルーク(ウラジミール・ヴァレンタ)、エディ(ティム・ヘンリー)、トム巡査部長(アル・ワックスマン)
★ちょっとネタばれあり! 注意!★
横浜、戸部のミニシアター、シネマノヴェチェントにより本邦初公開された1974年のアクション映画(テレビ放映はされたことがあるらしい。そのときのタイトルは「カントリ・サンデー/恐怖の日曜日」)。
アメリカの田舎町。農場を営むアダムは、大学の休暇で訪れている孫娘のルーシーと2人で穏やかな日々を過ごしていた。ある日曜日、隣町で銀行を襲撃した犯人3人組が逃亡してくる。3人は、近所に住む若いカップルを殺し、アダムの家の電話線を切って押し入ろうとする。が、異変を察したアダムは銃を手に犯人らを待ち受け、リロイとディネリの2人を拘束する。警察に通報しようというルーシーの提案をよそに、アダムは2人を監禁する。ルーシーは、犯人たちを恐れつつも、祖父の異常な行動に戸惑うのだった。
犯罪者が暴れ、孫娘をひどい目にあわされた初老の男が、ショットガンを手に立ち上がる! という映画かと思いきや、意外な展開が。
信仰心の厚い老農夫が次第に異様さを増していく様子をボーグナインがはまり役で好演している。犯人3人組の中で、もっともやばそうな小悪党リロイを演じるポラードが特異な容貌とあいまって実に憎々しげだ。
ルーシーのボーイフレンド、エディが何かものを修理する家業の手伝いをさせられていることは前もって知らされるのだが、途方にくれるルーシーのもとに通じないはずの電話が鳴って、彼の声が聞こえてくる。あまり目立たない脇役の彼氏が、彼女の危機を助けようという気もないまま、電話線を直し終えて電話してくるだけなのだが、それがまさに彼女にとっては天の助け、電柱に登って電話している彼のショットがヒーロー登場っぽく映されるのが、地味に可笑しかった。
日曜のまっ昼間に商店街の小さな劇場で見るにふさわしい、珍味の利いた70年代アメリカ田舎犯罪アクションだった。
1年くらい上映しているようなので、こうゆうの好きな方は、ぜひ見に行かれたし。(2017.6)

祇園の姉妹(きょうだい)
日本 松竹 1936年 69分 白黒
監督:溝口健二
出演:おもちゃ(山田五十鈴)、梅吉(梅村蓉子)、古沢(志賀廼家(しがのや)弁慶)、工藤/呉服屋主人(進藤英太郎)、番頭木村(深見泰三)、骨董屋聚楽堂(大倉文男)
池袋文芸坐の山田五十鈴追悼特集で見た。
京都の祇園に暮らす芸妓の姉妹、梅吉と「おもちゃ」。破産した商家の主古沢が、なじみの梅吉を頼って転がり込んでくる。昔気質の梅吉は古沢の世話を焼くが、妹のおもちゃはそれが気に入らない。おもちゃは、自分達を慰みものにする男たちを恨み、金を搾り取ることだけ考えている。古沢を追いだして、骨董屋聚楽堂の主人を梅吉の旦那にしようと画策し、自分は呉服屋の番頭木村をだまして梅吉のために晴れ着をつくらせ、そのことがばれて乗り込んできた呉服屋の主人をかどわかして旦那にしようとする。が、おもちゃは店を首になった木村の報復を受けて大けがをし、梅吉はあれだけ尽くした古沢に捨てられる。おもちゃは、病室のベッドで、芸妓という存在を呪い、悲憤の叫びを上げる。
祇園の男女のやりとりが興味深い。やわらかな京都弁のうちに、深い恨みや思惑がこめられているようで怖い。ひどい女と思いつつ、男に近づいて押したり引いたり甘言を呈していいくるめていくおもちゃの戦術は見ていて痛快ですらある。これに対して男たちはことごとく考えなしのように見える。男であればそれだけで有利であるので(金があればなおさら)、ものごとを深く考える必要などなかったのかしらなどとも思った。山田五十鈴が和服だけでなく、洋装やスリップ姿で登場するのが私には新鮮だった。(2012.8)


