みちのわくわくページ

○ 本 ハードボイルド(海外) 

<作家姓あいうえお順>
長いお別れ(レイモンド・チャンドラー)
血の収穫、新任保安官、雑文「ハメットを読み返す」:マルタの鷹、ガラスの鍵、(小説家・逢坂剛、「マルタの鷹」講義(諏訪部浩一))(ダシール・ハメット)
夏の稲妻(キース・ピータースン)
ちがった空 最も危険な遊戯 深夜プラス1 本番台本(ギャビン・ライアル)

長いお別れ The Long Goodbye
レイモンド・チャンドラー作(1954年)銃
清水俊二訳 ハヤカワ文庫
私立探偵フィリップ・マーロウと、銀髪の青年テリー・レノックスとの友情を描いた傑作。
大富豪の娘を妻に持ち、冒頭から飲んだくれた状態で登場するテリーに、マーロウともども大いなる好感を抱いてしまったら、もうチャンドラー の術中にはまったと言わざるを得ない。
何度となく読んだはずなのに話の内容はすぐ忘れてしまう。読むごとに、マーロウとレノックスの、駐車場での出会いと、時を経た後の再会の場面のみが、ひたすら印象を濃くしていくばかりだ。 (2003.4)

このひと言(No.27):人間の眼の色はだれにも変えることはできない。「ギムレットにはまだ早すぎるね」と彼はいった。

夏の稲妻 The Rain
キース・ピータースン作(1989年)
芹澤恵訳 創元推理文庫
「ニューヨーク・スター」紙の花形新聞記者ジョン・ウェルズを主人公としたシリーズ第3作。
ウェルズは、知り合いの情報屋から下院議員と若い女性とのいかがわしい行為を撮った写真を提供されるが、その申し出を断った直後、情報屋が殺されてしま う。他のマスコミに自分が情報提供を断ったことを報道され、解雇の危機に瀕したウェルズは、写真と若い女性の行方を追って、酷暑のニューヨークの街を行 く。
煙草を唯一の護身の武器に、「スター」紙の上層部会議に乗り込むウェルズの姿はこの上なく痛快であり、26歳の敏腕女性記者ランシングとの洒落たやりとり は、互いを想う切ない愛情に満ちている。
感想文を書くためにちょっと内容確認、と思ってページをめくり始めた私は、あまりの面白さに一気に読み切ってしまった。第4作でほとんど完結してしまった ように思えるこのシリーズを忘れたくないのだが、OA化が進む中、くわえ煙草でバチンバチンとタイプライターのキーをたたく頑固で少々暴力的な中年記者の 姿は、本書が発行されてさらに十年以上経った今、どのように受け止められるのだろうか。(2003.4)

この一言(No.3)「そんな眼でこっちを見ないで、ウェルズ」
<関連作品>
「暗闇の終わり」(1988年)
「幻の終わり」(1988年)
「裁きの街」(1989年)


深夜プラス1  Midnaight Plus 1
ギャビン・ライアル作(1965年)
菊池光訳 ハヤカワ文庫
第二次世界大戦中にフランスでレジスタンス活動をしていたイギリス人のルイス・ケインは、旧知のフランス人 弁護士からある仕事の依頼を受ける。それは、アル中のガンマン、ハーヴェイ・ロヴェルともに、富豪とその秘書をスイスまで護衛するというものだった……。
ギャビン・ライアルの訃報を聞いてぱらぱらページをめくっているうちに、結局全部読んでしまった。
引き締まった無駄のない文章を堪能した。書いていないところにあったであろうドラマがいくらでも想像できるのだった。(2003.2)

映画化と銘打ってはいないのだが、脚本家大和屋竺氏によれば、鈴木清順監督、宍戸錠主演の日活映画「殺しの 烙印」(1967年)は、この小説をベースにしているとのこと。

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