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○ 本 古典・文学 東洋 

<著者姓あいうえお順>
谷崎潤一郎犯罪小説集(谷崎潤一郎)
「三国志」漢詩紀行(八木章好)
百人一首で読み解く平安時代(吉海直人)

百人一首で読み解く平安時代
吉海直人(よしかいなおと)著(2012年) 角川選書(角川学芸出版)
百人一首の歌について、歌の解釈とともに、他の勅撰和歌集では選ばれていたのか、選者の藤原定家がなぜこの歌を選んだのか、どのような状況で詠まれた歌で、詠み手はどのような生涯を送った人なのかといたことまでが丁寧に説明されている。
他の勅撰和歌集では選ばれていない歌や、また、定家自身も評価していなかったのに晩年になって評価を変えたといった和歌がけっこうあることがわかる。
何人もの天皇の歌をこれだけ取り入れた歌集は珍しく、天智天皇と持統天皇の歌に始まり、後鳥羽院と順徳院で終わる構成そのものが平安時代の始まりと終焉を表していると著者はいう。
保元の乱の勝者藤原忠通と敗者崇徳院の作品を並べるなど、配列に深い意味を感じるという。NHKの大河ドラマ「平清盛」を見た後なので、崇徳院の無念などは記憶に新しく、理解しやすかった。
定家が、歌が詠まれたときの状況だけでなく、詠み手の生涯を思い、その人の人生史の象徴とも言えるような作品を選んだというのも興味深かった。(2013.3)

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