喜劇 女売り出します
1972年 日本 松竹 89分
監督:森崎東
原作:藤原審爾「わが国おんな三割安
脚本:森崎東、掛札昌裕
音楽:山本直純
出演:浮子(夏純子)、金沢/おとうさん(森繁久彌)、竜子/おかあさん(市原悦子)、武(米倉斉加年)、朝子(岡本茉莉)、親方(西村晃)、医者(財津一郎)、踊り子たち(中川加奈、瞳麗子ほか)、覆水を患ったおかま(穂積隆信)、
文芸坐の森繁久彌特集で、20年以上ぶりくらいに見た。
お座敷ストリップ派遣業を営む新宿芸能社を舞台に、経営者夫婦と踊り子たちの悲喜こもごもを描く女シリーズの第3段。
いつも女房の竜子の尻に敷かれている新宿芸能社の金沢は、満員電車の中で若い女性に財布を掏られる。ひょんなことから犯人の浮子をみつけ新宿芸能社に連れ帰るが、彼女はそのまま居座って働くことになる。
身売りした田舎もんの少女(朝子)を売春宿から連れ出して逃げたり、小料理屋の女将どうしの板前兼愛人の男の争奪戦に巻き込まれたり、生真面目な税理士に求婚されて祝言をあげたりと、浮子を中心とした盛りだくさんのエピソードが詰め込まれ、話はがちゃがちゃとせわしくにぎやかに元気に時にしんみりと展開していく。下ネタがばんばん出て、裸もバンバン出て、ひたすらパワフルである。
浮子の掏り仲間の先輩である武役で若い米倉斎加年が登場。「笑わせるぜ、全く」が口癖の、人のいいチンピラ青年を好演している。昔見た時もかなり好きな役だった。
掏りの親分役で西村晃が1シーンだけ現れ、凄味を見せている。
調子のいい医者役で財津一郎が出てくるのもうれしかった。
が、今回、久々にみて一番感じ入ったのは、森重のしみじみぶりだった。以前見た時は、なにもしない、役に立たない、すけべなヒモのおじさんにしか見えず、実際それはそうなのだが、今回は彼が出てきて、みんなががちゃがちゃやってる中でなんかひと言言うと、じつにほっとするというか、やけに心が落ち着いた。その存在が絶妙な重しになって、周囲の均衡を保っているように思えた。映画は変わってないので、変わったのは自分の方、年をとったなと思うのだった。
昔から不思議だったのは、森崎監督の映画に出ると役者がみんな田舎もんに見えてくるということだ。それは今回も変わらなかった。そして、どうも近ごろの日本人は上品になりすぎてしまったのではないかと思ったりもした。(2012.9)

関連作品;「喜劇 女は男のふるさとヨ」(1971年)、「喜劇 女生きてます」(1971年)、「女生きてます 盛り場渡り鳥」(1972年)

ギターを持った渡り鳥
1959年 日本 日活 78分
監督:斎藤武市
主題歌:歌・小林旭「ギターを持った渡り鳥」「地獄のキラー」
出演:滝伸次(小林旭)、秋津由紀(浅丘ルリ子)、庄司澄子(中原早苗)、リエ(渡辺美佐子)、秋津礼三郎(金子信雄)、安川(青山恭二)、殺し屋ジョージ(宍戸錠)、マリ(白木マリ)、沼田刑事(二本柳寛)、サブ(野呂圭介)

北海道函館に、ギターを持った風来坊の男、滝伸次がやってくる。港で知り合った由紀は彼を気に入り、その父である悪徳事業家の秋津は彼を手下にしようとするが、断られる。金と権力にものを言わせて悪事を働く秋津に、滝が立ち向かう。
秋津に雇われる殺し屋役で宍戸錠が登場。船の上で、旭と錠が話しているのを見るだけでうきうきするのだった。(2021.8)

君よ憤怒(ふんど)の河を渉れ
1976年 日本  151分
監督:佐藤純弥
原作:西村寿行「君よ憤怒の河を渉れ」
脚本:田坂啓、佐藤純弥
音楽:青山八郎
出演:杜丘冬人(高倉健)、矢村警部(原田芳雄)、細江啓二(大和田伸也)、伊藤守検事正(池辺良)、遠波真由美(中野良子)、遠波善紀(大滝秀治)、長岡了介(西村晃)、看護人(浜田晃、阿藤海)、堂塔院長(岡田英次)、大月京子(倍賞美津子)、横路加代(伊佐山ひろ子)、横路敬二(田中邦衛)、酒井義広(内藤武敏)

ずっと気になっていた映画。ケーブルテレビの高倉健特集で録画したのを見る。
「ふんぬ」ではななく「ふんど」である。冒頭どーんと出たタイトルにそうフリガナが振ってある。このタイトルを始めて目にしたのは、中学生のときに行った近所の中高大一貫の私立校の文化祭のバザーで売っていたサントラ盤SPでだった。こんな長いタイトルのものを見たことがなく、しかも「君」「憤怒」「河」「渉れ」の漢字が書きなぐるような、突き刺すような字体で書かれていて、衝撃的だった。
次にこのタイトルを見たのは映画ではなく、小説だった。ミステリ好きの母が読んでいたのをみて、あ、あれだと思い、わたしも借りて読んだ。純粋にどきどきはらはらした。どうやって逃げればいいんだろうと思ったら、飛行機があって、すごい!と素直に思った。
そして、ウィキペディアによると1979年、ついに映画がテレビ放映されたのだが、このときはまだ実家にいて、なんか人が来てたりして、ちゃんと見る事ができず残念な思いをした。
だから、最初から最後まで通してみることができたのは、これが初めてなのだった。
珍品と言われているらしいが然り。無実の罪で犯罪者として追われる検事の逃走劇なのだが、訴えられるのも唐突なら、逃げているうちに馬や熊や飛行機や倍賞美津子が唐突に出てくるのにもびっくりする。最後は重要な証人に会うため、健さんが患者になりすまして精神病院に潜入する展開になるのにも驚いた。一方、ありがちだが警察幹部の池辺良は黒幕と繋がっているとばかり思っていたら、それはなかったりするのだった。
逃走中の深刻なシーンで、ハワイアンみたいな暢気な音楽がかなりしつこく鳴りまくって、あまり音楽に頓着しない私でさえ、これはないだろう、やめてくれと思った。
途中北海道が舞台となって牧場の馬が出てくるが、駆るのは中野良子で、健さんは後ろに乗っけてもらうだけ。馬はなんと新宿のど真ん中でも登場するというか、中野良子が暴走させるのだが、この時も健さんはうしろに乗っけてもらうだけ。つまり、馬は何頭も何度も出てくるがちゃんと乗馬しているのは中野良子だけなのだ。若くて一途でやることがむちゃくちゃなこの中野良子が、わたしはかなりよかった。
飛行機が出てくるのも、うれしかったが、唐突。健さんの検事は飛行機の操縦もできるのか、すごいなと思ったが、実は操縦したことがないのだった。全くの素人に対し、太っ腹の大滝秀治の大牧場主は、自動車の運転より簡単だと言い放ち、これで逃げろと自分のセスナ機をプレゼントする。で、健さんは、北海道から東京まで飛び、しかも海の上に不時着するのだった。
そして原田芳雄は、逃亡者を追う執念の刑事役。いわゆる無頼な感じで愛想が悪く、眼付も悪い。相手が検事だからと言って容赦はしないが、彼の犯行を訴えた被害者たちに疑問を抱き、健さんがはめられたことを知って、陰謀に気づいていく。熊に襲われたり、中野良子ににらまれながら目の前で服を脱がれたり、なかなか大変である。
事件の証人が精神病院に収容されていることを知った健さんは、患者を装って病院に潜入、証人の田中邦衛に会うが、彼は新薬の実験によって廃人となっていた。田中邦衛が重い精神病患者役というのはありという感じだが、健さんまで、あくまで検事の演技としてではあるが薬に犯されて呆けてしまった患者を演じる。
最後はいよいよ、ビルの屋上で黒幕を追い詰める健さんと原田。司法の手に委ねるべきだとか言わず、あっさり恨みを晴らしてしまうのもすごかった。(2018.12)
リメイク作品:「マンハント」(追捕) 2017年中国、監督:ジョン・ウー

キャリー CARRIE
1976年 アメリカ 98分
監督:ブライアン・デ・パルマ
原作:スティーヴン・キング「キャリー」
出演:キャリー・ホワイト(シシー・スペイセク)、マーガレット・ホワイト(キャリーの母。パイパー・ローリー)、トミー・ロス(ウィリアム・カット)、スー・スネル(エイミー・アーヴィング)、ビリー・ノーラン(ジョン・トラボルタ)、クリス(ナンシー・アレン)、コリンズ先生(ベティ・バックリー)

有名な超能力少女SFホラーを、DVDで久しぶりに見直す。
冴えない女子高校生のキャリーは、母親と二人で暮らしている。狂信的で性的なことを忌み嫌う母により抑圧されてきたキャリーは、精神力でものを動かす能力(テレキネシス)を身につけつつあった。
ある日、キャリーは学校のシャワー室で初潮を迎えるが、母から月経のことを知らされていなかったため、パニックに陥る。クリスらクラスメイトたちはそんなキャリーを笑い者にする。
体育教師のコリンズは、キャリーをいじめた罰として彼女たちに体育の居残りを課す。スーは、キャリーへの罪滅ぼしの思いから、ボーイフレンドのトミー・ロスに、キャリーをブロム(ダンスパーティ)に誘うよう依頼する。一方、クリスは罰を受けたことでキャリーを逆恨みし、ボーイフレンドのビリーと悪質な悪戯を企てる。
キャリーは、迷った末、勇気を出してトミーとブロムに参加する決心をする。当日、母の反対を押し切り、ドレスアップしたキャリーはイケメンのトミーとともに賞賛の的となり、ベストカップルに選ばれる。しかし、パーティ会場のステージの裏ではクリスが待ち構えていた。ビリーが殺した豚の血を入れたバケツをステージの上にセットし、キャリーがその真下に立ったときロープを引いてバケツをひっくり返す手筈を整えていたのだ。
キャリーは、幸福の絶頂から急転直下、血まみれのみじめな姿を公衆の面前にさらすことになる。
生れて初めての晴れがましい舞台は、同時に破滅の舞台となる。ステージに向かうキャリーと、豚の血を満たしたバケツと、バケツにつながるロープの先端を握るクリスと、その仕掛けに気付くスーと、たかだかバケツをひっくり返すだけというギャグのような悪企みの実行が、ものすごい緊迫感を持ったサスペンスで描かれる。
そして、キャリーの怒りが爆発、ブロム会場は惨劇の舞台と化す。
キャリーは帰宅して血を洗い流し、母と対決する。
コンパクトでストレート。酷い話を一気に見せる。
ラストのキャリーの手のカットは、現実だと思っていたのだが、スーの夢だった。記憶違いだった。(2013.9)

侠女 A TOUCH OF ZEN
(第一部:チンルー砦の戦い、第二部:最後の法力)
1971年 台湾 (初公開は香港) 200分
監督:キン・フー 胡金銓
出演:ヤン(東林党幹部の娘。シュー・フォン 徐楓)、グー(シー・チュン 石雋)、グーの母(?)、シー将軍(パイ・イン 白鷹)、ルー将軍(?)、県令、オウヤン(追っ手の役人。?)、指揮官(?)、大師(ロイ・チャオ 喬宏)、シュー(役人。ハン・インチェ 韓英傑)、シューの部下の若者の1人(サモ・ハン・キンポー 洪金寶)

4Kデジタル修復版をユーロスペースで見る。
明朝末期。宦官の策謀により無実の罪で処刑された大臣一族の生き残りとして、政府(東廠)から追われる大臣の娘ヤンと彼女に付き従う将軍たち。ヤンと恋に落ちる書生グーの目を通して、彼らと追手との戦いを描く武侠アクション。
「第一部 チンルー砦の戦い」は、廃墟となった砦に母と住むグーが、隣に越してきたヤンと知り合い、彼女らの戦いに巻き込まれていく話。グーは、高い学識を持ちながら、仕官することを好まず、絵や代筆の店を細々と営んで糊口をしのいでいた。ある日、編み笠をかぶった男(オウヤン)が客として店にやってくる。彼は、実はヤンたちを追う間諜だった。グーの店を訪れるオウヤンの思わせぶりな態度、どこからともなく町にやってきた薬屋(ヤンを守る将軍たち)、打ち捨てられた家に越してきた謎の美女ヤンと役者が揃い、不穏な空気が徐々に高まる中、荒れ果てたススキの原の廃屋で突如始まる激しい戦闘。ヤンとオウヤンとの戦いぶりに驚愕するグーだったが、しかし、ヤンに心を寄せる彼は、戦略家として彼女らの戦いに加わる。知恵を絞り、砦に幽霊が出るという噂を流す一方、からくり人形や矢を一度に大量に射ることのできる道具などを使った仕掛けを考える。多勢に無勢の戦いで、幽霊のうわさで相手をおじけづかせるという戦法は珍しいと思った。グーがすっかり軍師気取りになって、「三国志の」諸葛孔明さながら羽扇を手にして高笑いするのが可笑しかった。
「第二部 最後の法力」は、一部にも登場した僧侶たちを巻き込んだヤンらと追手の官僚らとの戦い。ヤンは、グーと別れ、将軍らとともに追手から逃れて人里離れた険しい岩山にある山寺に身を寄せる。グーがヤンを捜してやってくるが、ヤンはグーと会わず、二人の間にできた子どもをグーに託す。やがて、武の立つ官僚がやってきて、壮絶な戦いとなるが、最後に力を発揮するのは、橙色の法衣をまとった大師なのだった。
ワイヤーアクションの先駆け、竹林での戦いが見る者の度肝を抜いたという。廃墟の砦、岩山、竹林などで、見応えのあるアクションが披露される。
第一部の廃墟の風にざわめくススキの穂や、第二部の岩山のごつごつと連なる岩が、実に風情のある戦いの場として、強く印象に残った。(2017.2)


銀嶺の果て
1947年 日本 東宝 89分 白黒
監督:谷口千春
脚本:黒澤明
音楽:伊福部昭
出演:野尻(志村喬)、江島(三船敏郎)、春坊(若山セツ子)、本田(河野秋武)、スキー小屋の爺(高堂國典)、高杉(小杉義男)

和光市民文化センターで開催された伊福部昭生誕百年祭の映画祭で見る。
三船敏郎デビュー作で、伊福部昭映画音楽第1回作品。
銀行強盗をして警察に追われる3人の男が、雪の北アルプス山中に逃れる。途中雪崩にあって仲間の一人高杉を失い、残された2人、野尻と江島は、雪山の更に奥深くにある山小屋にたどりつく。そこには、春坊と呼ばれる少女とその祖父が暮らしており、登山家の本田も居合わせていた。
やがて、2人は本田を脅して案内をさせ、山越えを試みる。が、過酷な雪山の自然は3人の行く手を阻むのであった。
野尻が、無邪気で明るい春坊と接するうち、徐々にやさしく穏やかなおじさんになっていくのに対し、江島は揺らぐことなく終始一貫して悪いやつである。若い三船がぎらぎらした男前の悪党を演じている。(2014.4)

倉沢まりや 本番羞恥心
1995年 日本 エクセス・フィルム 58分
監督:光石富士朗
脚本:島田元
助監督:山岡隆資

出演:ユリエ(倉沢まりや)、カズオ(三瀬雅弘)、アケミ(岸加奈子)、コミヤ(伊藤猛)、ミキ(葉月蛍)、ムナカタ(小林節彦)、公園の男(竹藤恵一郎)
これを逃したらもう一生見られないかもと夫(脚本)に言われて、いっしょに池袋ロマンで見る。
脚本の段階で、濡れ場が何回必要というピンク映画の縛りを超えて、制作側から「多すぎないか」と言われたらしい。明るく楽しいエッチが満載で、とにかくみんな元気にすぐその気になって、元気に行為に及ぶ。ベテランだという岸と伊藤のコンビがよかった。
俳句の会での話かと思ったらそうでもなく、でも、変な俳句が詠まれるのは可笑しい。(2018.11)

グラディエーター GLADIATOR
2000年 アメリカ 155分
監督:リドリー・スコット
出演:マキシマス(ラッセル・クロウ)、コモデウス(ホアキン・フェニックス)、ルッシラ(コモデウスの姉。コニー・ニールセン)、ルキウス(ルッシラの息子。スペンサー・トリート・クラーク)、クィントス(ローマ軍将軍。トーマス・アラナ)、プロキシモ(剣闘士団長。オリバー・リード)、グラックス(元老院議員。デレク・ジャコビ)、シセロ(マクシマスの従者。トミー・フラナガン)、ジュバ(ヌミディア人の奴隷から剣闘士となる。ジャイモン・フンスー)、マルクス・アウレリウス皇帝(リチャード・ハリス)

気になりつつも見逃していたので、テレビ録画で見る。
ローマの凄腕剣士の将軍マキシマスが、アウレリウス皇帝とその息子コモデウスの対立に巻き込まれて罠に落ちる。処刑されそうなところを逃れて家に戻るが、妻子も王子によって惨殺されていた。
呆然自失のマキシマスは、奴隷として捕獲され、剣闘士団のボスプロキシモに買われる。彼は持ち前の剣の腕を発揮し、剣闘士(グラディエーター)として見世物の決闘で勝利を重ねていく。
ある日、ローマのコロシアムで開かれる大会に出た彼は、コモデウスの目の前で、戦車を駆るローマ軍兵を相手にした圧倒的に不利な戦い、仲間とともに打ち勝つ。彼は民衆の心をつかみ、自分の差し向けた兵士を討ったコモデウスらを殺させようとするが、民衆の反対にあって思いとどまる。が、コモデウスは、マキシマスが生きていることを知ってしまい、因縁の対決が始まるのだった。
本来155分のものを2時間枠の放映で見たのでカットが多く、特に、剣闘士団での団長プロキシモや剣闘士仲間とマキシマスとのやりとりが少なくて、関わり具合がよくわからなかった。
若いホアキンが暴君コモデウスの自分勝手で暴虐の限りをつくすバカ王を嬉々として演じていたように思う。
マキシマスが、とにかく強い無敵の剣士なのがよかった。(2020.5)


グレン・ミラー物語 THE GLENN MILLER STORY
1954年 アメリカ 117分
監督:アンソニー・マン
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:グレン・ミラー(ジェームズ・スチュアート)、ヘレン(ジューン・アリソン)、チャミー(モーガン)、ルイ・アームストロング、ジーン・クルーパ、ベン・ポラック、フランセス・ラングフォード

鎌倉の川喜多映画記念館の「夢見るハリウッド〜映画に頬をよせて〜」という「ハリウッド・カップルにスポットを当てた」特集で久しぶりに見る。
往年のハリウッド映画は、ほんとにテンポがよくて無駄がない。少々無理があるんじゃと思いつつ、お互い惚れてるんだなあと思わせるグレンの求愛とヘレンの決断、まさに「夢見るハリウッド」的恋愛である。他にも、楽器を質屋に出したり入れたりしたり、バンドの採用試験に友の楽譜を紛れ込ませたり、車の事故でバンドのメンバーの一部が巡業先の店に着くのが遅れて途中から一人また一人と演奏に加わっていったり、お堅い軍の楽隊の演奏にいてもたってもいられなくなりお得意のジャズ演奏を始めたり、顰蹙を買うかと思ったら話のわかる上官がいたりと、心地いい音楽を聴きながら、往年のハリウッド映画らしい気の利いたシーン運びを堪能した。「真珠の首飾り」「ペンシルヴァニア65000」とヘレンへのラブコールの歌が続き、「茶色の小瓶」はいつ出てくるんだという期待に対し、ついに流れるラストの1曲。夫を亡くした妻を、夫の友人らが支える。中学生くらいの時に初めてテレビで見て、なんてすてきな人間関係なんだろうと新鮮に感動したのだが、この歳になっても同じ思いがよみがえってきた。(2016.8)

刑事マディガン MADIGAN
1967年 アメリカ 101分
監督:ドン・シーゲル
原作:リチャード・ドハティ
脚本:ヘンリー・シムーン、エイブラハム・ポランスキー
出演:ダン・マディガン(刑事。リチャード・ウィドマーク)、ロッコ・ボナーロ(刑事。ハリー・ガーディノ)、アンソニー・ラッセル(ニューヨーク市警察本部長。ヘンリー・フォンダ)、チャールズ・ケイン(警部。ジェームズ・ホイットモア)、ベン・ウィリアムズ(ウォーレン・スティーヴンス)、ジュリア(インガ―・スティーヴンス)、トリシア・ベントリー(ラッセルの不倫相手。スーザン・クラーク)、ジョンジー(クラブの歌手。シェリー・ノース)、バーニー・ベネッシュ(スティーヴ・イーナット)、ミッジ・カスティグリオーネ(小人症のノミ屋のボス。マイケル・ダン)、ヒューイ(ドン・ストラウド)、ドクター・テイラー(レイモン・サン・ジャック)、ミッキー・ダン(元ボクサーの老人。ハリー・ベラヴァー)

録画で見る。だいぶ前に二番館で見たときは暗い印象しかなかったが、それは、マディガンが死んでしまったからかもしれない。
ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム地区を舞台に、刑事マディガンとその相棒ロッコが、凶悪犯に奪われた拳銃を取り戻すため、必死の捜査を行う。マディガンの妻ジュリアは、そんな夫の窮地も知らず、パーティに出ることばかり考えている。
一方、警察本部長を務めるラッセルは、ケイン警部が不正を働いているという報告を受ける。真面目で堅物のラッセルだが、旧知のケインの処分について思い悩むのだった。
マディガンらの捜査の様子がきびきびと描かれる。
マディガンの知り合いの元ボクサーの老人ミッキーが犯人の目撃情報を提供してくるが、どうやら孤独なミッキーは誰かと関わりたくてさほど犯人に似ていない男を犯人ではないかと言って連絡してきたらしいのだった。が、マディガンは、ガセネタをつかまされても、ミッキーの気持ちを察してあっさり許してやる。自分の刑事生命がかかっているときに、強面のマディガンがやさしいところを見せるのがなかなかよかった。(2020.1)


現代やくざ 人斬り与太
1972年 日本 88分
監督:深作欣二
出演:沖田勇(菅原文太)、矢頭俊介(矢頭(ヤガシラ)組組長。安藤昇)、木崎(小池朝雄)、鉄男(桜会。小林稔侍)、安夫(桜会。地井武男)、サブ(桜会。大浜詩郎)、君代(渚まゆみ)、まさる(桜会。村山辰昭)、次郎(桜会。城春樹)、宮原(矢頭組代貸。室田日出男)、矢頭組幹部(八名信夫)、滝川(滝川組組長。諸角啓二郎)、大和田英作(大和会会長。内田朝雄)、郡司猛夫(郡司組組長。待田京介)、谷口(沖田の元仲間。板前。三谷昇)、かつ子(三谷の妻。藤里まゆみ)
家人がDVDを借りてきたのでいっしょに見る。
「仁義なき戦い」前の「現代やくざ」シリーズ6作目。

喧嘩に明け暮れ、愚連隊からヤクザの傘下に入った男、沖田のやり場のない怒りと破滅への道。
滝川組と矢頭組が対立する川崎の町。出所したての沖田は仲間を集めて滝川組に喧嘩を仕掛けるが、銃で撃たれ、矢頭組組長矢頭の裁量で窮地を脱する。矢頭は沖田に目をかけ、傘下に取り込むが、沖田は組の一員となったことが気に入らない。
滝川組は関西の大和会と組んで矢頭をつぶしにかかる。しかし、矢頭は刺客を放って滝川組長を暗殺し大和会と手を組もうとする。大和会は条件として沖田の排除を要求してくるのだった。
文太ら男たちがとにかく走る。いい大人たちが、町なかで出くわして、全力で追いかけっこして、喧嘩する。直接的でわかりやすい。一方、裏で画策する幹部たちも悪くていい。
沖田に恩を仇で返されてばかりの矢頭を安藤昇が貫録たっぷりに演じて、見惚れる。滝川組長を殺しに行かせる際に、手下(八名)に煙草を進め、黙ってライターで火をつけてやる。親分が煙草に火をつけてくれたことで、八名は自分が鉄砲玉を命じられたことを知り、震えつつ敵の組長殺しに向かうのであった。
渚まゆみが、田舎から上京早々沖田らにレイプされて身を持ち崩して、その当の沖田に惚れていっしょになって、嫉妬のあまり沖田が連れていた女の顔に切りつけたりしたあげく、抗争に巻き込まれて殺されるという、散々な目に遭う女の役を演じている。 (2016.8)

地上より永遠に(ここよりとわに) FROM HERE TO ETERNITY
1953年 アメリカ 118分
監督:フレッド・ジンネマン
原作:ジェームズ・ジョーンズ
出演:ウォーデン曹長(バート・ランカスター)、プルーイット(モンゴメリ・クリフト)、カレン(デボラ・カー)、マジオ(フランク・シナトラ)、ロリーン(ドナ・リード)、ホームズ大尉(フィリップ・オバー)、ガロヴィッチ軍曹(ジョン・デニス)、ファツォ/ジャドソン軍曹(アーネスト・ボーグナイン)

図書館でDVDを借りて見る。
真珠湾攻撃前夜のハワイ、ホノルルのアメリカ陸軍基地。
有名な浜辺のラブシーンの印象が強いため、軍事下における男女の恋愛ものかと思っていたら、違った。海辺のシーンは確かに強烈だが、ウォーデン軍曹とホームズ大尉婦人カレンとの恋愛は、映画の一部に過ぎない。ウォーデンは、いけ好かない上司の元でてきぱきと実務をこなし、部下にも気遣いを見せる、実直で有能な軍人として登場するが、主流となるのは若き兵士プルーイットの方で、彼が軍内部で追い込まれていく様を描いた社会派ドラマと言える。
隊に派遣されてきたプルーイットは、自らの意志を通したために部隊内で不当な扱いを受ける。ボクシングの試合で部隊の選手を勝たせたいホームズ大尉は、経験者のプルーイットにボクシングをやらせようとするが、プルーイットは試合中に相手選手を失明させてしまった過去を持ち、二度とボクシングはやらないと決意していたのだった。大尉の希望に背いたプルーイットは、陰険ないじめに遭う。また、彼の友のマジオは酔った勢いで暴れて、営倉行きとなり、虐待を受けて殺される。プルーイットは、マジオを殺したジャドソン軍曹を格闘の際に殺してしまい、恋人のロリーンのもとに身を隠す。
そんな中、日本軍が真珠湾を襲撃する。実戦になれていない兵士らはあわてふためくが、ウォーデンは即座に状況を把握し、指揮を執る。襲撃を知って軍に戻ろうとしたプルーイットは、敵機の攻撃を受けて命を落とす。
最後はホームズ大尉のプルーイットに対する不正がばれて彼も左遷の憂き目に遭う。悪いやつは見逃さないアメリカ映画らしいところではあるが、同時にウォーデンは恋人のカレンを失うことになる。ウォーデンは将校に昇級できる技量を持っているが、常に上の顔色をうかがって行動しなければならない尉官になるのを好まなかった。カレンはなんだかんだ言っても、つきあう相手は将校でないとだめらしく、あれだけ嫌っていた夫についていくのだった。(2017.3)


ゴジラ
1954年日本 東宝 97分
監督:本多猪四郎
原作:香山滋、  音楽:伊福部昭、 特殊技術:円谷英二
出演:山根恭平(志村喬。古生物学者)、山根恵美子(河内桃子)、尾形秀人(宝田明。南海サルベージ潜水師)、芹沢大助(平田昭彦。科学者)、萩原(堺左千夫。毎朝新聞記者)、新吉(鈴木豊明)

いまさら私が感想を書くのもおこがましいのですが、得難い体験をしたので記録をしておきます。
伊福部昭生誕100周年の続きで、2015年年明けにも東京、NHKホールで「ゴジラ音楽祭」が開催された。メインは、東京フィルハーモニー交響楽団の生演奏つき「ゴジラ」の上映であった。
オリジナルの「ゴジラ」を見るのはとても久しぶりだった。最初は子どもの頃テレビで見て、それから大学時代に二番館で見たのが30年くらい前だと思う。ゴジラの鳴き声と「オキシジェン・デストロイヤー」という兵器の名と廃墟に流れる合唱団の歌声が印象に残っていた。
上映前に宝田明氏、平成ゴジラ出演者の佐野史郎氏、オーケストラ指揮者で伊福部昭氏の弟子である和田薫氏の舞台挨拶とトークがあった。
宝田明演じる尾形青年が政府の役人でも軍関係者でもなく、民間の潜水士なのがちょっと意外だった。が、今回、ゴジラを除けば、印象が強かったのはヒロインの恵美子を演じる河内桃子だった。かなりたくさん出番があるし、芹沢博士が悲壮な決心をするのも彼女の存在が大きい。
オーケストラの生演奏つきという普段とは違う環境で映画を見たので、いつになく音楽を意識することができた。普段は映画に夢中になって、音楽のことはあまり気にしなくなってしまい、音楽好きの人に後から、「あそこで流れた○○がよかったね」とか「あそこで○○を使ってくれて感動した」などと言われても、覚えていないことが多いのだが、今回は、音楽が入る段になると、指揮者がさっと片手をあげて準備をするので(これが実にかっこいい)、おっ、ここでくるぞと思うことができるのだった。例えば、陸での人間ドラマから海面のカットに変わるところで、指揮者の手が挙がり、ゴジラ出現の泡が浮上するとともに、伊福部音楽の演奏が始まるのである。これはなかなかの興奮である。
被災後の焼け野原に流れる合唱団の歌声は、昔も印象的だったが、今回はそれよりたくさんの人数による生のコーラス(合唱:Chor June)で、インパクトがすごかった。
音楽と鳴き声とゴジラの造形とミニチュアの町と白黒画面と、それらが全部うまい具合に融合して、この映画独特の計り知れない重量感とある種の爽快感を生みだしているのだなと改めて思った。
映画上映後のアンコールでは、「ゴジラ音楽祭」のためと昨年12月に亡くなった川北紘一特技監督へ捧げるために和田氏が編曲した「SF怪獣ファンタジー」を初演。指揮者自ら会場へ手拍子を促してくださったので、思い切り手を叩かせていただいた。楽しかった。
(2015.1)
関連作品:「シン・ゴジラ」(2016)、「GODZILLA ゴジラ」(2014)、「ゴジラ・モスラ・キングキドラ大怪獣総進撃」(2001) 

ゴースト・ハンターズ BIG TROUBLE IN LITTLE CHINA
1986年 アメリカ  100分
監督:ジョン・カーペンター
出演:ジャック・バートン(カート・ラッセル)、ワン・チー(デニス・ダン)、グレイシー・ロウ(キム・キャトラル)、デヴィッド・ロー・バン(ジェームズ・ホン)、エッグ・シェン(ヴィクター・ウォン)、マーゴ(ケイト・バートン)、ミャオ・イェン(スージー・パイ)
随分前に見たはずなのだが、すっかり忘れていた。録画で再見。
デニス・ダンを久しぶりに見る。
サンフランシスコの中華街を舞台に、恋人をさらわれたワンは、友人のトラック運転手ジャックとともに、妖術を使う皇帝ロー・パンの本拠である怪しげな建物に乗り込む。
ゆるくてごちゃごちゃした、愉快なホラー格闘活劇。(2013.1)

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